ep2.メトロポリス編 挨拶返し
セリアが両手に炎の魔法陣を展開する。
「紅蓮の螺旋!」
セリアから放たれたのは、回転する炎のドリル。ドローンの一団を貫き焼き尽くす。
『解析結果:セリア、火属性・貫通型魔法。次回の防御として、火属性耐熱アーマーを瞬時形成……』
だが、セリアの二撃目は、魔法陣の形すら異なる、見えない力のムチだった。ムチはドローンに触れることなく、内部の回路だけを振動で破壊する制御魔法の応用だった。
『警告! 制御魔法・振動干渉型!前回のパターンと属性、系統が完全に異なります!防御アルゴリズム、再構築…失敗』
リンはドローンに肉薄する。彼女の魔法を打てるガントレットから魔法が放たれると見せかけて、繰り出したのは、拳圧の空気の拳。空気の壁を砕き、ドローンをバラバラにする。
『目標リン、格闘術のデータと金属制御魔法のデータが衝突。分類不能』
ミーナは地面に陣を描き、そこから小型の火の悪魔を呼び出し、炎で周囲のドローンを焼き払う。次に彼女が呼び出したのは、悪魔の書から召喚された、地獄の紫の雷を操る雷の悪魔。雷は金属のドローンを一瞬で溶断していく。
『警告! 識別不能、理解不能』
ミリィは新装備の防具で身を固め、剣を振るう代わりに、無我の境地の回避術で、ドローンの集中砲火の中を踊るように駆け抜けていく。彼女の体表を、無数のレーザーや弾丸が数ミリの差ですり抜けていく。そして、ロボット達の隙をついて、軽い動きでカウンターを叩き込む。
『目標ミリィの回避率:100パーセントを継続。回避動作が最小すぎて、運動エネルギー解析が困難、予測不能』
そして、剣の柄を、敵の攻撃を正確に弾き返す盾として利用し、ドローン同士の衝突を誘発させた。彼女はまだ瞬速の剣の真髄である超高速移動を封印している。
創夜は次々と技を変えながら、ドローンの群れを減らしていく。彼はガントレットに全ての魔法を込めた『複合魔法』を放った後、次の瞬間には剣を透明な『見えない刀』に変形させ、一閃のもとにドローンを両断した。
『警告! 目標ソウヤ、データベースに存在する全ての魔法、物理攻撃、共にデータなし、分析不能』
メインコンピューターのAIの音声に、初めて明確な混乱と苛立ちが混じり始める。
『彼らの戦闘スタイルは、理解不能分析を継続』
数万機いたドローンの数は、すでに一割以下にまで減っていた。
創夜は夜の剣を構え、笑みを深めた。
「俺たちの強さの秘密は、お前が最も苦手とする予測不能性だ。さて、AI。次の手は何を出す?大体お前らが勝手に攻撃してきたんだぞ!」
たった6人と数万機の機械軍団との、絶望的かつ圧倒的な力の差を持つ戦いは、人間側の圧倒的な勝利に終わろうとしていた。




