一つの恋の⋯⋯失望
「リリアナ様?リリアナ様!」
はっ、として読んでもいなかった本から顔を上げる。
「どうなさったの、ボンヤリして」
「……いえ、少しばかり寝不足で」
「何かまた心配事でも?」
メリッサ様が覗き込む、栞を挟みながら本を閉じる。
今日は集中力が低下している、幾ら読んでも頭に入らない。
「何でもございませんわ、眠くてボンヤリしたみたい。御心配ありがとうございます」
「リリアナ様最近フラフラなさっているから。体調は大丈夫ですの?」
「この通り元気ですわ、ねっ」
わざと元気に振る舞う。
「なら宜しいのですけど。あちらで少し座りません事?」
メリッサ様が木陰のベンチに誘って下さって二人で話をする。
課題から最近出来た話題のお店の話まで。
そして最後に何時もの情報交換になる。
聞くのが辛いが、メリッサ様はこのお話をするのは同じ悩みを抱えている私しか居ないと言われる。
最初は私が支えるつもりだったのに、最近はあべこべになる。
結局解決策も改善策も見出せないまま落ち込んでいると
「ねぇ、気晴らしに最近話題のお店に行ってみません事?」
「私その手の話題は疎くて、どの様なお店ですの?」
「とっても美味しい紅茶とタルトのお店ですのよ、是非ご一緒しましょうよ!」
「……どうしようかしら」
「根の詰めすぎですわ。たまには良いでしょ、気分が晴れますわよ美味しい物は」
「それもそうですね、行きましょう。是非」
私とメリッサ様は放課後連れ立って話題のお店へとやって来た。
一時でも意識を他の事に向けたかった。
勿論、お互いの護衛兼従者は少し離れた所で待機させている。
少し並んでそれから入った店内は可愛い小物や甘い匂いと明るい話し声が入り混じり、とても素敵な空間だった。
窓辺に案内されて外を行き交う人を眺めながら美味しいタルトを頂いた。
久し振りに華やいだ気持ちになり話が弾んだ所で同じクラスのカトリーヌ様がたまたま通り掛かり、三人でご一緒する事になった。
楽しい時間はアッと言う間に過ぎ、そろそろお暇をと言う頃になって、通りの向こう側を仲良く歩く殿下とアリーシャ様を見つけてしまう。
時が止まった、そこだけ舞台でスポットライトが照らす様に。
スローモーションの様に腕を絡め体を寄せる二人がまるで恋人同士の様に通り過ぎて行った。
何故よりにもよって見つけてしまうのだろう?
見たくないものに限って目や耳に飛び込んで来るのだろう?
私の只ならぬ視線の先を見て二人共察したのだろう。
その事には触れずにお土産に何か買って帰ろうかしらと⋯⋯遠くで聞こえた気がした。
明日には噂に上るのだろうか、あんなに堂々と往来を行くのだから。
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