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12R武神、暇を願い出る

窓の外を線路がもの凄い速度で後ろに飛ばされています。やはり新幹線という物は風情が無くていけませんね。速いのも良いのですが旅に付き物の情緒ある出会いと別れも良いものです。

この旅と言うには短いですが、この旅行はこんな一言から始まりました。


「1日程、お暇を頂きたいのです」


「まぁ、そりゃ対戦が終わったばっかだし良いけどよ……」


「ウチもええけど、お爺ちゃん何処行くん?」


私のそんな無理なお願いに良く二人とも了承してくれた物です。この様な優しい人達と知り合えて私は果報者ですね。


「何処、では有りませんね。愛しい人に会いに行って参ります」


「はぁ!?」「えぇぇええ!?」


そんなこんなで私は今新幹線の中に居ます。昔は旅行と言ったら大変な行事でしたのに。今では身一つで行けるのですから。世の中便利になった物です。私も歳を取る訳ですね。


「あ、居た。お爺ちゃん」「バカ!声出すな!バレるだろうが!」「しょーへーの方が声デカイやん」「うるへー!」


さて、どうしましょうかね……。あの優しい人達(二人)は。

先程までは旅に無くなってしまった風情への寂寥感を覚えていた私ですが、後ろでした聞き覚えのある声に現在少々憂鬱になりつつあります。外に出てから尾行されていたのは気付いていましたけれど、一体どうしましょう……。まさか今声を掛けても困るでしょうし、最後まで付いてこられても此方が困りますしね……。

その様に困っている内に、新幹線の後ろの座席から聞こえてくる聞き覚えのある声はまた一段と賑やかになってまいりました。


「しっかし、一回見失ったのに良く見付けたな?」「京都の女の勘は鋭いって言うやろ?」「お前、京都来たの小学生になってからだろ……」「しょーへーは細かいこと気にし過ぎや。そんなんやからモテへんのやで?」「んなこと関係あるか!」


彼方も楽しそうな旅で此方も嬉しいですね。しかし、他の乗客の方に迷惑を掛けないか心配では有ります。祥平さんが付いていらっしゃるので大丈夫だとは思いますが……。


「つーか何で尾行してんだよ。お父さんとの約束守るんじゃ無かったのか?」「ウチ今騙してへんもん。ただ尾行しとるだけやもん」「屁理屈言うな!ガキか!サッサと帰るぞ」「えー、じゃあ何でしょーへーは来とるん?」「ウッ、そりゃあアレだ……。お前が心配だからそれに仕方なく付いてやってるだけで……」「えー、ウチガキやから何言っとるかわからーん。もっとスッキリ言うてよ」「コノ……。俺は恭子が心配で……」「え、え?何やて?聞こえなかった。まさかウチだけにお父さんとの約束守らしといて自分だけ嘘つくって言うとるん?うわー、ないわー。大人ってズルいわ〜」「……。……気になったから……」「え?何やて?聞こえへん」「あのジイサンの恋人が気になったんだよ!悪いか!」「やっと素直になったやん、じゃあ尾行の再開……ってイネェェ!?何時の間に居なくなったんや!?」「バカ野郎!俺達が話してる間にだろうが!追うぞ!」「合点!」


私は尾行に気付かなかった振りをして尾行を撒くのが一番かと思っただけです。別に他意はありません。彼方のお優しい方々とお知り合いと思われるのは避けたいなどという不敬な考えは一切ありませんでした。撒くなら早い内が良いかと思って離れただけです。誓って本当です。


――


私は神戸の駅で降りると、改札を通り、賑やかな駅前へと出ました。平日の昼間にも関わらず、多くの人が行き交って居ます。女性が唇に指を当てて強調する化粧品の看板を横目にし、続いて聳えるビルを仰ぎます。


「これはまた、随分と変わってしまった物ですね……」


これだけ変わってしまった光景を見せ付けられると如何に私が長く生きたかを否応なく理解させられますね。

時代とは移ろい行くもの、……とは言えど私の様な年寄りにはその移ろいは光の様に過ぎ去って行き、おいてけぼりにされてしまって久しいのです。

老人とは過去のもの。そんな自然の摂理に私は柔道という点に於いて全力で抗って来ました。

そうして得たものは、この老いさらばえた身1つと、まだ死ぬことは出来ない、という身勝手な願い。骸骨を乞うとは申しますが、それ故の自らの愚かさに、醜さに気付かされます。

ですがもう、引き返すことは敵いません。世界の頂点、などと大それた夢を抱き、その夢への歩みを、踏み出してしまったのですから。

ですので、これは私の我が儘。

貴女と私の、最後の我が儘なので御座います。

無様を晒すことでしか生きられぬ私を、どうか笑ってやって下さい。


「おやおや、すっかり感傷に浸ってしまいました。全く、歳を取るとは嫌なものです」


こんな所に突っ立って言ては通る人の邪魔になってしまいますね。折角後進に道を譲ったと思ったら……。若者の邪魔ばかり。こんなことでは老害と言われても仕方ありませんね。

老人は苦笑を浮かべるとタクシーを停め、静かに行き先を告げた……。


「「ヘイタクシー!!」」「ど、どちらまで……」「今タクシーに乗ったジイサン!!アレを追ってくれ!」「カーチェイスやカーチェイス!一度やってみたかったんや、コレ!」「カーチェイスって……。只の尾行だろ。オイおっちゃん!法定速度内でぶっ飛ばしてくれ!」「か、かしこまりました……。ではシートベルトの方を……」「「ガチャン」」


もう一方の追跡者の告げ方はかなり騒々しい物であった……。


――


ブロロロ……。少々小綺麗なタクシーの中、乗り込んでいる乗客の二人。車内は全力で下世話な話で盛り上がっていた……。


「確かあの人って結婚してたよな?」


祥平が横に居る恭子に尋ねると打てば響く様に恭子は答えた。


「うん、多分。何か孫もボクシングでWVC王者と戦うとか言うてたし」


確かに、孫が居ることには居る。ということはパートナーが居たのだろう。


「んじゃあやっぱ本命は愛人だな。対抗で奥さん。大穴で孫とかか?」


祥平がそのことを基にそんな予想を立てると、恭子は甘いと言わんばかりにチッチッと人差し指を左右に振った。


「いやぁ、愛しい人にって言うとったから孫はない。やっぱ恋人とちがう?お爺ちゃんはうちで暮らしとるんやし、奥さんならとっくに紹介されとる筈。それがないっちゅうことは離婚か、少なくともそれに近い状態にはなっとる筈や。それで奥さんに愛しい人や言うて会いに行くのは考えにくいからな」


「……。お前、探偵か何か始めたらどうだ?」


何だその推理力。水を得た魚の様にペラペラと嬉々として自説を展開する恭子の様子に祥平は思わず渋い顔になる。

預かってから見せたあさっての方向への成長に、喜んで良いのか、はたまた嘆くべきなのか。取り敢えず兄貴には見せられないなと思う祥平であった……。


「まぁ、京の女にとってこんなんは朝飯前や」


今年一番のどや顔だった。


「お前……。生まれは東京の癖して……」


「あぁ!しょーへー、ズルい!それは言わん約束!」


そんなこんなで盛り上がって居る二人を他所に、タクシーは静かに停まった。どうやら尾行先のタクシーも停まったらしく、中から武勝が降りている。


「お、動きが有ったな……。ジイサンが店に入ってく……。ありゃあ花屋か?」


停まったことで事態を察したのか、武勝を覗こうと二人は左側の窓に殺到する。武勝はそんなことになっているとは露知らず、店員と花を選んでいた。


「愛しい人とは関係無さそうやね」


「いや、もしかしたら店員が好きな人で口説き落としてる最中とか……。無いな。良く見たら店員男だわアレ」


さっきの恭子に遅れを取るまいと推理を展開した祥平だったが、矛盾点が即座に発見され撤回する。ちょっと恥ずかしくて恭子の方は見れなかった。

武勝は手に花束を持って店から出てくると、タクシーに乗り込んだ。


「ありゃあ菊か?」


良く見るとあの花束は菊であった。汎用的な用途の為に一年中花屋に置いてある花である。


「いやぁ、しかし武神さんも良くやるなぁ。花束だぜ?花束。恥ずかしくてやれねぇよ。普通」


なぁ、と恭子に同意を求めようとした所で恭子の目がキラキラしていることに気付く。


「ええなぁ。ええなぁ。花束やで?ウチも1度で良いから貰ってみたいわぁ……」


「え?お前もそっちパターン?」


恭子も花束肯定派であり、孤立無援であることに気付いた祥平は焦る。


「だって花束を素知らぬ顔して渡すとかどんな拷問だって話だろ?それに消えものだぜ?紐とか包み紙とか即ゴミ箱行きだろ。面倒臭い」


恭子を味方に引き込むべく説得するが当の本人は呆れた顔で祥平を見つめて、あまつさえ溜め息まで吐いた。


「はぁ……、しょーへーは全く分かっとらん。それでも欲しいのが女心っちゅうもんや。所詮はその消えものに幾ら使うかってことや。変に残るものくれたってリサイクルショップ行きやで?男ならパァ、と使わんかい。

そんなんやから40にもなって結婚の1つもでけへんのや。しっかりしぃ」


「うるへー!ほっとけ!つーか、何が女心だ!お前まだ中学生だろ!」


30近くも年下の恭子に精神フルボッコにされる祥平。


「畜生!ぜってぇ武神の愛人見付けてやる!!」


徹底的に叩きのめされた祥平は自分より下の相手を見付けて安心する為に、より一層武勝の愛人捜しに執念を燃やすのだった……。


長らく待たせてすみませんでした……。

色々有って……。

というのも舞台を山梨にしようとしていたのですが、武神さんを新幹線乗せた後で……。


あれ、山梨って新幹線通ってなくね?


やっべ

武神さんを本物の見切り発射に乗せちまったZE☆


という根本的なことに気付き書き直すのもめんど……勿体無かったのでアイディアが浮かぶまで取り敢えず放置してました。


本当にご免なさいm(._.)m。


以下

溜まりに溜まった日常ネタを一挙公開。


アメコミ界の巨匠のインタビューにて。(うろ覚え)

ヒーローが受け入れられる理由。


「やはりそれはリアリティがあるからでしょう。日本のアニメは手からビームを出したり(悟のかめめ波のことと思われる)、特殊能力が使えたりしますが、我々の作ったヒーローにはリアリティがありますから」


番組内の説明。(ハンマーの人が遠心力で飛ぶ等)



いや、別に良いんだけど……。

確かXmenに目からビーム出す奴居たよね?

手からビームがリアリティが無くて

目からビームがリアリティが有るって

どゆこと?

いや、悪口とかじゃなくて純粋に意味がわかんないんだけど……。




英語の授業でcalliguraPhyという単語を習ったんだが、これが何度聞いてもかりぐしーに聞こえるんだ。

どうせなのでタイトル全編英語にしてみた。


calliguraPhy no reality

(書道にリアリティは無い)


現在リアリティが無いもの。

手からビーム。

書道。



夏。

ドモからメールが届いた。

文面にはこう書かれていた。


もうすぐ夏ですね!コモショップにしずみに来ませんか?


こんな爽やかな脅迫初めて見た。恐らくすの間違いかと思われる。

店舗が沼にあるのか……。はたまた怖い組織と裏で繋がっているのか。悪い想像が浮かんでは消えていく……。



友達の高校の文化際に行ってきた。

工業高だったので良く分からないレベルに達していた。

サラッと触れると

もぐら叩き(自作)

回るコイン積まし(自作)

ストラックアウト(自作)

中でも驚愕だったのが

ダ・ヴィンチか誰かの設計した釘を使わない橋の模型の展示

これが【2クラス被る】という謎の現象。

とにかく普通科には新鮮なことばかりでした……。


プール。

今年も腹回りに腕を巻いてぐっと力を入れて痩せた振り。

何度も言うように田舎の高校では腹筋割れてない→ガリorデブです。

ああ……。憂鬱。

このことを工業高の友達に言った所

「確かに、並ぶと自分ガリだわ〜って思うわ。何あの筋肉。しかもウチは女子が化粧落として入らないからプールの水が白く濁ってるんだよな……」

工業高、入らなくて良かったと心底思いましたまる。


オマケに

プール入るとき髪が長めで、キャップしてなかったので

平泳ぎした時

スタートする→潜る→上がって口を開ける→水中で髪に吸収された水が口にぜんっぶ入ってくる→潜って水を吐く→上がって口を開ける(エンドレス)

し、死んではう……。

俺は何時!息を吸ったら良いんだ!

冗談じゃなしにプールで死にかけました。

皆さんキャップは着けましょう。命に関わります。



この間、俺は人生で初めてジャム瓶の底を見ました。

なんと!ジャムを食べ切ったのです!

何をそんな小さなことをと思うかも知れません。しかし!俺の家の冷蔵庫におけるジャムと言えばいつも奥でカビの餌になっていました!

それを食べ切ったのです!

勝因は、と聞かれればブルーベリージャムを160グラムの小瓶を買ったこと、そしてお米パンを気まぐれで買っていたことですね……。

いやぁーキツかった。三日連続ジャムパンは。

一回もう止めようかとも思った。でも諦めなかった!

確かにこれは小さな勝利かも知れない。

しかし!紛れもなくカビと我々人類の生存戦争の勝利なのであるッ!


所で話は変わるんだが。


今手元には【ブルーベリージャム400グラム】が有るんだが……。





トチ狂ったかブルータス!!


俺しか食わねぇのにこんな巨大なもん買うなよ……。

確実にカビの餌だろうが……。

ああ……重い。

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