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第80話:新宿ダンジョン第十六層リベンジ編:後編


【プラチナ・リザードの爆砕と、伝説の凱旋】

 十六層の最奥、広大な大空洞に地響きが鳴り渡りました。現れたのは、通常の白銀トカゲを二回りも上回る巨体を持つ、十六層の主・**『白銀大蜥蜴プラチナ・リザード』**です。その鱗は鏡面というよりも、もはや純粋な宝石のように輝き、周囲の熱を吸い取って冷気の嵐を巻き起こしていました。


「ひ、ひるむな! 包囲して……」  カイトが叫びますが、プラチナ・リザードの放つ圧倒的な威圧感に、『ブレイズ・アロー』の三人は足を震わせます。


「……貴様らは下がっていなさい。これは貴様らの手には余るわ」


 大介(エイミー体)が、悠然と三人の前に躍り出ました。その姿は、かつてトカゲの群れに囲まれて泥臭く戦った男の面影はなく、真に戦場を支配する「氷炎の魔女」そのものでした。


「(さて、エイミーに教わった『属性の混合』……あの時は無理やりぶつけて爆発させただけだったが、今はもっと上手くやれるはずだ。火と氷、相反する魔力の渦を……指先で『調律』する!)」


【極彩色の終焉フィナーレ

 大介は両手を広げ、右手に極限まで圧縮した「灼熱」、左手に全てを静止させる「凍結」の魔力を生成します。  プラチナ・リザードが咆哮を上げ、光の束のようなブレスを放ちました。大介はそれを、魔力の壁で受け流すことさえしません。


「――踊りなさい。『氷炎の双翼バイ・エレメンタル・バースト』!」


 大介が両手を合わせ、相反する魔力を一つの螺旋へと織り成しました。  それは以前のような「相克の自爆」ではありません。火が氷を押し出し、氷が火を研ぎ澄ます、完璧な魔力の加速装置。放たれた極彩色の光軸は、プラチナ・リザードが誇る最強の反射鱗をも貫通し、その巨躯を内側から「沸騰」させながら「凍結」させるという、理外の現象を引き起こしました。


「ギ、ガ、アァァァァァ……ッ!!」


 轟音と共に大蜥蜴が砕け散ります。爆風が空洞を駆け抜け、後に残ったのは、キラキラと輝く光の粒子と、十六層の希少素材『プラチナ・ハート』だけでした。


「……ふぅ。まあ、こんなものかしら」


 大介(エイミー体)は、乱れた髪一つない完璧な動作で「クリーン」を唱え、涼しげな顔で振り返りました。呆然と立ち尽くす『ブレイズ・アロー』の三人に、彼は不敵な笑みを向けます。


「いい? 魔法ってのは、最後は『気合』と『イメージ』なのよ。……さて、荷物持ちの仕事が残っているわ。さっさと素材を拾いなさい、雑魚ども」


【エピローグ:残された伝説】

 数時間後。新宿ギルドのロビーは、再び静まり返っていました。  ボロボロの装備ながらも、どこか誇らしげな顔をした『ブレイズ・アロー』の三人。そして、その中央を「散歩帰り」のような涼風を纏って歩くエイミー(中身:大介)。


 受付カウンターに叩きつけた『プラチナ・ハート』を見た北川さやかは、眼鏡をずらして絶句しました。


「……十六層の主を、無傷で? しかも、この駆け出しのBランクたちを守りながら……?」


「北川、次はもっと骨のある依頼を持ってきなさい。この程度、退屈すぎて欠伸が出そうだわ」


 大介(エイミー体)は、六千万を超える換金手続きを待つ間もなく、優雅にギルドを後にしました。周囲の冒険者たちは、彼女が通るたびに道を開け、畏怖を込めてその背中を見送りました。


 深夜。新宿のアパートに戻り、エイミーの体でベッドにダイブした大介は、天井を見上げてニヤリと笑いました。


「(ははっ、完璧だ。十六層へのリベンジ完了! 次にエイミーと入れ替わった時、あいつがどんな顔するか楽しみだな。……さーて、四日目が来るまで、もう少しこの『無敵のお嬢様』を楽しませてもらうぜ)」


 大介は、心地よい魔力の余韻を感じながら、幸せな眠りに落ちていきました。

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