一つの恋の……悪魔
ハワードはメリッサの言葉が理解出来なかった。
「彼女は弱みにつけ込んで人をこき使う様な人間じゃない!」
「何故ハワード様はそう言い切れますの?」
メリッサは鼻で笑った、本当に表面だけしか見ていないのだ。
好みの容姿、優しげな声、思いやりあふれる言葉。
そんなもの作ろうと思えば簡単に出来る女よ。
そうやって男も女も手玉に取って来た悪魔。
人の弱点を嗅ぎ分ける能力だけは褒めてあげる。
私がどんな気持ちで彼の行動を監視していたと思ってるの?
二人が王太子殿下に内緒で図書館のあの場所で身を寄せ何をしていたの?
そういえばリリアナもあの時居合わせたっけ。
ハワードは侮辱された様に感じ顔を真っ赤にして怒る。
「彼女との付き合いは君より長い、彼女は優しく思いやりに溢れた人だ!」
「ハワード様が仰る事、全て論破出来ましてよ」
「……随分自信があるのだな?」
「えぇ、ずっと貴方を人質に奴隷の様に使われていたのですから」
「それはどう言う意味だ、人質になどなっていない!」
メリッサは一つ溜息をついた。
「分かりませんか?思い当たる事も?」
「一つヒントを差し上げますわ」
メリッサの目は妙にギラギラしていてハワードは背筋が寒くなった。
「思いもよりませんか、私は貴方を愛しているのです」
その頃、ドクトール家では一族の者が集まり噂について尋ねていた。
伯爵は顔色悪く、まだサインしてはいないが婚約破棄は時間の問題なのでその心積りでいる様にと告げる。
皆一様に茫然とした後伯爵に詰め寄った。
噂はもうかなりのところまで広まっていた。
そうなると今まで口を閉ざして来た人々も次々に証言をし始める。
リリアナの時より何倍も問題が大きく根深いものだった。
アリーシャは会えないエドモンドに何とかコンタクトを取ろうと手紙を届けさせたり、繋がりのある人物に仲介を頼もうとしたが上手くいかなかった。
何をおいても飛んで来ると思っていたハワードさえもまだ来ない。
イライラは募りとうの昔に止めていた爪を噛んでいた。
そして仕方なくまたペンを手に取る。
今の彼女がアリーシャの指示に従うかは分からない、しかしハワードが来られないとしたら父の公爵から軟禁されている事も考えられる。
アリーシャに対する噂が届いていない事を祈りながら、今度はメリッサに手紙を書くことにした。
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