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転生したら無職で追放されたけど、実はチートだったので、とりあえず、魔王というやつをこの目で確めて来ます  作者: @SsRay
メトロポリス編

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ep4.メトロポリス編 予測不能な仲間達

 「これでも食らうアル!!」

 閉ざされた空間に、リンの鋭い呼気が響く。

 仲間との連携を封じられ、目の前には漆黒の重装甲機グラビティ・アタッカー。絶体絶命の包囲網——。しかし、リンの瞳に宿る闘志は、微塵も陰っていない。

 ドローンを一掃した時と同じ、重い一撃が繰り出される。

 ドゴォォォン!!

 少女の拳からは想像もつかない衝撃がアタッカーを捉える。だが、敵はピクリとも動かない。それどころか、装甲の表面に不気味な幾何学模様が浮かび上がった。


 「……物理反射アルか? そんなのカンケーないアル!」

 そう、この敵は全ての物理エネルギーを鏡のように跳ね返す『絶対反射障壁』を纏っていた。本来なら、触れた瞬間に自分の拳が砕け散る絶望のシチュエーション。だが、リンは不敵に口角を上げる。

 「面白いアル。どっちが硬いか、ワタシの拳で試してやるアル!」


 ガツッ! ボグォォッ! ドシュッ!!


 リンは止まらない。魔法に切り替えるどころか、さらに加速して「物理反射」の壁を殴り続ける。本来なら跳ね返った衝撃でリン自身がダメージを受けるはずだが、反射されたエネルギーは彼女に触れた瞬間、霧のように霧散していく。

 反射すら、リンの勢いを止められない!


「無駄アル! ワタシには、そんなの通用しないアル!」

 リンの拳が加速し、火花が散る。反射の光を無理やりねじ伏せ、物理法則を力技で書き換えていくような超常の乱打。その時、直接脳内に凛とした声が響き渡った。


 『——リン! 聞こえるか!?』

 『創夜!今いいところネ!なにか用アルか?』

 弾むような声で笑いながら、リンの右拳にさらに巨大なエネルギーが凝縮されていく。


『その敵はガントレットをもらう前の対リン専用の対策がされた特化型だ! 魔法を付与した拳で殴れ』

『そういうことアルか』


 リンは即座に拳に魔法を付与した。今までの相手なら、効果なしといったことは無かっただろう。


 ――烈空震掌 (レックウ・シンショウ)

 風魔法をこぷしにのせ、空気を振動させる魔法の拳を放った。


 物理反射の壁が風魔法により粉砕され、自己修復機能がついていたはずのグラビティ・アタッカーを即座に粉砕した。その瞬間、ほぼ同時に、拳から放たれた無数の風魔法が囲んでいた壁を粉砕する。


 ◇◇◇◇


 リンが力技で暴れまわるその一方で、ミリィの前にも絶望的な速度が立ちふさがっていた。

 超高速駆動する暗殺機、マッハ・ブレード。

 銀色の残像がミリィを包囲し、無数の斬撃が襲いかかる。しかし、ミリィは微動だにしない。まるで飛んでくる刃の軌道が最初から見えているかのように、最小限のステップで全てを空振りさせていく。


 「そこね!」

 鋭い踏み込み。ミリィの剣が、マッハ・ブレードの動きの隙を完璧に突いて叩き込まれた。

 ――ガキンッ!!


 しかし、手応えはゼロ。ダメージは全く通らない。


 ミリィの瞳が青白く輝いた。未来視。

 反射によって自分の剣が弾かれる未来を、彼女はすでに脳内で再生していた。

 「……そういうことね! 私が物理攻撃しか使えない、ただの速いだけの剣士だと思ってるのね」

 ミリィは余裕の笑みを浮かべ、猛攻をひらりと回避しながら言い放つ。

 「ふふ、笑えるわ」


 マッハ・ブレードが苛立ったようにさらに加速する。だが、ミリィはすでに勝利の確信を持って剣を天に掲げていた。


 「ただの物理攻撃じゃないわよ。――聖なる力よ、我が刃に宿れ!」

 彼女が唱えたのは、光魔法を超えた神聖なる白魔法。

 剣身が眩いほどの白光に包まれ、反射障壁という物理法則すら超越したエネルギーが渦を巻く。

 「見切ったわ、これでおしまい!」


 マッハ・ブレードが突き出した刃のさらに先、その中心部コアへ、ミリィの聖剣が真っ向から突き立てられた。


 ――グランド・クロス!!


 ドォォォォォン!!

 十文字に爆ぜた聖なる閃光が、マッハ・ブレードを芯から蒸発させる。

 物理反射の壁ごと、周囲を囲んでいた空間すらも一撃で粉砕。立ち上る光の柱の中に、ミリィは涼しい顔で立っていた。


 ◇◇◇◇


 リンとミリィが壁をぶち抜く中、もう一人の少女——悪魔のミーナもまた、退屈そうに敵と向き合っていた。

 彼女を囲む壁の内側に配置されたのは、対魔法特化型の人型機械、マジック・ディフェンダー。

 魔法を感知し、あらゆる術式を無効化・反射するその機体は、本来ならミーナのような悪魔にとって天敵のはずはなかった。

 ミーナはクスクスと不敵な笑みを漏らす。

 「あはははっ! 私の『悪魔の力』を、そこらの魔法と同じだと思っているのかしら?」


 マジック・ディフェンダーが、ミーナから漏れ出す強大な魔力に反応し、反射障壁を最大出力で展開する。しかし、ミーナは愛用の『ソロモンの書』に触れることすらしない。


「こんなおもちゃ、悪魔を召喚するまでもないわね」

 ミーナが軽く拳を握る。その瞬間、彼女の細い腕に、おぞましいほど高密度のエネルギーが凝縮された。それはことわりに縛られた魔法ではない。悪魔が振るう純然たる破壊の化身。

 ——紫雷しらい!!


 ドォォォォォンッ!!

 目にも止まらぬ速さで叩き込まれた拳から、禍々しい紫の稲妻が爆ぜた。

 マジック・ディフェンダーが自慢する魔法反射の障壁など、紙切れのように容易く貫通。紫の雷は機械の体を内側からドロドロに溶かし、そのままの勢いで周囲を囲んでいた巨大な壁を粉々に粉砕した。


「リン師匠直伝の悪魔の拳はいかがかしら」

 立ち上る紫の火花を背に、ミーナは満足げに微笑んだ。

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