一つの恋の⋯⋯寂寥
其れからもすれ違いが続いた。
殿下もお忙しいし私の方も平日は学園関連、休日は王太子妃教育と目の回る忙しさだった。
しかも成績も恥ずかしくないものを要求される、始終気を張って頑張らないといけなかった。
殿下に恥をかかせる訳にはいかないのだから。
そして婚約者にも関わらず相変わらず思う様に殿下にお会い出来ていない。
時間を作ろうと言って頂けたのに中々時間が無いのか回数も時間も少なくなっている。
ティータイムでお会い出来ても何故かすぐに用事で席を外される。
そのままお戻りにならない事も多くなり段々と関係が希薄になってきた。
プレゼントも幼い頃の髪飾り以降、花やお菓子だったがここの所それも段々と間遠となりつつある。
他の御令嬢が婚約者の方々に頻繁にプレゼントやカードを頂くのを見たり聞いたりすると、心では抑えていても悲しみが込み上げてくる。
殿下はお忙しいと分かっていても心は穏やかになれなかった。
その内噂も立つ様になった。
嘘や誤魔化しの出来ないリリアナは殿下との事を突然問われたりするとしどろもどろになり、段々と粗雑な扱いを受けている婚約者と言うイメージが付いてしまった。
払拭しようと勇気を出して殿下のクラスに会いに行くと、何時も三人で仲良く楽しそうにされている。
会いに行けば今までと変わり無く接して貰えるが帰りしなに必ずアリーシャ様と比べられる。
被害妄想、と思うが何時も見習う様に言われると心が折れる。
謙遜は美徳、家庭ではそう教わっていたが過ぎると毒になる。
アリーシャ様は完璧で自分はその対極にあるかの様に錯覚を起こしてしまうのだ。
何故こんな事になるのだろうか?胸が痛い、苦しい。
殿下の笑顔が一瞬曇るのを見るのが怖くて、楽しい会話を止めてしまうのが怖くて。
その内会いには行かなくなった。
そして勉強や王太子妃教育に集中する様にした。
気持ちの澱は心の中に静かに積もっていった。
この気持ちを理解してくれるのはメリッサ様だけなので二人でよく話をした。
あんなに学園生活を楽しみにしていたのに早く卒業してしまいたかった。
そんな時悪意ある噂がリリアナのもとに届く。
殿下とハワード様がアリーシャ様を巡って恋の鞘当てをしているというものだった。
一瞬脱力してそれから「あぁ、そうなのか……」と納得した。
邪魔者だったのだ。
友人やクラスメイトに同情や憐れみを寄せられ、毎夜ベットの中で声を殺して震えて泣いた。
昼間はなんでも無いように振る舞いながら、蔑ろにされる辛さ苦しさから目をあえて逸らした。
朝は容赦なく訪れる、遠巻きにされ腫れ物扱いで居た堪れなかったとしても。
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