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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第二章:女子的な趣味をオープンにしたら魔王と呼ばれてしまった話(仮)
23/28

どうでもいい過去。楽しい今。

☆★☆ 5月19日(金) ☆★☆


 作業は順調に進み、俺は時間にも心にも余裕が生まれていた。


「せっかく一日休むのなら、カラオケ以外にもどこか行かない?」


 亜子が楽しそうに提案してきた。


「遥香ちゃんは~、どこ行きたいの?」


 しおりちゃんも乗り気なようだ。


「わたしには特に行きたい所とか思いつかないの。だから、みんなの行きたい所に連れて行って欲しいかな」


「ん~~~。亜子ちゃんどうする?」


「映画……と言いたいところだけど、今、そんなに興味あるのは演って無いし」


 映画か~見たこと無いな。俺が見たことあるのは、テレビのロードショーくらいだ。


「わたしは亜子ちゃんと2人だと、どっちかの部屋でダラダラおしゃべりしてることが多いしね~」


「ホットプレートでお好み焼き作ったりね」


「炊飯器でチーズケーキも作ったよね」


「なんか面白そうだな」


 炊飯器でケーキ!?

 それ、めっちゃ興味ある!


「そうね。凄く興味がわいたわ」


 おお、遥香さんもか?


「じゃあ、土曜日は、カラオケして、材料の買い出しして、わたしの家で何かを作ろ~?」


 しおりちゃんの提案に亜子が渋い表情(かお)をする。


「え? それは絶対ダメ。遼太を詩織の部屋には入れられない」


「なんで?」


「だって散らかり過ぎでしょう?」


「うぐぐ……か、片付けるもん」


 わ、笑っちゃダメだ…散らかり過ぎ…堪えろ!俺!


「それに、女子の家に遼太が入ったって、もし誰かに見られたり知られたりしら、また面倒なことになりそうだし……」


 亜子はいたって真面目?


「そうね。今でも嫌な感じの話が聞こえてきてるみたいだし」


 遥香さんも真面目か。

 俺も表情をあらためる。


「そっか~。そうだよね~ガックシ。じゃあ、どうしようか……」


 だったら!


「ここ。手芸教室(ここ)でやればいいんじゃね? キッチンはないけどシンクと水道はあるし、炊飯器とホットプレートを用意すればいいんでしょ? 広さだって、学校の教室の半分くらいには広いし、何よりもみんなで集まりやすいし」


 あ、教室(ここ)を自由に使える説明してなかったわ~


「でも、炊飯器とホットプレートを用意するって大変じゃない? カオリさんから借りるの?」


 でも、その説明は必ずするからさ、今は会話を進めるよ。


「いや、買うよ」


「買うって?」


「実は一昨日から、正式にココの職人と言うか、アルバイターとしての契約をして、この教室が俺専用のアトリエになることが決まったんだ」


「え~ッ? ココ、遼太のアトリエになったの?」


「うん。それだけじゃなくて、カオリおばちゃんが勝手に俺をこき使って得ていた過去の利益も、4月まで(さかのぼ)って計算してくれて、結構なアルバイト代も入ったんだ」


「うんうん。遼太って結構いいように扱われてたっぽいもんね」


「で、それが結構凄い金額だったし、ここを過ごしやすいアトリエにしたいから色々と備品も揃えたいなって思っててさ」


「いくら入ったの~? って、そこ聞いちゃダメかなっ? …チラッ?」


 チラッ? って、しおりちゃんのこういうあざとい所、ホント可愛いよな…でも


「い、一応…内緒」


「だよね~」


 そこはね~流石に言えませんよ。


「でも、今回のバイト代は俺も含むみんなのために使いたい。無報酬でお手伝いしてくれているキミたちに『ありがとう』と『これからもよろしく』の意味を込めてさ」


 俺が、無償で手伝ってくれるみんなと気兼ねなく遊べるように使える『必要経費』


「だからさ、土曜日は、カラオケ代もその後の材料費も全て、ここから出させてくれないかな? 頼むよ」


 これは俺からキミたちへの、感謝で、お礼なんだ。


 伝わっててくれよ? 俺の気持ち。



☆★☆ ☆★☆ ☆★☆



「ところで、俺の嫌な噂って今、どんな風になってるの?」


「う~ん……最近は噂じゃなくて、ただの悪口になってるかな?」


 ???


「噂じゃない?」


「うん。3組の『福士くん』と『太田くん』って男子がね、遼太が最近学校に来ないのは虐めを恐れているからだって言ってるんだけど」


 やはりか……『福士』と『太田』

 小5の時にやたらと俺に絡んで来て、あの頃の俺が学校に行けなくなった最大の要因だ。


「ホントは言いたくないんだけど…遼太に知らせた方がいいと思うから…言うね」


 亜子が言いにくそうにしているけれど、ちゃんと教えてくれるようだ。


「あいつらが言うには、遼太は自分が調子に乗っていることに気付いて、急に怖くなったんだろうって」


 ふむふむ。あいつらの中の俺は、小学校時代から成長していないって事か。


「で、遥香さんの目の前で恥をかかせたいって事みたい」


 な、なんと幼稚な?

 ま、油断は禁物だが…どうでもいい過去の奴らだ。バッサリと切り捨てるさ。


「遼太の事、魔王なんて言われてるみたいだけど…本当は弱虫で泣き虫な奴なんだって、うちのクラスにいる知り合いにコソコソ小声で言いふらしてるみたい」


「コソコソね~……って! え? それなのに噂になってないの?」


「それに関しては渡辺くんが頑張ってるわ。あの2人のコソコソ話を全部教えてくれって頭を下げてみんなから情報を集めているわ。『()()はホントは凄い奴なんだから絶対に惑わされるな』って言いながらね」


 ふむ。渡辺がね~


「凄くぎこちないと言うか、とても渡辺くんらしくなくて、似合ってないんだけど…」


 渡辺の過去を知る遥香さんでもそう感じているのか…


 渡辺大弥…もしかして俺への悪意をクラスメイト限定で回避させているのか?


 直接話してみなければ、まだ信用は出来ないが…


 ああ……俺はどうやら渡辺に興味を持ってしまっているみたいだ。


 あいつも俺に興味を持っているんだと今は思えるようになった。


 だけど……





 俺の事『()()』って呼び捨てかよ!?





 そこだけはなんか気に入らねえ!!



 


☆★☆ 5月20日(土) ☆★☆



 午前10時。俺たちはカラオケをしに、「ユナイテッドステイツオブ『KARAOKE』」に来ていた。


 俺のリクエストで、亜子としおりちゃんは、デュエット曲やハーモニーを存分に聴かせてくれたし、遥香さんも最近のドラマの主題歌を丁寧に歌って聴かせてくれた。


 最初の1時間ほどは、俺は聴き専で平和に過ごせていた。


 だが、俺だけが歌わないという状況を…やはりと言うかなんというか、3人は許してくれなかった。


「遼太も何か歌え~(しおりちゃん)」

「私も遼太の歌、聴きたい!(亜子)」

「そうね、遼太がどんな歌を歌えるのか興味があるわ(遥香さん)」


 ああ…これは逃げきれそうにないな。


 でも、俺は決めたじゃないか!

 彼女たちの好きなことをもっと知りたい。


 俺は恐れていたじゃないか!

 彼女たちとの仲良し関係を壊したくない。


 だから、俺もこっそりとカラオケの曲予約方法を見て覚え、一曲だけ…好きな曲を入れてみた。



 そして、ついにその時は来た!



「!? え~~!? これって?」


「あ、中学の時の合唱コンクールの課題曲じゃない!」


「遼太が入れたの?」


「あはは、おれ、流行りの歌とかあんまり知らないからさ」


 前奏が終わり、歌わねばならぬ時は来た。



「♪~♪ ♪♪~♪ ♪♪♪~ ♪♪~♪♪♪」

「♪♪~ ♪~♪♪ ♪♪~♪ ♪♪♪~♪♪」



 何故か、最初からみんなで合唱になった。


 歌い終えた後、俺たちは爆笑した。


 お互い、顔を見合わせて『見たことのない笑い顔』だと言いあった。


 俺も、こんなに笑ったのは、生まれて初めてなんじゃないかと思えるくらい


 心の底から笑った。


 そして、時間が来て、俺たちは2時間延長した。



☆★☆ 午後2時ちょいすぎ ☆★☆



「た、楽し過ぎてお昼食べるの忘れてたよ~」


 しおりちゃんが満面の笑みで、クルクルと踊るように回りながら俺たちに話かけてきた。


「食べ物も注文できるのに、誰も言い出さなかったもんね」


 亜子の笑顔も今までとは違う素敵さがあった。


「わたしは店員に邪魔されたくなかったから、敢えて何も言わなかったわ」


 遥香さんも作り笑いではない本物の笑顔だ。


「そうなんだ? カラオケ屋さんで食べ物を注文できるなんて、俺は全然知らなかったよ」


 俺の発言に笑いが起こる。


「まさか遼太がここまで何にも知らなかったなんてね~~…アハハハハ!」


 亜子がちょっと壊れている?


「クッ、悔しいけど…楽しいと思っている自分がいて…更に悔しい」


「でも、流石にお腹空いたね。何作る?」


「やっぱ、チョコケーキでしょ?」


 亜子はチョコケーキか


「チーズケーキは結構簡単に作れるらしいわよ?」


 遥香さんはチーズケーキ


「らしいって? 作ったこと無いの~? 遥香ちゃん」


「な、無いわよ。昨日、ネットで調べただけ」


「うん。でもいいじゃない? チーズケーキ。簡単だし私は好きだな」


 亜子もチーズケーキになった。実は俺は


「俺もチーズケーキ、かなり好きだよ? ケーキというカテゴリでは多分シュークリームと双璧だ」


「「「ソウヘキ?」」」


 双璧って一般的な表現じゃなかったのかな?


「一番好きが2つで、順位を決められないって事さ」


「へー? 遼太って、案外『優柔不断』なんだね~」


「ちょ、しおりちゃん?」


 心外だな~


「一番好きで順位を決められないものがもし、()()だったら、それはなんて言うのかな~~?えへへ」


 ……この言葉に深い意味はないのか?

 それとも、深い意味があるのだろうか?


 思い当たる言葉はある。

 それは物じゃなくて、人に対して使う言葉だが。

 誠意あるクズとも言われている言葉だ。

 そして、そういう価値観があることを俺は認めている。


 だが、それは、俺自身に対して使われるのならば、全力で否定したい言葉だ。



 『ポリアモリー』



 だから


「そんなことより、昨日のうちに母さんに頼んで車出してもらって、炊飯器とホットプレート買いに行ってきたぜ。あと、再生専用のBlu-rayプレイヤーも買った」


 今は、今を楽しもうよ。


「ケーキの材料とか、俺は全く知らないからな?買い忘れとか気を付けろよ?」


 みんなと仲良しでいさせてくれよ。


「アトリエにあるあの、アンテナに繋がってないテレビでビデオ見れるの?」


「見れる。昨日繋いだ」


「じゃあ、レンタルショップにも寄ろうよ~」


「いいね。名作アニメ映画とか? 何でもいいから()()()観たい」


「わたしは()()物の実写映画がいいわ」


「ハハ、みんなのおススメ教えてくれよ」






 仲良しだったら、何人いてもいいよね。






 恋愛対象なんかじゃないんだから。



実は、今回書きたいと思ったテーマの一つに『ポリアモリー(複数恋愛)』という概念がありました。ですが作者「いちくん」には荷が勝ちすぎるテーマだったようですので、ここでチラッと出すだけで深掘りしないことにしました。だったら出すなと?あ、いや、出さずにはいられませんでした~m(__)m

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公が友人と遊ぶ、という状況が楽しいんだろうな、と伝わってきました。 直接的な表現だけでなく、セリフ回しからも何となく伝わってくるのが良かったですね。 [一言] 渡辺君も頑張っている様子…
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