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一つの恋の⋯⋯対比

 アリーシャは焦っていた。

 唯一頼りにしていたハワードからの手紙は元よりお金さえも途絶えていた。

 もうとっくに届いて良い時期なのに。


 何処かで止められているのかと、何度も担当部署に聞きに行くが本当に来ていないらしい。

 記録してあるノートを見せられて自分の目でも確認した。


 買収した者達からは催促されて渋々ベッドの藁の下からもういくらも残っていないお金を出す。

 あと2〜3日もすればこれも尽きるだろう、ハワードは一体何をしているのだ。

 これが尽きればアリーシャは信用を失う。


 次に同じことをやらせる時には今の金額では無理になる。

 きっと相手は足元を見るだろうから。


「さっさと送って来なさいよ!」

 親指の爪を噛みながらイライラと部屋を歩き回った。


 もしかしたらハワードに何かあった?

 いや、それでも私を後回しにはしない筈。

 私をずっと愛しているのだから。

 学生時代から何時も物欲しそうに私を見ていた事もわかっていたし、何でも聞いてくれていた。


 確かメリッサとの結婚が早まったって事だったわね。


「もしかしたらメリッサが妊娠した?」


 だから横槍が入ったとか?立場が盤石になったって事?

 足を踏み鳴らし部屋をグルグル回りながらひとしきり悪態をついていた。


「そうだ!結婚のお祝いを言って無かったからそれにかこつけて催促の手紙を出そう、うっかり忘れているのかもしれないし妊娠も確かめられる」

 ついでに金額も増やしておこう、だってこの私が手に入るのよ。

 王都の私の屋敷にお金がかかり過ぎているのかも知れないわね。

 人手も沢山いるし、そうかそれできっと忙しいのね。


 アリーシャは今月の申請分のレターセットを机から取り出した。

 ハワードの現在の居所が判らないので領地と王都の公爵家に同じものを二通。

 お金の請求と王都の屋敷に色々と希望と言う名の注文を付け、いつ頃迎えに来るのかと書き添えた。

 これが届く頃にはお金も無事届くでしょうし新生活の目途も立つでしょう。

 そして1日も早くここから出して。

 アリーシャはハワードが向ける自分への愛を信じていた。




 その頃王太子であるエドモンドは教会での100日祈祷がいよいよ終わりを迎えようとしていた。

 やれる事は誠実に真摯に1日も欠かさず祈る事。

 祈りが神に届いたのか、リリアナも無事に生きてくれている。

 一時は危なかったそうだが何とか持ち堪えてくれた。

 目を覚ました時弱々しくだがにっこり笑ったそうだ、リリアナの次兄のサイモンが喜んで報告に来た。

 但し、サイモンを見てだと強調して言っていた。


 神にリリアナが目を覚ましたことを報告して御礼を言った。

 そしてこれからの人生をかけて彼女を幸せにすることを改めて誓った。

 神の審判がこれからどうなるのかそれは分からない。

 でもここを出たら真っ直ぐにリリアナの元に向かう。

 眠っている間どんな夢を見ていたのか、手を握って話を聞きたい。

 辛くなかったか?苦しくなかったか?

 その時に私にも笑ってくれたらいいな……と思いを馳せた。


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