一つの恋の⋯⋯抗辯②
丁度その時扉がノックされた。
「お入りなさい」
そして資料と思しきものを山と抱えた小柄な女性が入って来た。
「失礼します、遅くなりました」
脇机に資料を下ろすと入って来た女性はペコリ、ペコリと長椅子に掛けた院長等とその他の人物にお辞儀をして隅の席にひとまず座った。
「此方は例の資料ですか?」
「ハイ、該当箇所には栞が挟んであります。今からご覧になりますか?」
「えぇ、回していきますから順に見せて頂戴」
そう言うと暫くパラパラと紙を捲る音だけが室内に響いた。
「これで最後ですね、ではお待たせしました。先程の奉仕活動放棄の件ですがちゃんと記録が多数残っています。修道院の仕事は全然やってこなかった様ですね。これほど酷いとは」
「ちゃんとやっています。デタラメ書くんじゃないわよ!」
先程の女性に言い掛かりをつけて睨む。
「その女性に見覚えあるでしょう?」
「いいえ。私も沢山のシスター見習いの区別は流石につきませんわ」
「あなたがレターセットを取り上げられたケイト・ミュラー伯爵令嬢ですね」
「はいそうです」
「事情を説明頂けますか?」
「確かそちらのアリーシャ嬢が入所されて暫くしてからだと思います。いきなり廊下で声を掛けられ部屋に案内するように言われたのですが迷路のような廊下で迷われたのだと思い何号室かお聞きした所私の部屋に用があると言われたのです」
「それで?」
「困りますと申し上げたのですが強引に着いて回られるので困り果て私の部屋でお話を聞くことにしたのですが……」
「それでレターセットを出せと言われたのですか?」
「いいえ。着くなり机の引き出しを開けられて。困りますと何度も申し上げましたが聞き入れられず私の方が緊急で必要だからと強引に持って行かれてしまいました」
「あなたは配給品の譲渡はしてはいけないと知っていましたか?」
「はい勿論入所の時に説明を受けていますし。その為暫く迷いましたが指導担当シスターに思い切ってご相談したのです」
「この件は何かあるかもと静観するように院長より指示がありました」
「アリーシャ嬢の手紙の送り先は郵送簿に記入してありますね、三件とも」
「はい。ご実家のドクトール家とリード伯爵家とウェールズ公爵家です」
「アリーシャ嬢、リード伯爵家とウェールズ公爵家はどういったお知合いですか?」
「リード伯爵家は亡くなった婚約者の家でウェールズ公爵家は私の嫁ぎ先になる予定ですわ」
「緊急の要件とは何ですか」
「無実の罪でここに居ますので釈放に動いて貰わなくてはいけないので。緊急でしょ?」
「……呆れましたね。国王の決められた処遇に異を唱えるなんて」
「国王陛下が?」アリーシャは慌てて聞いた。
「そうです。引き渡し書類には王の捺印がありました」
「……」
「国が決めた処遇に異議があると言う事なのですね」
「いえ、そんなつもりは……でも私は無実なのです」
「貴方の両親がそのような事を言ったのですか?」
「そうではありませんがきっとそう思っています!」
「して、返事はあったのですか?」
「受信簿によりますとその内の一件、ウェールズ公爵家からは返事が来たそうです」
「そうです。婚約者なのですから」
「ではその方が金銭の援助をされたのですね」
「えっ!」
アリーシャは何かとてもまずい事になったようだと今更ながらに気が付いた。
皆さん如何お過ごしでしょうか?
私事ですが目標としていた10万字をようやく越えることが出来ました。
思えば当初は短編として書き始めたもので行き詰まりを感じたり色々ありました。
これも応援して下さる皆さんのお陰です。
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