3-11 仕置き
エンドに運ばれて普段よりも格段に楽な移動となったと話すシタラではあるが、それでも疲労は重なる。また、小鬼達も警戒しながらの移動であるために無理の無い移動計画を立てており、十分な時間を休息にあてて取る事となっていた。
シタラと食事をしたり、会話を楽しんでいたエンドであったが、シタラの疲労と眠たげな様子を見る。空は既に暗く、夜遅くとは言えないものの寝てもおかしくない時間であり、休む様に勧めた。少し思案したシタラであったが、無理をして他のヒトに迷惑をかける方が良くないと駕籠に戻った。
野営場は交代で小鬼達が警護をしていたため、エンドも気楽に散歩をしていると、どこからかくぐもった声が聞こえて足を向ける。
「ン゛〜!ン゛〜!!」
そこに見えたのは猿轡を噛ませられ、ロープで木に吊るされているツインテールの小鬼の姿であった。駿河問い、とふとエンドの脳裏に言葉が浮かぶ。意味はよく分からないが、目の前の様な状況の事だろうと思う。
「失礼、これは何をしているのかな?」
吊るされた小鬼を足蹴にして揺らしている別の小鬼に声をかける。
「ああ、コレですか?いや、男性に対して暴言を吐いた上に、さらに襲い掛かるとか・・・未遂に終わったとはいえこれくらいやらないと。いや、本当にコイツ、メガラって言うんですけどシタラ様の妹じゃ無かったら処す所ですよ。女の風上にも置けない。オラ!」
そう言うと縄を捻り、回転するメガラを更に蹴飛ばす。
「ン゛ン゛ッ!!!」
涙やら鼻汁やらを垂れ流し悲鳴を上げるメガラをいつの間にかいたシッコが面白そうにつついたり引っ張ったりしていた。
「ふむ、確かに急に襲い掛かるのは良くは無いが、私としては特に怒っているわけでは無い。君たちのルールに抵触しなければそろそろ放してあげても良いのでは無いか?明日もまた歩く必要があるだろう。」
「いやあ、小鬼は丈夫だからこの程度どうって事無いですよ・・・とはいえ、当事者の男性である貴方が許すって言うならまぁいいでしょう。おい、クソガキ、この旦那に感謝するんだな!」
木から下ろされたメガラは身体をピクピクさせていたが、エンドが猿轡を取り顔をハンカチで拭う。
「ほお。いや、お優しいこって。いや、シタラ様も優しい方ですしご友人がマトモな方なのは嬉しいですけどね。どうにま横暴だったり人形みたいな男性の方が多いのでね。でも旦那、女には気を付けないと痛い目に会いますよ?」
「なに、私は私だ、好きにやってるだけさ。さて、メガラ嬢、立てるかね?」
ぼうっとした様子のメガラに腕を回し身体を起こすと、ハッと意識を取り戻したその瞳には涙をたたえ、上気した顔でエンドの視線と交差した。
「お、お兄さ〜んっ!!」
「ぬおっ!」
胸に飛び込んでくるメガラに押されて地面に仰向けに倒れたエンドの顔に、息の荒いメガラの顔が迫る。
「はいーストップだヨー」
「もがっ!もががががっ!」
シッコが液体状の身体でメガラの頭を覆うと、急に息が出来ずに混乱して取り除こうと掻きむしる。しかし、ただもがくだけは取り除けない。
「シッコ、ありがとう、だが大丈夫だ。大した事は無いさ。」
エンドが身を起こしながら言うと、シッコはメガラを解放する。暫くむせていたメガラであったが、落ち着きを取り戻すとエンドに土下座をした。
「お兄さんごめんなさい!なんか抑えきれなくて・・・お兄以外の男の人で優しくされたの、初めてで・・・」
泣きながら詫びるメガラの頭を撫でつつ、エンドは言う。
「何、情熱的なハグを貰っただけで気にしてないさ。可愛い女の子に迫られるのも悪くはない。」
はっはっはと笑うエンドの様子に、メガラも明るい顔をする。そして、もう一人、笑い声は出しつつも目が笑っていない存在がいた。
「ク・ソ・ガ・キ!旦那は許しても、私達は流石にもう許せんぞ〜」
「あんぎゃああああ!!」
一種にして怒った様子の小鬼に縛られたメガラは再び木に吊るされる。
「グワー!ゲホッゲホッ!!」
さらに、下で焚き火で炙られ悲鳴をあげるメガラ。止めようするエンドを首を振ってシッコが止め、引き摺るようにその場から離れて行った。




