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一つの恋の……抗辯①

 アリーシャは呼び出された部屋へ通されて初めて自分一人が一方的に尋問されるのだと気がついた。

 指示された中央の椅子に一人座らされ余りの居心地の悪さに腰を上げようとすると目の前の長いテーブルにズラリと並んで座っている老齢のシスター達が咳払いして(にら)む。


 その他壁際の椅子には見覚えのある警備責任者や持ち場の担当責任者、先程の老医師も座っている。

 見た所新参者は明らかにアリーシャのみであった。

「一体何の会議なのよ、懲罰って私をする訳?」

 そう呟いたところであの井戸端で怪我をしたシスターと通り掛かった見習い女性が入って来た。

「……!」

 何処かで見たことあると思ったらあの大げさ女じゃない!

 アリーシャが思って睨んでいると反対側の壁際の椅子に着席していよいよ懲罰会議が始まった。


「これより懲罰会議を始めます、院長先ずはどうぞ」

「これよりリストに従って聴き取りをすることになりますが反論も自由です。全ての意見、証言が出揃って懲罰検討会により決定する事となります。アリーシャ嬢ここまでは宜しいですね」

「何に対してか理解に苦しみますが……はい」


「それでは先ずリストに挙げられている事案に対して事実かどうかお聞きします」

「……はあ?リスト?何、沢山あるって事?」


 それには答えず司会を務める女性がリストとやらを声高に読み上げる。

「報告によるとアリーシャ嬢はレターセット三組の強奪(ごうだつ)一件、奉仕活動放棄多数、暴行事件一件、そして昼間の無断入浴、買収行為、逃走経路確保の為の情報収集、以上が現在判明している事ですが微罪(びざい)も多数あるとの事です」

「なっ!何ですって!」

「激高する事無く反論があれば冷静に話してごらんなさい」

 院長はアリーシャの性格を見抜いたかのように言った。


「何の証拠があるのか分かりませんが事実無根ですわ。私を陥れる気でしょう」

「順を追ってどうぞ」

「先ず何でしたっけ、そうそうレターセットは好意からの寄付を頂いたのですわ」

「配給品のやり取りは禁止しています。指導員からも説明があったでしょう」

「聞いてませんわ」

「配給品を渡せない時に説明済みと担当者日誌に記載があります」

「……」

「本人が後から来ますのでその時に聞いてみましょう」


「では次」

「奉仕活動放棄についてはどうですか?」

「これと言って思い当たる記憶はありません」

「これは多数の証言者がおります。それぞれ日誌にも書かれておりますので後でお見せいたします」

「持ち場担当者の代表として申し上げます、アリーシャ嬢は真面目に取り組む姿勢がまるで見られません。皆彼女と組みたがりません。サボリは常習の様です」

「体調が悪くてお休みするのがここでは神に背く事になるんですね、よく分かりました」


「そんな事は誰も言っておりませんよ、頻度(ひんど)が余りに多い為医師にも来て頂きました」

「あぁ、その方老齢で目もお悪くてとても診察できるとは思えませんわ。私がもっとお若い優秀な方を推薦しようかと思っていたところなんです」

「アリーシャ嬢ですが先程大慌てで来られまして、診察した所薄爪が少し剥げただけでした。包帯を大げさに巻けと言われたので必要無しと拒否しましたらそのような言葉を言われました」

「何と!」シスターの一人が声を思わず漏らした。


「チョット失礼な事言わないでよ。私は体が元々弱いし肌も敏感で⋯⋯」

「もう分かりました、脱線しそうなので次の質問を」

 アリーシャの言葉を(さえぎ)り次を促された。


「頻繁に注意を受ける事に関してはアリーシャ嬢どう思っているのですか?」

「注意もそうです、目の敵にされているのか何かと難癖(なんくせ)()()つけられます。私に対する嫉妬や(ねた)みかしら?」

「これに関しては私から反論があります。手の甲に石が当たった時も仕事をせず何かに酷くイラついていた様に思います。独り言を言いながら足を踏み鳴らしそして石に八つ当たりするように蹴り上げて私に当たりました。その上通りかかった見習いシスターに残りの洗濯をするように()()しました」

「あなたが勝手に転んだのではなかったかと記憶していますが」

「説明を求めに来たシスター達にもそのように言ったようですが仕事をしていたにしては洗濯物が少し濡れているだけでこすった後も無く汚れたままその場に放置して去ったそうです」

「……」

「つまり慌てて井戸の水を掛けただけの状態と言う事です。虚言癖(きょげんへき)があるようです。時々訳の分からない夢物語を話すので」

「夢物語ですって!本当の事よ。あんた何を言ってるのよ」

 アリーシャはカッとなって怒鳴る。

「アリーシャ嬢、冷静に話せないのですか?これまでの事は沢山の証拠と証言があります。言い逃れは出来ませんよ。でも問題はこれからです」

 院長は静かに言った。




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