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女子的な趣味をオープンにしたら似たような趣味の女子達と仲良くなれて親友まで出来ちゃったお話  作者: いちくん
第二章:女子的な趣味をオープンにしたら魔王と呼ばれてしまった話(仮)
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名前で呼んで?呼び捨てにして?

☆★☆ 5月16日(火) ☆★☆


 初日は8万8000円のブーケを5つ作り終えたところで作業を終了した。

 時刻は午後10時を少し過ぎたところだ。


 明日も同じペースで行こうと決めて、俺は杉見家の居間に向かう。


 その時、真面目な顔でカオリおばちゃんと話し合っていたおじちゃんが、俺を呼び止め頭を下げた。


「申し訳ない、遼ちゃん。今までの話をあれからもっと詳しくカオリから聞いた。遼ちゃんの仕事ぶりは最早、お手伝いの域を超えている。アルバイト扱いなのはすまないが、大人としてちゃんとしたいから、ウチの専属職人としての雇用契約書を作った。受け入れてくれないか?」と言われた。


 ポカンとしているオレに、おじちゃんは、4月分の給与明細と「4月1日にさかのぼって契約しておいた」と言って雇用契約書を見せてくれた。そして簡単に説明をしてくれた。


「具体的なことは明日進めるから、通帳と印鑑を用意してくれないか?それと、給与は自動振り込みにするよ」とも言われた。


 渡された給与明細には、4月分給与『27万5000』という数字が並んでいた。


 俺はその金額に驚いた。


 なんでも、毎月1日~月末までに『竹中遼太作品』が売れた金額の50%が俺の取り分で、この明細に記されている金額は、すでに税金を引かれており、完全な手取り額なんだそうだ。


 そして、給料日が毎月15日。つまり昨日という事らしい。


 俺は驚いて「そんなにもらえない」と言って断ったが、「これは正当な報酬であり、大人の入り口に立った今の遼ちゃんには必要な経験だ」と押し切られた。


 さらに所得税の項目もあったが、これについては事業主の責任だからと簡単な説明で終わった。


 お金に関することはおじちゃんが責任をもって引き受け、少しづつ教えてくれると言う事になった。


 なんだか申し訳ないと思う反面、嬉しくもあった。


 当然、金額もそうなのだが、それとは別に、俺の趣味が()()()()()()であった、と言われているような気がした。


 今回のカオリおばちゃんのポカにしたってそうだ。


 動機は不純だったが、俺の作品をアップしてそれに無茶な金額設定をしたにもかかわらず、それでも尚、()()()と言って注文してくれるお客さんがいるってことが、嬉しい事なんだと気づかされた。


 今日、いま、2人から給与について聞かされなかったら、この嬉しさに、まだ気づけていなかったかもしれないと思うと、不思議な気持ちになった。




☆★☆ 5月17日(水) ☆★☆




 昼休みにグルチャが来た。12時15分。俺も一息ついてレトルトカレーを温めていた時だった。


 村上:『お仕事(はかど)ってる~?』

 西村:『返信は都合の良い時にね』


 との事だったので俺は『今ちょうど昼飯。仕事は順調だよ』とだけ返しておいた。


 ブーケづくりは昨日より順調で、午後2時には本日3個目が仕上がった。


 仕上がったとはいっても、紙巻ワイヤーを揃えるところから、袋で包み紐で結んでリボンを付ける作業は、西村さんにやってもらおうと思っているため完成はさせていない。


 今日は昨日より1時間授業が少ないから、2時15分頃に3人がやってきた。


 俺、思うんだけど、みんな他に用事とか無いのかな?


 西村さんは、作業台二つの余計なものの片付けと俺がやりやすいようにと準備をしてくれた後、俺の隣に座る。俺を手伝うタイミングを見計らうためで、また、指示を受けやすい位置で待機するといった体勢だ。


 村上さんと森口さんは床に散らばっている布切れやその他のごみを集めて掃除してくれている。


 早々にすることが無くなった村上さんがまず、今日の学校の話をしてくれた。


「今日はね~渡辺くんが凄かったんだよ~」


 村上さんが、今日の昼休みの教室の様子がとても面白かったようで、ウキウキと話してくれた。


 「今日のお昼はね、マミちゃんとさゆちゃんも入って、5人でごはんを食べたんだよ~。でね、食べ終わった頃に3人の男子が『森口さんに謝りたい』って言ってきたんだけど~、急に渡辺くんがこっちに来て『オレでも話かけちゃダメなんだから、お前らも話かけたら駄目だろ~』って訳わかんない事を言って皆を困らせてた~」


 なんだそら?まあ、でも面白そうだな。リアルタイムで見たかったかも。


「その後も面白かったよね。詩織。続きをどうぞ」


 西村さんが笑いながら村上さんに続きを促す。この件については村上さんに任せるらしい。


「その後も渡辺くんはね『ほかにも謝りたい奴はいないか?』って大声で話して『謝りたかったらオレが聞くからみんなオレに向かって謝れ』って、さらに訳わかんない事言ってみんなを笑わせて、女子なんかほとんどみんな吹いちゃってたよ~」


「わたしたちは昼食を食べ終えていて、ホントに良かったわ」


 森口さんも吹いたのだろうか。やけに実感がこもっていた。


 ただ、ちょっと気になることがある。


 あの、口論した時の渡辺の印象と、今の話の渡辺の印象が俺の中で重ならない。どこか不自然な気がする。まあ、恋愛絡みで我を忘れたと言われてしまえばそれまでなんだが……だから


「え~と、渡辺ってどういう感じの奴なの?」


 ちょっとためらいつつも、小学生時代から交流がある森口さんに聞いてみた。


 森口さんは、少し考え込んでから答える。


「最近の渡辺くんの事は良く分からないけれど、小学校の頃は『気が優しくて力持ち』って感じの頼もしい子だったわ」


「怒ったり喧嘩したりとかは?」


「見たことも聞いた事もないわね」


「それなのに、あの日は感情的になって暴言を吐いた……一体どう言う事だろう?」


「中学時代に何かがあったのかしら?でも、そこまでは分からないわ」


「そっか、他に何か気が付いた事とかある?」


「……そうね。今の彼は明るくて空気が読めない感じの変な人だけれど、彼の家に誘われた時の様子は何か思いつめた感じで、正直暗い印象を受けたわ」


「そう……。ま、良く分かんないってことが分かった。あ、でもあと一つ」


「なに?」


「森口さんにとって、渡辺大弥は信用できる人?」


「……出来ると思うわ」


「ありがと」


「ねえねえ、もしかして~、悪意と戦うための仲間にするって事?」


 村上さんだ。


「う~ん。どうだろ?話を聞くに、渡辺はあの時の事を心底反省していて、そのうえで俺を認めてくれている。ってとこまでは感じるんだけど、仲間にするには不確定要素が多すぎるかな?ちょっと怖いし」


「今度お話してみようよ。ちょいワルって言われてるけど、それも悪意ある噂なのかもしれないし」


「!!!」ハッとした。西村さんの言葉で自分の迂闊さに気付かされた。

 

「それだ! 西村さん。すげーいいこと言った! そうだよな、俺、アイツの噂を鵜吞みにしてて、自分の目と耳で得た情報でもないのに決めつけてた。森口さんの時はちゃんと噂と事実を分けて考えてたのに…」


 よし。アホな同級生対策は決まった。


「今度学校に行ったら、渡辺と話してみるよ。俺、男の友達いねえし、利用する仲間じゃなく、友達として頼りたいって気になってきた」


「それいいね」


 とは西村さん。


「わたしとしてはあまり気が進まないけどね。まあ、いいわ」


 と森口さん。


「ところで、マミちゃんとさゆちゃんって、これからもお昼ごはん一緒なの?」


 と、何となく興味があったのでポロっと聞いてみたのだが……


「あ! ああああ~~~~!!??」


 なぜか村上さんが壊れた?


「な、なんだ?」


「遼太!」


「はいっ?」村上さん? 怒ってる? いきなり名前で呼び捨てされて、俺びっくり。


「え? り、遼太って? なんでいきなり名前を呼び捨て?」


「わたしたちのことは名字呼びなのに、なんでマミちゃんとさゆちゃんは名前呼びなの!?」


「え~(村上さんがそう言ってたから感染ったんじゃ?)」


 村上さんが理不尽に怒っていらっしゃる? まあでもあまり怖くない。


「わたしのことは今後『詩織』って呼びなさい!」


 まさかの命令形?


「えっ、わ、私だって『亜子』って呼んでよ。りりり、遼太」


 え? 西村さんまで?


「さあ、さあ! 『し・お・り』はいどうぞ!」


「し、おり……ちゃん?」


「もっとハッキリと~!」


「しおりちゃん」


「ん~~~まあいっか。次は『亜子』ちゃんね」


「あ、亜子?」


「え? なんで亜子ちゃんは呼び捨て?」


「あ、いや、何となく……?」


「ズルい! わたしもよびすてて~~」


「しおり……ちゃん…って、無理。呼び捨て無理」頑張っては見たんだよ?


「なんでよ~~?」


「し、詩織? そ、その辺にしときな」


 西村さんにいつもの迫力がない?


「もー。自分は呼び捨てにしてもらったからって~なんかず~る~い~」


 駄々っ子か!?
















 この場で、ただ一人だけ大人しくしていた森口さんが、誰にも聞き取れないほどの小声で(遥香(はるか)って…)と呟いたが。














「……わたしは名字のままでいいわ」









 と










 真っ赤な顔で言った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 段々と各キャラクターが深掘りされて、イメージしやすくなっているところ。 みんなそれぞれ、魅力あるキャラクターになっていると思います。 [一言] 渡辺君もただのチョイ悪だと思っていましたが、…
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