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うちの神様の間違った転移でおおごとに! 女神の使いにされて、僕を頼られても困るのだが……。  作者: とらむらさき


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83話 一時の休息

 僕たちはカーディア帝国に勝利した。かといって、やることがなくなった訳ではない。

 むしろ、忙しくなるだろう。

 カーディア城での会議室にいた僕は、テラスへ出て街並みを眺め、とりあえずは一段落を終えたことに満足していた。


 ふと、視界の端に何かが見え、目を細めて確かめると、黒い群れのようなものが、東側から大群で押し寄せていていた。


 「イーリスさん! 来て! 早く来て!」


 僕は、テラスのガラス戸から室内に顔を出し、叫ぶ。


 「何事ですか?」


 そばに来たイーリスさんに、僕は大群を指差した。

 彼女は目を細めて確かめると、室内に戻り、双眼鏡を取ってきた。

 彼女は双眼鏡を覗くと、ホッとした様子を見せる。


 「大丈夫です。リンスバック軍とガイハンク軍です。きっと、こちらと合流するために来たのでしょう」


 彼女の言葉に、僕もホッとした。




 テラスにヘルガさんも顔を出すと、彼もリンスバック軍とガイハンク軍の行軍を見つめる。


 「帝都を制圧したことは、両軍にも伝令を送っておきましたが、念のため、城と街の城壁に、我が国の国旗を掲げておきます。そうすれば、彼らも本当に制圧されたと分かり、安心することでしょう」


 「ヘルゲさん、お願いします」


 「はつ!」


 彼は敬礼をすると、部下のもとへと行ってしまった。


 しばらくして、城や城壁のあちらこちらに、ユナハ国国旗が掲げられる。

 その青い旗が風になびき、かがり火に照らされると、金色に光る可愛い狐のイラストが見え隠れする。

 普通なら、何かこう、心の奥底から込み上げてくるものがあるはずなのに、込み上げてくるものは、恥ずかしさだけだった。

 僕は、見ているだけでほっこりとしてしまうその旗を眺め、ユナハ国にゆるキャラのような存在が現れないことを祈るのだった。



 ◇◇◇◇◇



 帝都に、リンスバック軍とガイハンク軍が合流したことで、主要メンバーを集めての会議が行われることとなった。


 帝都を制圧し、カーディア帝国はユナハ国の領地になったとはいえ、国内全土を治めたわけではない。

 すぐにでも、反乱を起こす領地が出てくることも考えられる。

 ゲームみたいに隣国に勝てば、その国土を治めたことになれば、どんなに楽だったことだろう。

 現実はそんなに甘くはなく、今度は国内統一を目指さなければならない。


 帝国の領地のことを皆に聞くと、ここカーディア皇族領に隣接するアンテス領は気にすることはなく、主を失ったボイテルロック領と、いまだに当主が捕まらないシュミット領の動きが、一番の問題だと教えられる。

 その二つの領が反乱を起こせば、隣接する領地も二つの領地に加勢せざるを得ない立地条件が問題を深刻にしていた。




 まずは隣のアンテス領はこちらにつく可能性が高いとはいえ、圧力はかけたほうがいいと思う。

 そのためにも、カーディア皇族領を新しい領地として名称と領主を決めなければならない。

 ここの領地を治めるのに、ちょうどよい人物というか一族に、僕は目をつけたのだが、了承されるかが問題だ。


 「ねえ、カーディア皇族領は、エラン領にしたいと思うんだけど。竜族の領主が統治する領地が隣にできたら、アンテス領からすれば、ボイテルロック領やシュミット領の顔色をうかがう場合じゃなくなるよね」


 「なるほど。でも、アスール様を領主にするのですか?」


 イーリスさんが疑問を投げかけてくる。


 「それなんだけど、アスールさんを領主にするわけにはいかないから、エラン家の人をこちらに呼びたいんだけど、ルビーさん、いいかな?」


 彼女は、ネーヴェさんと話しをかわすと、僕に向かって頷いてくれた。


 「ありがとう! 皆もエラン領にすることでいいかな?」


 その場にいた者は、全員一致で賛成してくれる。

 ルビーさんとネーヴェさんが、思いつく良い人材を相談するので少し待って欲しいと言ってきたので、僕たちはそれを待つことにした。




 しばらくして、二人は良い人選が出来たのか、自信に満ちた表情を浮かべて現れる。


 「フリーダ・エランを呼ぼうと思う。彼女は姉と違って、しっかり者でよく働く良い人物だ!」


 「なっ! ダメだ! あいつはダメだ!」


 ルビーさんに、アスールさんが反発する。

 彼女の苦手な人物なのだろうか?


 「アスールさん、何でダメなの?」


 「妹なのだ。あいつは、やたらとわしに突っかかってくるというか、口うるさいのだ」


 僕の頭に、ツバキちゃんとシズク姉ちゃんが浮かんだ。

 これは良い人選だと思う。


 「ルビーさん、フリーダさんにする。彼女への要請をお願いできるかな?」


 「うむ。わかった。すぐに手配しよう」


 彼女は、悪そうな笑みを浮かべて、承諾してくれた。

 そして、アスールさんは、ポカーンとした表情で僕を見つめている。


 「アスールさん。妹も優秀だなんて、ツバキちゃんとシズク姉ちゃんみたいだね」


 「そ、そうか。うむ。女神に例えられると、照れ臭いな」


 彼女はモジモジと恥ずかしがっている。


 「「「「「……」」」」」


 ツバキちゃん姉妹を知っている者たちは、彼女が照れている様子に言葉を出せず、ただ、気まずそうな表情で顔を背けるのだった。




 カーディア皇族領は、フリーダさんが引き受けてくれたら、彼女を領主としてエラン領にすることでまとまった。


 次は、国内の統一を早めに済ませたい。

 しかし、頭を悩ませるのは、ボイテルロック領とシュミット領の存在だ。

 隣接する領地への影響力を持っていて、こちらの言うことを聞かないことが分かっている。

 隣接する領地をこちらが先に、説得して傘下に置くか、制圧する必要がある。

 今、ユナハ国に隣接するのは、ボイテルロック領とアンテス領だ。

 このまま侵攻するとしたら、アンテス領を先に攻略したい。

 僕は、アンテス領の攻略を皆に提案し、意見を求めることにした。


 「アンテス領の領主は、新教貴族派閥に属していましたが、宰相に目をつけられないようにしていた人物で、嫌々従っていましたし、争い事や企み事を嫌う方ですから、ボイテルロック領が手を出す前に話しをつければ、こちらについてくれると思います。まあ、ここが竜族の統治するエラン領になることを告げれば、ボイテルロック領に耳を貸す必要はなくなると思いますけど。ですが、念のため、アンテス領から攻略するべきです。こちらがボイテルロック領とやりあっている間に、シュミット領がアンテス領に声を掛けるかもしれませんからね」


 イーリスさんがアンテス領領主のことを簡単に述べてから意見を出すと、皆の意見も彼女の意見とほとんど同じだった。

 あっけなく、アンテス領へ侵攻することで、意見はまとまった。




 あれ? 何か足りない。というか、誰か足りない。

 僕は皆を一人ずつ確かめていく。

 そして、とても嫌な予感が襲ってくる。

 マイさんがいないのだ。


 「ねえ、誰かマイさんを知らない? 帝都を制圧した前後くらいから、姿を見かけてないんだけど」


 皆は、キョロキョロとしてから青ざめていく。


 「あのー。エル様たちもいないんですけど……」


 レイリアに皆の視線が集まり、そして、再びキョロキョロとする。

 マイさんとエルさんたちは、どこにもいない。

 この場にいた者の顔色が、さらに悪くなっていく。


 「すぐに見つけましょう! イーリス、何かしでかす前に、早く手配を!」


 「はい!」


 「兵士にも捜索を呼びかけましょう」


 イーリスさんは返事をすると、すぐに着かの提案を出した。


 「ええ、そうね。兵士のほうは、シリウスに任せます」


 「はっ!」


 シリウスは、シャルに返事をすると、すぐに部屋を出て行った。


 その後も、シャルは慌てるように指示を出し続けた。

 何だか、いつも僕たちは、本筋とは違った余計なことで慌てふためいている気がする……。




 しばらくして、エルさんたちが見つかった報告を告げに、兵士が訪れた。

 だが、彼の表情が曇っていることに気付き、問いただしてみると、エルさんたちが……いや、エルさんだけだろう。

 彼女は、大通り沿いの居酒屋で、敵兵だった者たちと宴を開いていたそうだ。

 僕は、すぐにここへ連れてくるように頼むと、兵士は敬礼をして、足早に出て行った。


 とにかく、エルさんたちだけでも見つかったことに安堵する。

 あとはマイさんだけだ。

 こっちは一筋縄ではいかないような気がする。

 彼女は、エルさんたちと違って、見つかったら逃げそうで怖い……。


 そんなことを思っていると、エルさんたちが会議室に現れた。

 ……現れたというか、連行されてきていた。

 エルさんだけが縄で縛られ、兵士たちに引っ張られているのだ。

 その後ろをサンナさんとハンネさんが、情けなさそうにうつむいて、付いて来ていた。

 その光景に驚き、会議室は騒然とする。


 「な、な、何があったの? どうして、そんなことになってるの?」


 「フーカ君、何か言っやって! いくら私が、プレスディア王朝の女王だって言っても、身分は関係ないって、解放してくれないの!」


 「ユナハ国では、身分に関係なく、罪を犯した者は、捕まえていいってことになってるから、しょうがないよ。僕だって、悪さをしたら捕まっちゃうんだから」


 「なっ! フーカ君ってバカでしょ!? なんて法律、作ってんのよ! これは、外交問題よ!」


 なんで、人の国で捕まった人にクレームを入れられなければならないんだ……。

 ん? 待てよ……ということは……。


 「エ、エルさん……。ほ、本当に何したの?」


 「な、何もしてないわよ!」


 彼女は否認しているが、連行している兵士を見ると、首を横に振っている。

 やらかしたんだ……。


 とにかく、彼女の縄の持ち手をハンネさんに渡すように指示し、兵士たちを下がらせる。


 「ねえ、なんで、縄を解いてくれないの?」


 「えっ? だって、冤罪か実刑かは、話しを聞いてからじゃないと」


 「……フ、フーカ君? 冤罪だって! 信じてー!」


 僕がうるさいと思っていたら、ハンネさんが黙らせようと縄を強く引っ張った。


 「うっ、食い込む。ハンネ、痛いじゃない! 女王にこんなことをしていいと思ってないわよね?」


 「ここはユナハ国なんで、関係ありません」


 「……」


 エルさんは肩を落とし、うなだれてしまう。

 やっと、静かになった。


 「それで、エルさんは、どうして捕まったの?」


 「えーと、それが、エル様が投降した敵兵に「何故、抵抗していたのか?」と事情を聴くと、彼らは理由も知らされず、無理矢理に戦わされていたことがわかりまして、仲直りにはお酒が一番と居酒屋で飲みだしたまではいいんですが、お酒を飲みすぎて悪酔い状態になり、大通りで暴れ出したところを治安維持の兵士にとがめられ、その兵士に絡みだした結果、捕縛となりました」


 「単なる人騒がせな酔っ払いじゃないか!」


 「「ごもっともです……。申し訳ありません」」


 経緯を話したサンナさんと、その横にいたハンネさんが頭を深く下げて謝りだす。


 「いや、ごめん、二人が悪いわけじゃないから」


 僕は、二人に謝らせてしまったことで、罪悪感に襲われる。

 ただ、僕の横では、ミリヤさんのこめかみに青筋がたち、冷めた表情でエルさんを見つめだす。

 美人が本気で怒っている表情は、怖すぎる……。


 「お婆……エル様。孫の夫の実家で孫に恥をかかせるなんていい度胸ですね」


 「ヒィッ! ミリヤちゃん、本気で怒ってるよね……。お婆ちゃん、ちょっと、羽目を外しすぎちゃった。ごめんなさい、許して!」


 「うわー、普段はお婆ちゃんなんて呼ばせない癖に、こんな時だけ、お婆ちゃんを名乗るなんてズルい!」


 エルさんは、僕をキッと睨み、その目は余計なことを言うなと語っていた。

 やっぱり、ズルい。


 「分かりました。お婆様には、周りへ迷惑をかけたことを反省してもらうために、少しそのままでいてもらいます。ハンネ、お婆様がウロチョロしないように、その手綱をしっかりと握っていて下さいね」


 「はい! お任せ下さい」


 ミリヤさんに向かって、ハンネさんは敬礼をする。


 「牢屋から出れたと思ったのに、解放されないの……クスン」


 「「「「「なっ!」」」」」


 僕たちは思わず声を上げてしまう。

 まさか、今まで牢屋に入れられてたとは……。

 なかなか見つからないわけだ。

 ミリヤさんはその場に崩れ落ち、サンナさんとハンネさんは、特徴ある耳の先までを真っ赤にしてうつむくと、耳も合わせるように、しおれていった。




 エルさんは見つかったが、もっと厄介なマイさんが全然見つからない。

 まさか、どこかの部隊に紛れ込んで、戦闘に巻き込まれたりしてないよね。

 あまりにも見つからないので、何かったのではという不安が募ってくる。

 シャルたちも、不安が増してきたのか、ソワソワとしていた。


 コンコン。


 扉が叩かれ、入ってきた兵士は、闇ギルドのギルドマスターが面会を求めていることを告げた。

 僕は、「ここへ通すように」と返事をする。


 しばらくして、デリックさんが訪ねてくる。

 彼は、マイさんを探していることを聞きつけ、駆けつけたそうだ。


 「デリックさん、マイさんの居所を知ってるの?」


 「はい、マイ様からは、作戦の一環と聞かされていたのに、フーカ陛下が探していると耳にしたので、おかしいと思い、参上しました」


 「ありがとう、助かるよ。それでマイさんは?」


 「それが、マイ様はアンテス領へ向かいました」


 「はいー? なんで、マイさんが向かったの?」


 「マイ様は、ここの闇ギルドを私どもと一緒に制圧し、私どもの……ユナハ国の闇ギルドに鞍替えを決めた連中と共に、アンテス領を制圧すると……。ただ、作戦の一環と言われれば私どもは従うしかないので、申し訳ありません。ですが、うちの手練れもついていますから、マイ様の身には危険は及ばないと思います」


 「う、うん、わかった。ありがとう」


 あの人、何してんの……。こっちの作戦がおかしくなるじゃないか……。

 僕は予定を狂わされ、頭を抱えてうなだれた。

 皆は、やるせない表情を浮かべ、頭を抱えたり、天井を見つめたりしていた。


 「ん? えっ? ちょっと待って。デリックさん、闇ギルドだけでアンテス領を制圧なんて出来るものなの?」


 僕が疑問を投げかけると、皆も我に返り、デリックさんを見る。


 「それは大丈夫だと思います。マイ様は、フーカ陛下の名前を使って、ガイハンク軍とリンスバック軍の一部を連れて行きましたから。まあ、ガイハンク軍もリンスバック軍も、マイ様とは知らない間柄でもないので、やむを得ず従うしかなかったようです」


 「まあ、確かにそうだけど……。ん? んんん? 僕の名前を使ったら、責任は、全部、僕に来るじゃないか! ……やられた」


 僕がぞの場に崩れ落ちると、ミリヤさんがそばに来て、僕の頭を優しくなでてくれる。

 今すぐ、彼女に飛びつきたい。

 でも、我慢、我慢。


 今は、マイさんに増援を送ることを考えねばならない。

 すぐには部隊が整わないので、翌日、シリウス、ヘルゲさんたちの部隊と飛竜部隊をマイさんの増援に向かわせることとなった。

 そして、僕たちはカーディア市をある程度治めてから、アンテス領に向かうこととなった。



 ◇◇◇◇◇



 会議が終わり、自室でくつろいでいると、ヒーちゃんが訪ねてくる。

 こんな夜更けに、といっても、明け方に近いが、そんな時間に女の子に部屋を尋ねられると、ドキドキしてしまう。


 「ヒ、ヒーちゃん。どうしたの?」


 「フー君!」


 彼女は僕の目の前まで近付いてくる。

 僕の心臓は高鳴り、自分でも鼓動が速くなるのを感じた。


 「リンスバック軍が撤退を始めてますが、課題は渡したんですか?」


 「あっ、あー! まだ、渡してない!」


 僕は、慌てふためき、オロオロとするだけで、何をしたらいいのか分からなくなる。

 そこに、シャルたちがお茶とお菓子を持って現れた。

 彼女たちは、動揺している僕を見て、不思議そうに首を傾げる。

 僕にとっては神の恵みだ。

 いや、彼女たちが女神に見える。


 僕はシャルに飛びつくと、彼女は驚き、顔を真っ赤にした。


 「シャル、助けてー!」


 「えっ? どうしたんですか? 何があったんですか?」


 「リンスバック軍へ課題を渡してないのに、もう、撤退を始めちゃったんだよ!」


 シャルだけでなく、皆の顔が青ざめ、慌て始める。


 「シャル様。は、早く課題を渡さないと、フーカ様がクズになってしまいます!」


 イーリスさんが、慌てるシャルに声を掛ける。


 「そ、そうね。フーカさんにクズになられたら困ります。イーリス、急いで手配を!」


 「はい、直ちに!」


 彼女は走って部屋を出る。

 アンさんたちは、課題の箱を探すが見つからず、僕に尋ねてくる。

 そうだった。こっちには持ってきてない……。

 そのことをアンさんに話すと、彼女は真っ青な顔でレイリアとケイトを呼びつけた。


 「レイリア、ケイト。いいですか、陣営に行ってフーカ様の課題の入った箱を持ってきなさい。間に合わなかったら、私たちはクズの妻になってしまいます。必ず、間に合わせなさい!」


 「「わ、分かりました!」」


 「クズのために!」


 「「クズのために!!」」


 アンさん、レイリア、ケイトの三にも動揺しているのか、おかしな掛け声を叫びだした。

 そして、二人が走って部屋を出て行く。

 ん? クズのためにって……もう、クズになってるんだけど……。




 イーリスさんは、ジーナさんを部屋に連れてきた。

 そして、彼女に僕の課題をリンスバック軍へ届けるように頼んでくれる。

 ただ、イーリスさんは、それは重要書類だと説明し、それが届かない時は、僕がクズだと、世界に向けて証明されてしまうとも説明を付け加えた。

 それを聞いたジーナさんは、驚愕する。


 そこへ息を切らしたレイリアとケイトが飛び込んでくる。


 「「も、持ってきました」」


 二人は息を切らせて、その場に崩れ落ちた。


 「あのー。ペスは陣営で待機しているんですよね? ここまで運んでこなくても、陣営で、ジーナさんとペスに渡したほうが、早かったと思います」


 ヒーちゃんが冷静な表情で口を出す。


 「「「「「早く言って!!!」」」」」


 僕たちも、二人のように、その場に崩れ落ちた。


 その後、ジーナさんが手の空いている兵士を呼び、箱を持って向かってくれた。

 これで一安心だ。

 カーディア帝国との戦いが終わり、一時の休息が取れるはずだったのに、散々なことになってしまった。




 僕たちは、バタバタしたせいもあって、厚手の絨毯を引いた上で雑魚寝をしてしまっていた。


 まだ、日も登っていない朝方だったが、リンスバックからの伝令が来たことを報告され、僕たちはすぐに目を覚ますと、まだ疲れの取れていない身体に鞭を打ち、会議室へと集まる。

 そこで、リンスバックからの報告を聞く。

 それは、リンスバックの主力軍が出払っている隙をみて、クーデターが勃発したことを知らせるものだった。


 カーディア帝国に勝ったばかりだというのに、間髪入れずにおおごとが飛び込んできて、奈落の底へと突き落とされる気分を味わった。

 少しは、休ませて欲しい……。

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