27.固有スキル
「……で」
ヤマトが腕を組む。
「試すぞ」
どんなものか把握しておかないと戦闘で困るもんね。
でもどうやって確認するんだろう。あのム●カのモノマネしてた精霊教えてくんなかったしなぁ。
「……あれ?」
頭の中に、文字が浮かぶ。
「なんか……頭の中に画面みたいなの出てきた」
「もしかしてステータス的な?あたしも出てきた。えーとレベル5って表示されてる」
「ゲームのような画面ですね。私はレベル3ですわ」
「ぼくもレベル3だよ」
「明らかに某ゲームみたいなのだな」
他の四人にも似たような画面が見えている様子。
レベルが全員同じようなものだ。レベル5って事はまだまだ全然弱い序盤って感じだ。ゲームみたいにレベル上げは必須だろう。
「えっと……」
画面上にはスキル欄。
「俺、魔の浄化って書いてある」
スキル説明の奥に、もう一つ表示があった。
――《???》
なんだろ、これ。
レベルをあげないと見れないみたいだから今はスルーでいいか。
「浄化はいかにも勇者っぽいな」
ヤマトが納得顔。
「悪いものを祓う系だよね」
ハヤミも同調。
「サクラコさんは?」
「私は家事全般魔法……ですね」
「幅広っ!!」
生活に便利そうなスキルだなぁ。ある意味羨ましい。
「でも戦闘にも応用可能ですわ。編み棒やリリアンをナイフ代わりにしたり、さらにレベルを上げると掃除機で吸い込むことも可能な即死技を覚える……とありますね」
「うわ、それ怖くない?万能すぎるぅ……」
「ハヤミは?」
「あたしね~実は元々スキル持ちなんだよね。鑑定と索敵」
「テンプレ来たな」
ヤマト即ツッコミ。
「でもこれのおかげで良い悪いの人間が判断できるの。おかげでユラの事、初対面で素敵な人だって見抜けたんだよねー。さすがに勇者なのは驚いたけど」
「そうだったんだ……」
俺の存在はハヤミが初対面で見始めてたんだなぁ。
「あと」
ぐっと拳を握る。
「身体能力、めっちゃ上がってる。あたし、前衛だわ。今ならオークも一撃で倒せそう」
「それは戦力としてありがたい」
「で、ヤマトは?」
一斉に視線が集まる。
「ブラックマーケット」
「「「なにそれ」」」
「危ない商品を売買できるスキルだ」
「説明がもうアウト寄りですが」
そんな怪しいスキルありなのか。
「武器、車、情報、裏の流通、ヤク……」
「普通に危ないというか最強じゃんそれ!?」
「もちろん買うのに金がかかる。使い方次第だな」
ヤマトがニヤリと笑う。
その言葉に、なぜかほんの一瞬だけ背筋がざわついた。
理由はわからない。けれど、すぐにどうでもよくなっていた。
「ダイゴローは?」
「ぼくね」
元気よく手を上げる。
「精霊の声聞いたり、妖精といっぱい仲良くできる!」
『もともとだろ』
「うん!」
強化されてるのかそれは。
『かわいさアップだな』
「それ重要!」
それぞれの力が、少しずつ見えてくる。
でも――……
「なんか……」
ユラがぽつり。
「とんでもないことになってきたなぁ」
「今さらだろ」
ヤマトが笑う。
「でもさ」
ハヤミが前を見る。
「ちょっとワクワクしてきた」
「じゃあさっそく」
ヤマトが目を細める。
次の瞬間、ヤマトの周りの空間が歪んだ。
「うわ!?」
驚く俺を他所に、ヤマトは冷静だ。
目の前に黒いウィンドウのようなものが浮かび上がっている。ステータスやレベルのウインドウは頭の中の画面に出てくるが、商品購入の際は仲間と共有できるようだ。
「これが……ブラックマーケットか」
そこには怪しげな商品一覧。
●武器一覧
・ワルサー
・グロック
・スミス&ウェッソン
・スプリングフィールド
・シグザウエルP365シリーズ
・打ち上げ花火
他いろいろ
●乗り物
・自転車
・三輪車
・原付バイク
●その他一覧
・禁断の魔導書
・違法強化ポーション
・呪われた短剣
・謎の異世界雑誌
・日用品一式
「ラインナップやばくない?」
「危なそうなのばっかじゃん。つか三輪車とかウケる」
俺やハヤミが引く。
「……今はまだレベルが低いからこの程度しか買えないか。銃もありきたりな軽いものしかない」
ヤマトが淡々と分析。
「とりあえず試しに購入してみる」
指をスッと購入ページに動かす。
ぽんっ
目の前に現れたのは――――
「……なんだこれ」
海外の怪しい雑誌一式が出てきた。
「うわ」
中身は海外のエロ本だった。
白人女性から黒人女性のいろんなあんな所やこんな所が丸見えだ。
「なにこれ。キモっ!」
ハヤミが即ドン引き。俺も唖然とした。
「研究だ」
ヤマト、真顔。
キミ、何を研究するの何を。
「ユラがどんな反応するか確認したかった」
「なんで俺基準!?」
「恥ずかしがる顔が見たかった。それが研究内容だ」
「正直すぎる!!」
確かに恥ずかしいです。こんなの真顔で見られない。
俺は中身年頃の17歳男子とはいえ、過激なのはちょっと疎い。
「まあ、それは納得ですわ。ユラさんの恥ずかしがる顔はとっても見ものです」
サクラコさん、にっこり。
「そんなもの見ないでくださいよっ!」
「あーたしかにぃ。ユラの恥ずかしがる顔ってなんか滾るしぃ~」
でへへへ♡とよだれを垂らしかねないハヤミにドン引きする。残念美少女ってやつっすか。
「わー」
俺がハヤミに呆れていると、ダイゴローが興味津々で雑誌を覗き込んでいた。
「なにこれ変なのー」
「見ちゃだめええええええ!!」
子供には早すぎる。見たら変な性癖芽生えちゃうじゃん。
「ねーねーなんでこの人たち服着てないの?男の人が女の人にプロレスかけてたよ。裸で」
「説明できないやつだから!!」
プロレスとか裸とかパワーワードすぎる。ていうか大体見られちゃってるし!!
「これはな」
ヤマトが真顔で言う。
「大人の娯楽だ」
「雑すぎる説明!!」
「大人になると、こういうのに興味が出る場合もある」
「フォローしてるようでしてない!!」
「でも」
ヤマトがぼそっと続ける。
「オレはユラ以外でそういう感情は動かんだろうな」
「何言ってるの!?」
「わかる」
ハヤミが即同意。
「他の人とか見ても別にって感じ」
「同調しないで!?」
「ユラさんは……」
サクラコがうっとり。
「とても魅力的ですから。うふふふ」
「やめてくださいその怪しい目!!」
「特にあの柔らかそうなおっぱい……」
「ストップ!!!」
「禿同」
「ハヤミ同意すな!!」
「今晩、風呂……」
ヤマトがぼそっと呟く。
「覗けばいいだろ」
「やめろ犯罪者予備軍!!」
「おかずになるかもしれん」
「その言葉ダイゴローの前で言うな!!」
「おかずってなに?」
「説明不可!!もうやだ!このメンバー!俺をそういう目でしか見てないぃいい!!」
俺の顔面はムンクの叫びのように伸びたり縮んだりしている。
「変態しかいない!!誰か助けてぇぇぇぇ!!」
そして、半泣きで現状を嘆いた。
『むりだコラ。だりー』
『ざまあ味噌漬け。アキラメロン』
『てめえがスケベ共の餌だ。潔く辱められろ』
「妖精まで!?」
これぞ四面楚歌というやつか。
もう題名を『俺の仲間は変態しかいない兼について』って改名したいんですけど。
おっとメタ発言すんません。以後気を付けます。




