一つの恋の⋯⋯醜聞
今日は王城で王太子妃教育を済ませ、王妃様からのお茶のお誘いまで時間が出来たので私専用のお部屋に来ていた。最近は何となく足が向かず随分と久し振りの様な気がする。
開け放った窓から香る新鮮な空気を胸一杯に吸い込み何度も深呼吸を繰り返す。
王妃様に暗い顔は見せられない、身体から悪いものを追い出すかの様にイメージしながら精神を統一する。
部屋付きのメイドがお茶を用意してくれたのでゆっくり味わいながらここ最近を振り返る。
何度も気分の浮き沈みを経験しながら殿下やハワード様の仰る通り、アリーシャ様の良いところをお手本にしようと思い直した。
私が未熟な部分が多いから、だから殿下に忘れられてしまうのだと思った。
アリーシャ様の真似をする様で心苦しかったが、よく観察して少しでも関係改善になればと頑張っていた。
殿下が多分心を寄せて触れる事さえも許しているのだからお好きなタイプの女性なのだ。
気配り上手で頭が良く、明るく物怖じしないし人望もある。
これも人生勉強と割り切ればいい。
人が見たら滑稽だと笑うかもしれない。
それでも今できる事にベストを尽くすのだ。
何とか心の中で折り合いを付け日々を乗り切っていた。
将来的には王妃になるのだから、強くならねばならない。
其れに殿下も側室を持たれるかもしれない、私に王子が産めなかったりすればあり得る。
いちいち目くじら立てていてはいけないのだ、もっと大事な役目があるのだから。
ようやく考えが纏まり心を強くする為に何をすれば良いのか、前を向く事にしてお茶会へと向かった。
それから暫くは学園でアリーシャ様の行動や言動を注意深く観察した。
良い事はどんどん取り入れて殿下に再び振り向いて貰う為に。
私と何が違うのか、人となりも知りたかった。
しかしこれが悪い方に取られてしまう。
最初は女子生徒から真似が過ぎると噂が立つ。
付き纏いの異常者の様だと悪意の噂に正直驚いた。
そして男子生徒からはまるで嫉妬して付け回しているかの様に嘲笑される。
アリーシャ様のファンの方々が私から危害を加えられるのではと、抗議された。
見習えと言っていたにも関わらず、ハワード様が面白可笑しくあちらこちらで煽っておられるらしい。
理由はちっぽけなプライドから話せず
「そんなつもりは無いのですお気を悪くなさらないで下さい」とアリーシャ様にも申し上げて分かったと仰って頂いたのに噂は収まらなかった
ハワード様にも誤解ですと弁解がましく言ってしまった。
殿下からも悪い方に取られて壁が出来てしまった。
幾ら嫉妬ではありません、と申し上げても剣もほろろにみっともないアリーシャを怖がらせるなと頭ごなしに仰った。
次第に遠巻きにされメリッサ様しか話せなくなった。
他の方は巻き込まれるのを良しとしないのか、私達は信じているからと言われるが余所余所しくなりクラスの雰囲気も悪くなって居場所が無くなった。
いろんな方にそんな意図じゃないと謝ったり、頭を下げて回った。
しかし嫌がらせの様にバッグに手紙が入っていたり、机に落書きされたりした。
人は信じたいものだけを信じ、見たいものだけを見るのだ。
悪意は伝播して王城にまで影響が出てきた。
そしてとうとう人格的に問題有り、婚約破棄も止む無しという悪意が私を蝕んだ。
いつも誤字脱字報告ありがとうございます。
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