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109話 同じ時間を生きる者の「正解」


「……結局、あそこには私の居場所なんて、どこにもありませんでした」


エイミーが力なく笑うと、セレナは小さく溜息をつきました。


「そうなることは分かっていたはずよ。でも、あなたはそれでも『確認』しに行かざるを得なかった。人族である大介さんとの未来に怯えて、自分の根っこを確かめに行ったのよね」


セレナはティーカップをテーブルに置き、エイミーの目を真っ直ぐに見つめました。


「エイミー、あなたは以前『人族は瞬きする間にいなくなるから関わらない』と言っていたわ。それはエルフとしての、一つの正解よ。私たちにとって、彼らとの交流はあまりに短すぎて、残される側の痛みが大きすぎるもの」


「……ええ。昨日、先生が亡くなったと聞いた時、全身の血が凍るかと思いました。大介さんのことも、いつかあんな風に、私の手からこぼれ落ちてしまう日が来る。そう思ったら、もう……」


「でもね」


セレナは言葉を継ぎました。


「実家の人たちは、私たちと同じ『長い寿命』を持っているわ。お父様も、お兄様たちも。けれど、その長い時間の中で、彼らがあなたを一度でも、あの大介さんのように心の底から笑わせてくれたことがある?」 


エイミーは息を呑み、言葉を失いました。


実家での数十年。そこにあったのは、終わりのない義務と、冷淡な比較と、自分を道具としてしか見ない視線だけでした。

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