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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
玉座なき魔王編

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ep8.玉座なき魔王編 アザートス戦

 精霊の国での賑やかなクリスマスを終えた翌朝。


 創夜がスキルを発動した。

 ――充足の聖域フルメモリアル・チェック

「そろそろ良さそうだな」

(100の思い出はそろったぞ)


 アストラル・ブレイカーの傍ら、いつものように草原で食事を済ませた創夜たちに、仲間たちが問いかけた。


「創夜、次はどうするの? アザートスの居場所はわかったのかしら」

 セリアが不安げに尋ねる。創夜は静かに立ち上がると、隣に座るリンに向かって手を差し出した。

「リン、頼みがある。俺の手に、最初に出会った時のように『気』を感じさせてくれないか」


「……? 今更どうしたアル? お安いご用ネ!」

 リンがその意図を疑わずに、創夜の手を握り、温かな気を流し込む。その瞬間、ミリィの未来視が『瞬間移動』の強烈な予兆を捉えた。


「ちょっと創夜!  どこへ行くつもり!?」

 ミリィの鋭い声に、リンもハッとして創夜の目を見る。そこに宿る決意を見て、リンはすべてを察した。


「……アザートスを討伐しに行くアルか!? 一人で行くなんて、絶対許さないアル‼ みんなついていくって約束したアル」

 怒りと悲しみの入り混じったリンの声。だが、創夜の身体はすでに半透明になり始めていた。

「悪い。……すぐ終わらせてくる。みんな、あとでな」


「本当に仕方ないわね……」

 背後で重なる仲間たちの叫び声を背に、創夜の意識は次元を跳躍した。


 視界が開けると、そこは不気味に脈動する肉壁に囲まれた、巨大な子宮のような空間だった。

 その中心で、巨大な赤ん坊のような魔王アザートスが眠っている。

「こいつが玉座なき魔王か……まるで体内の赤ん坊だな」


 創夜は一人、呟いた。この魔王には自我がなく、ただ夢を見ている。だがその夢が現実を侵食し、世界を消し去ろうとしているのだ。

「寝てるところ悪いが、瞬殺させてもらうぞ、俺がここに来た時点でスキルの発動条件によりお前は一歩も動けない!」


 創夜は夜の剣を鞘に納めたまま、自身の存在を『夜』そのものへと塗り替えるための呪文を紡ぎ出す。

「俺は、夜が好きだ。輝く星。……俺は、名前のせいか――自分が『夜』そのものなんじゃないかと思うことがよくあった。

 いや……今もそうだ。俺という存在は、この溢れんばかりの星光ひかりで出来ている。

 見上げれば、そこには果てしない銀河。一つ一つが、俺が紡いできた消えない記憶。

 どこまでも明るく、どこまでも高く。この夜空に、一寸の淀みも許しはしない。

 ――さあ、目を逸らすな。これが俺の創り出す、最高に眩しい世界の姿だ」


 ――固有結界:星夜の銀河スターリーナイト・ギャラクシー


 ドクドクと不気味だった体内のような景色が、一瞬にして静寂と煌めきに満ちた、果てしない星空へと書き換えられた。

 創夜は腕のリングに触れ、かつて力を貸すと約束してくれた仲間たちへ一斉に呼びかけた。


「みんな、聞こえるか! 今、力を貸してくれ。……お前たちの楽しかったこと、うれしかったこと『プラスのイメージ』を思い浮かべてくれ!」


 リングを通じて、次元を超えた声が響き渡る。

「創夜ここどこ!?」

「安心しろ、俺の固有結界の中だ、」


 アレル、シオン、スーたち勇者とリリィの「思い出」。

 カエデ、奏雅、そして無刀たちの「和の国の思い出」。

 アザートスの周囲に、光り輝く星々のような剣が、数多に出現した。


「……行くぞ」

 創夜は一本の光り輝く剣を手に取り、アザートスの巨体へとまっすぐに拳を打ち込んだ。


 ――最終奥義:絆の銀河連斬メモリアル・ギャラクシー・ストリーム


 仲間のプラスの感情を具現化した剣を、直線的な最短ルートで次々と乗り継ぎ、攻撃を重ねるたびに威力と速度を指数関数的に増大させる創夜独自の究極スキル。

 斬るたびに、アザートスの身体に楽しい思い出の光景が浮かび上がる。


「これはお前の夢だろうが、俺たちにとっては現実だ! そして……俺がこれからも一緒に冒険したい仲間は、こいつらなんだ!」

 創夜は一瞬の迷いも捨て、神速の移動を繰り返す。


「悪いな。……このスキルは一人じゃないと使えないんだ。俺が……そういうイメージしかできないから。でも、最後は、お前らの力が要る!」


 創夜はリングを通じて、最愛の仲間たちに叫んだ。

「リン!  セリア!  ミリィ!  ミーナ!  フィーリア!」


 距離が遠いせいか、仲間たちの声が一瞬聞こえにくかった。

「しーよ!」「早く!」「もう少し……」「ねぇ、まだ?」


「みんな、聞こえているよな?」

「こんなところにいたのね!」

「言いたいことは山ほどあるけど、力を貸すわ」

「楽しかったことアルね」

「楽しかったこと」

「プラスのイメージ!」


 創夜がアザートスの周りを囲むように生成された思い出の剣を1本づつ手に取り、切込み、反対側の剣を掴み再び加速しながら切り付けていく。ちょうど20本分使い終わったところで、謎の5つの光が50本ほどの剣を消費させた。


「なんだ!? 失敗か?」

 うっすらと見える。ポニーテール、ツインお団子、くるんとまいたツインテール、長い髪、しなやかな長いツインテール。

「ミリィ リン ミーナ セリア フィーリア? 幻でも見ているのか?」


「次にあっちの剣を取ればいいのね」

「剣も気を込めれば何とか使えるアル」

「本当にもう! 魔法使いに剣を使わせるなんて!」

「一人じゃやらせないわよ!」

「剣も習っておくんだったわ!」

「みんな! どうしてここに! まあいい。今はこいつを倒すのが先か」


 創夜は残った数本の剣を取り、更に切込み、周りに生成された99本の剣をすべて仲間たちとともに使い果たした。


 天から降り注ぐ巨大な光の剣。

 創夜がそれを両手で握ったその時、皆が瞬速でタイミングよく創夜の周りに集まり、巨大な剣を握り、仲間全員で、アザートスの核を真っ向から叩き割った。

 凄まじい光が爆発し、魔王の夢は崩壊していく。


 それと同時に、創夜が力なく空中から下へと動かずにただ落ちて行った。


「そういえば、このスキルは使った後、使用者が死ぬんだっけ……みんな悪い。先に行ってる。みんなと会えて本当に楽しかった……ありがとうな」

 創夜は意識が遠のく中、膝をついた。

 創夜は薄れゆく意識の中で、仲間たちが自分を囲んでいるのを感じた。

(助かったのか……)

「なんでみんなここにいるんだ!?」

 各々、自身の理由を創夜に言い聞かせるように呟いた。

「気の使い手の師匠がいて」

「誰が気を教えたと思っているアルか」

「メトロポリスの最先端科学」

「本当に誰が次元を超えてメッセージを送れるようにしたと思っているの?」

「未・来・視のスペシャリストがいて」

「わたしにもう見えないものはないわ」

「悪魔の書の持ち主が居て」

「セクシーなおねぇさんが居て」

全員が口をそろえた。

「あんたを見つけられないわけがないわ(アル)」


「はははっ、そりゃそうだよな。そうか、そういうことか、あの物語のスキルの死の条件は『生成された100本の『剣』すべてを、《《使用者自身の手で使い切り》》、対象を斬り裂くこと』。《《この全行程を一人で完遂した瞬間、使用者は魂のすべてを消費し、確実に絶命する。》》って意味深な条件ついてたっけ、後から駆け付けたりして、仲間が攻撃してもスキルは有効で、一人ですべての行程を済ませてしまった場合のみ《《死亡の条件を満たして》》死んでしまうという意味深な技だったのか。全然知らなかったぜ!」


そう呟いた創夜は、アイテムボックスから出されたロープにより一瞬で仲間たちに縛られた。

「もう逃がさないわ(アル)!」

「いや、にげないって……どういうことあるか!」

「許すとは言ってない(アル)!」

「ひぃ……勘弁するね、もう勝手に一人で行かないから許してください」

「これでもう、あなたは一人で無茶できないわね。だって……私たちはもう、《《あなたの隣に立っているんだから》》」


こうして、創夜達はアザートスを無事討伐したのだった。


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