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一つの恋の……悪夢

 アリーシャは手に入れた現金を使い、まずこの修道院に不満を持つ者に目星をつけて自分に都合のいい手先になるように買収を始めた。

 定期的に金銭を渡す約束をして。


 ある者はアリーシャの代わりに日常の奉仕活動を肩代わりさせる為。

 またある者は警備担当の責任者。

 この迷路のような修道院内部に詳しい者も念の為に引き入れた。


 そしてそれ以上にどうしても譲れない事があった。

 綺麗好きのアリーシャは入浴が週ニ回でしかも他人の入った後というのがどうしても許せなかった。

 だから昼間の皆が奉仕に出払っている時間に一人でこっそり入浴する為に大金を使った。

 ハワードが送ってくれているお金のお蔭で随分とここでの生活が楽になった。

 しかし定期的に手紙を送り一日も早いここからの解放を要求した。


 手紙には新婚なのでまだ待つようにとあったがアリーシャには関係ない。

 王都に別邸を用意してくれればいいだけではないかと。

 何も難しい事では無いはず、公爵家の財力を以てすれば簡単な事だ。

 アリーシャは当然のように催促しハワードに対して誠意がないと責め立てた。





 しかしハワードからするとまだ両親は健在で後を継いでもいないのに大金を動かせるはずもない。

 それに領地の収支は公爵である父の信頼が厚く数字に強い妻のメリッサが握っており、使途不明金を出そうにも不可能であった。

 アリーシャの金銭の要求も頻繁になり捻出するだけでここの所、頭を悩ませている。

 その為最近は賄賂を受け取ってその金を送金に充てていた。

 急に出入りの商人や業者を変えるのでメリッサに不審がられたが言いくるめて事なきを得た。



 全てが順調のはずだった。




 最近体の調子が思わしくないとハワードは悩んでいた。

 体のあちこちにかゆみがあり医者に見せても塗り薬を処方されるのみ、効きもしない。

 かゆみで眠りが浅くなり、寝ている内に無意識に掻いてしまい綺麗だった肌が見る影も無くなった。


 女達はそういう事に敏感で今迄盛んに秋波を送ってきていた者達がいつの間にか疎遠となった。


 そんな中で妻のメリッサだけは変わらず却って甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

 肌は清潔に保たないと……と言って入浴は毎日メリッサ自ら用意してくれ清潔なタオルと衣類を用意してくれ、飲み薬も取り寄せて飲ませてくれた。

 それでもそんな努力もむなしく改善するどころかじくじく膿んで見る影も無くなった。


 アリーシャの催促は続いたがそれどころではなくなり、体調が悪いので暫く待つように手紙に書いて送った。

 すると自分の名誉回復や保護申請は人を雇えば出来るはずと、現状を知らない為に一方的に捲し立てるような内容に変わってきた。


 これにはさすがのハワードも頭を抱えた。

 自分の事で手一杯なのにアリーシャは容赦無く自分を優先しろと言わんばかりの手紙を送ってくる。

 ストレスも関係するのか、此処の所かゆみで頭を搔くと毛髪が抜けて最近は赤くただれた頭皮が透けて見える。

 外出する時は帽子が欠かせなくなり、メリッサがカツラを用意してくれた。

 もうあの都会的な容姿のハワードは存在しなかった。


 アリーシャがこのような容姿になった事を知ったら見向きもしないだろう事は想像するまでも無かった。

 一日も早い完治を目指してありとあらゆる治療を試していった。

 最近は両親でさえ眉を顰め近寄ろうともしない、うつるとでも思っているようだ。


 変わらないのはメリッサだけ。


「最近何かストレスでもあるのですか?体の不調はそのせいかも知れません」

 その妻の言葉に心当たりがあり過ぎて絶句した。



 次第にメリッサに依存していった。


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