表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

花壇のとげ

side 衣透


あ、と脳内で呟く。環境美化委員会が花壇の水やりを忘れていた。

この学校の敷地は、たしかに無駄に広い。サボりたくもなるのだろう。

隅っこにある水道の如雨露を取って水を注ぐ。こぽこぽと水が溜まっていく音を聴きながら、初夏の風がスカートを揺らすのを感じていた。

水をあげながら、この花なんだっけ、とぼんやり考えた。……ああそうだ、アカンサス。

綺麗だと思って、如雨露を置いて手を伸ばすとちくりとした痛みに眉を寄せた。見ると指先から血が流れている。

……絆創膏、持ってたっけ。

きっと持っていない。保健室登校なので、どのみち保健室まで行かないといけない。ここからかなり遠い位置にあった。

まあいいや、と如雨露を持ち直して蛇口まで行く。洗っている間にも花が咲いたように血が溢れていた。

「え」

え?

反射で見上げた先、焦ったような顔をした女の子がいる。

「大丈夫?絆創膏持ってますか」

「あ、いいえ……」

そっかと呟いて絆創膏を差し出された。え、

「いいんですか…?」

「もちろん」

恐縮ですっ、とそれを受け取る。何の変哲もない、私が普段使っているものと同じメーカーの絆創膏が、少しあたたかく思えた。

「ごめんなさい、ありがとうございます…」

「血が止まらないなら保健室なり病院なり行ってくださいね、じゃあ」



───────それが、最初の出会いだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ