1/3
腕輪と手錠
いつだったか、不思議な子がいた。中学が一緒だった子で、その子を嫌っている訳でもなく、ただ好いているわけでもなかった、と、思う。もはや同級生の顔も思い出せないような薄い記憶の中で、その子だけが鮮明に思い出せた。
仲がいい訳でもなく、その子の基本情報もあまり知らないで、……でもああ、
「……ごめんなさい」
その子の口癖だけは、何故かくっきりと頭にあった。
何に謝ったのだろう、とぼんやり思っていた。何も知らなかった。幼さ故の無知が許される世界で生きていた。
一生懸命笑う姿は正に小動物と言った感じで、えへ、とはにかんでいたのを憶えている。
どれだけ記憶を漁ってもこれくらいしか出てこない。それなのに何故十五年経った今でもこんなに執着しているのだろう?
思い出したくない記憶の端にそれがあるのを、一生懸命知らないふりをしていた。
あの子の残した綺麗な花が、こんなにも美しく、そして穢らわしい。
アカンサスの花でできたブレスレッド。今、実家にまだあるだろうか。




