一つの恋の……報告②
「……」
「全く最低だな、此れほど愚かとは」
王は報告書を見て呆れて言った。
「この騒動を先導した者達の処分は漏れなくきちんとしているのでしょうね」
王妃がエドモンドに問いかけた。
「悪意に依るものか、単に騙されただけなのか判断が難しい部分でもあります。騙されたのだと弁解されてしまえば逃げ道を作る事にもなります。明らかに当時の宰相やドクトール伯爵の口利きで要職や有利な就職、条件のいい縁談等を他人から横取りしたりした者の処分は既に済みましたがそれ以上は数が多すぎて無理があるかと」新宰相が答える。
「不肖の息子の為にご心労をおかけして重ね重ね申し訳ありません」
エドモンドは頭を深く下げた。
「この国の子息子女はそれだけ鬱憤が溜まっていたのだな。それに余程暇だったのだろう。暇に飽かして大人しいリリアナを侮ったか。そうでなければこれだけのさばらせた学園の教師陣や体制の責任も重かろう。しかしリリアナとモンタギュー侯爵家には謝意と慰謝料だけでは足りん気がしてきたな」
もう既に謝意と慰謝料の支払いは済んでいたがそれだけでは足りない気がしてきた。
「してリリアナのその者たちへの罪の追求だが何か言っていたか?本人ならばよく覚えておるであろう」
「リリアナは何も」
「その前に気を失われてしまいましたから」ロイドが付け加えて言った。
「後日よくその辺を聞いてやるのだぞ。まだ胸にくすぶっているかもしれん」
「はい。今日の事がありますので侯爵家で時間をかけてゆっくりとやります」
エドモンドはリリアナの体調を考えて言った。
「リリアナは優しい性格ですからそれを良しとはしないかもしれません。リリアナには内緒でその人物達のリストと処分内容を一覧にして頂戴」
「はい。王妃様」
策士として知られる王妃の目が殊の外怖かったのをロイドは見逃さなかった。
「それと気になったのがこのメリッサ嬢。今はハワードの妻になっているのでメリッサ・ウェールズ公爵夫人でしたかしら」
「はい。学生時代リリアナの親友として彼女を支えたと思われていましたがアリーシャ嬢の手先になっていたと報告が上がっています」
「それは確かなの?」
「はい」
「これに関しては事情がありと見ているのね。それにしても大した悪女じゃない。アリーシャ嬢は」
「そうですね。愚かでした、私もハワードも騙されましたから」
「バカな男どもが騙されたのね、色香に惑わされたのかしら?体でもべっ~たり寄せてきた?」
「そ、そ、それは……」
ズバリ言い当てられエドモンドは真っ赤になった。
「当たりみたいね。王様の頃もあったのよ、同じような事が」
「……」
王はバツが悪かったのか慌てて言い繕った。
「その様な見え見えの誘惑には乗っておらん!そうだよな、な?」
新宰相に助けを求めるが
「私は当時、学校も学年も違っておりましたので存じません!」
真面目で一本気な新宰相は咄嗟のことで空気が読めなかった。
気を取り直して王妃が言った。
「飛び降りたくなる気持ちも分か……いえもうよしましょう。過ぎてしまった事は。大事なのはこれからですよ。エドモンドももう大人で理解しているかと思いますが、人の容姿と言うものは所詮は皮一枚。時と共に直ぐに衰えてしまうものです。例えどんなにお金を掛けようとも。でもその人の品格や品性は一生ものなのです。年を取るとその人の歩みが顔の表情や立ち振る舞いに現れます。リリアナは間違いなくいい伴侶となって貴方を支えてくれるでしょう」
「はい。一生をかけてリリアナを幸せにすると誓います」
エドモンドの決意は固く再発の防止と一日も早いリリアナの幸せをその場に居合わせたものは強く願った。
そしてエドモンドは考えていた。
この際だからリリアナの我儘を聞いてみたいと。
リリアナは生まれてからの環境のせいで自分が我慢すればいいと思っている節がある。
万事が控え目で自分の事は後回しにしてしまう。
でもそれではリリアナに我慢を強いて行く事となる。
だから辛いなら泣き叫べばいいし、物に当たってもいいと思う。
感情をむき出しにしてぶつけて欲しい、そして気が済んだら二人で笑い合いたい。
エドモンドの正直な気持ちだった。
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