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第25話 戦闘終了。そして、

これからは不定期になるぜよ。

 倞は足元に転がったハーイ・ハンドの首を詰まらなそうに足で転がす。やがてそれも飽きたのか、適当に転がす。その際、倒れたままのリリスが目に入る。


「――確かコイツ(・・・)のお気に入りだったかァ?……丁度魔方陣もあるし、これで死なれたらコイツの心が死ぬとかシャレにならねェしよォ。」


 そう言いながら倞は展開してあった魔方陣を起動する。そこには「治癒」の文字(ルーン)が四つ記されていた。


「『ハイ・ヒール』」


 それは普段使われる『ヒール』の上位に当たる物で現在この『ハイ・ヒール』を使える者は片手で数えられる位しかいない。

 そして、その『ハイ・ヒール』は致命傷でも直ぐに処置すれば回復すると言う効果だが、この魔法陣を作るには、膨大な魔力と、確実に定位置に文字(ルーン)を配置する器用さ等が必要になる。故に戦闘では一切使えないとされている魔法だ。

 だが、倞の文字(ルーン)を見る力と、有り余る魔力がそれを可能とした。だが、それでも咄嗟の発動は出来ない。故に事前に魔方陣を作っておく必要がある。そして、ハーイ・ハンド戦では首を狙って来る事を予測し、切らせた瞬間に発動、怯んだハーイ・ハンドを攻撃すると言う無謀極まり無い事をしようとしていた。実際はやろうとし、恐怖に呑まれ心を折ってしまったのだが。


「うっ……。」


「目ェ覚ましたか?――オッと、そろそろリミットってか?……まァ、初めて出て来たにしては上出来ってか?」


 倞はリリスが目を覚ましたのを見届けるとその直ぐ傍に倒れこむ。


「――此処は何処だ?……私は――ッ!?そうだ!奴はどうした!」


 リリスは覚醒すると同時に、つい先程までの出来事を思い出し、辺りを見渡す。すると、首だけとなったハーイ・ハンドの姿を確認した後、傍らで倒れている倞を発見する。リリスは急いで倞の元へ行き脈をとる。


「――良かった……。まだ生きてる……。」


 リリスは未だに眠っている倞の頭を抱きしめる。その眼には薄らと涙が浮かんでいた。


 *


 ――同時刻

 そこにはボロボロになりながらも武器を支えに立っているアオバと、意識を失っている姉――マヤを支えているニイル、両手を広げ、後ろにいる者を守る体勢のまま意識を失ったランボ。そして右肩から左の脇腹へとかけて深い切り傷を負い、地面に倒れ伏すジウバの姿があった。


「――カッカッカ……儂の腕も衰えたな。」


「――こっちは四人がかりだって言うのにこんな有様だぜ?それで衰えてたとかシャレに何ねーよ。」


 ニイルの言葉にジウバは再び笑い、


「そう言うな小僧。……まぁ、儂はもう助からんじゃろうし、少しなら質問に答えてやっても良いぞ?」


 その言葉に、ニイルとアオバは互いに顔を見合す。そして、先にニイルが質問を開始する。


「先ず、お前らは何者だ?」


「お主らが魔族と呼ぶものじゃよ。」


「魔族ねぇ……。俄かに信じがたいが……。――じゃあ、何処から来た?」


「『封印の壁』からじゃ。」


「――『封印の壁』?『世界の果て』の事か?」


「まぁ、そうじゃな。」


「名前を名乗った時の席とは?」


「魔族の中での強さを表す……と言っても実際それそれ得意不得意が有るから一概には言えんがの。」


「それじゃ一番強いのは?」


「魔王レフィード様じゃ。あのお方の強さは儂ら席持ちが束になってもかなわぬ。そう言うお方じゃよ。」


「お前らの目的は?」


「より強い者との闘争。特にレフィード様はその傾向が強い。今回、壁を壊した後も一旦進軍しなかったのは、ある程度余裕を持たせるためじゃ。」


 その時ジウバがかなりの量の血を吐きだす。


「――もう長くは無いか。小僧、次辺りで最後になるじゃろう。」


「――そうか。」


 ニイルは俯く。そんな時、今まで黙っていたアオバが問う。


「――破壊した個所はあそこだけで御座るか?」


 その言葉にジウバは、少し頬を吊り上げ、


「もう一か所ある。儂の管轄外じゃったから詳しい事は分からんが、確か南の方にある海に開けていたぞ。」


 それだけ言うとまた吐血する。ジウバは今にも死にそうになりながら、最後にと、


「このまま死ぬのもなんだ。小僧、最後に一太刀入れてくれぬか?」


「――分かった。」


 ニイルはマヤを地面に寝かし、自分の得物をジウバの胸の上に添える。


「――あなたの事は忘れない。」


「――あぁ、ありがとう。」


 そして、ジウバの胸を貫く。

 ジウバは一瞬目を見開くが、直ぐに目を閉じた。その顔は少し微笑んでいた。


「――――。」


「ニイル殿……。」


「すまない。少しこのままにしておいてくれ。」


 ニイルはジウバの安らかそうな顔を見て暫く俯いていた。


 *


 燃え上がる街を鎮火するかのように雨が降り出す。魔族が残した爪痕は深く刻まれた。

 そしてこの数時間後、アニメジア連邦は国の機能を一時移転する事を発表。それと同時に魔族が侵攻を開始。残された国民を守る為、アニメジア連邦の兵や、冒険者が迫り来る魔族を足止めするも僅か10日で本土の殆どを占領されてしまった。

 その間、カンニバル帝国とヘルメス皇国の両国が正式に同盟を発表。それと同時に各国から兵や冒険者を募り『アニメジア連邦奪還作戦』が二週間後、決行される事が決まった。

ちょっとした小話

・ハーイ・ハンドの名前の由来は「高飛車」。本来ならピョングで死ぬはずでは無く、尚且つ死に方ももっとかっこ良くなる筈だった。哀れなり。

・ジウバは本来存在するはずの無い魔族。その名残で戦闘シーンは全カット。残念。


豹変後の倞は某一方通行さんみたいな感じで。全く似てないけど。

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