表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
訳アリ食堂店員、勇者になってしまう〜学園の嫌われ者がイケメン英雄になるまで〜  作者: はえたたき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/30

19.ダイエット

 学校が終わった夕方、店の裏口を開けるとほっとする匂いがした。

 親父特性のもつ煮込みの匂いだ。あとはサクラコさん特製のカレーのスパイスの匂い。

 芳しい匂いに誘われて、己の腹の音がぐううと鳴った。


「……腹減った」


 思わず呟く。もちろん疲労もある。

 今日は一日中、視線に晒されっぱなしだった。

 見下すような視線じゃないのが逆にやりづらかった。


「ユラさん、おかえりなさい」


 やわらかい声。安心する。

 サクラコさんが立っていた。


「いきなりであれなんですが、少しお時間よろしいですか?」

「?……別にいいですけど」


 部屋にかばんを置いてすぐに戻ってくると、すぐに提案された。


「え……ダイエット?」


 俺は思わず顔をしかめる。


「はい」


 サクラコさんはにこりと微笑む。


「ユラさんの体は、ちゃんと大事にされるべきものです!私、そういうの得意なのです!」


 やる気に燃えたように、目をキラキラさせている。


「いや……でもその……」


 視線を逸らす。


「何回もやったことあるんだけどさ……全部失敗してて、続かないし、すぐ戻るし……」


 思い起こさせる過去の数々の失敗。

 何度やってもなかなか痩せない自分の肉体は呪いかなんかかと思っていた。

 この呪いは解けるのだろうか。


「大丈夫ですよ」


 即答する。


「私、エステやエクササイズは得意なんです。昔、何人もの方のお悩みを解決に導いた実績もあります」


 得意げに一歩近づく。


「食事療法も、体質改善も、自律神経魔法も使えます」

「自律神経魔法?」

「体内の巡りを整えたり、毒素を排出したりする魔法です。神官が使うような回復魔法とはちょっと違いますね」


 さらっととんでもないことを言う。


「無理なく変わりますよ。いえ、変わらせて見せます。体内の脂肪吸収や老廃物のお掃除はお手の物ですから」


 無理なく……か。

 まるでエステの営業を受けているみたいだが、無理なくという単語は魅力的だ。

 それにサクラコさんのやる気に満ちた目と彼女の誠実さに信じてみたくなる。


「……ほんとに?」

「はい」


 優しく微笑む。


「……じゃあ、やってみます」

「では!一緒に頑張りましょう」


 サクラコさんの熱意と自律神経魔法の魅力に押され、さっそくその日から始まった。

 彼女の徹底的な食事管理、軽い運動、ハーブティー、ヨガ、精油のマッサージ。

 そして、彼女の自律神経魔法が静かに体に入る。

 体の内側がじわじわ変わっていく感覚がして、今までの重かった体がスッキリしていく。


 翌日、すぐに体重計に乗った。


「……え?」


 体重計の数字を見て固まる。

 110キロから90キロになっていた。


「いやいやいやいや」


 思わず後ずさる。


「ちょっと待って。これチートじゃない!?」


 サクラコさんは穏やかに微笑む。


「いえ、脂肪が一気に落ちたわけではありませんよ」

「え?」

「まずは体内の余分な水分や老廃物を排出しただけです。あとはユラさんの頑張り。私は手助けしただけです」

「いや絶対違うでしょ」

「いえいえ。むくみや毒素が抜けるだけで人はこれだけ変わるんです」

「……え、じゃあ」

「ここからが本番です」


 これからが大変なのだが、やっぱり嬉しいのは隠せない。

 だって一日で20キロ減ったのだ。すごくないですか自律神経魔法。

 サクラコさん、俺の神じゃん。いや、女神様か。


「サクラコさんてば俺の女神。好きです!」

「んまあ、ユラさんったら。私も好きですよ♡」


 つい、好きと言ってしまったが、彼女も笑顔で返してくれた。

 それが満更でもないなんて知る由もなく。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ