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佐藤さわりの霊障事件簿 富豪温泉の山姥

福島の山あいに、ひっそりと湯気を上げる一軒の温泉旅館がある。

名を「富豪温泉」。

SNSでは“入るだけで金運が爆上がりする”と囁かれ、

宝くじの当選者、株の成功者、突然の大金持ち――

そんな投稿が次々と拡散されている。

だが、噂には続きがある。

誰も書かない、誰も知らない、恐ろしい続きが。

本作は、政治ジャーナリスト・佐藤さわりが、

地方選挙の取材をきっかけに、この温泉の裏に潜む“邪悪な真実”へと迫る物語である。

政治の滑稽さ、欲望の愚かさ、

そして、静かに人の魂を喰らう存在。

笑いながら読めるのに、

読み終えたあと、背筋に冷たいものが残る――

そんな作品を目指した。

どうぞ、福島の山奥へ。

富豪温泉の湯気の向こうに潜む“何か”を、覗いてみてほしい。

第一章:福島の富豪温泉旅館

福島県の山あいに、ひっそりと佇む温泉旅館がある。

名を「富豪温泉」。

SNSでは“入るだけで金運が爆上がりする”と噂され、近年は全国から客が押し寄せていた。

その旅館の女将こそ、池田裕子――四十代と名乗るが、どう見ても二十代にしか見えない。

白磁のような肌に、艶やかな黒髪。切れ長の目元は涼しげで、鼻筋は通り、口元は控えめに笑うと妙に色気がある。

しかし、その美貌にはどこか“人ならざる均整”があった。

裕子は香水のマニアだった。

「汗っかきだからね」と笑うが、香りは日によって変わり、甘い花の香りの日もあれば、どこか土の匂いを思わせる日もある。

従業員たちは皆若く見え、年齢を聞くと驚くほどの数字が返ってくる。

この旅館には、時間の流れがどこか歪んでいるようだった。

だが、誰も知らない。

池田裕子の本当の生年月日は――昭和十九年三月十九日。

八十を超えているはずの女将が、なぜ若々しい姿を保っているのか。

*

富豪温泉の噂は、SNSで爆発的に広まった。

「宝くじが当たった」

「株で億を超えた」

「電子マネーの投資で大儲けした」

そんな投稿が次々と拡散され、旅館の名は一夜にして全国区になった。

だが、そこには“続き”があった。

誰も書かない、誰も知らない、恐ろしい続きが。

*

最初の男は、林実家(はやし さねいえ)。

夢グループの社長とハナ肇を足して二で割ったような顔。

腹だけ異様に膨れた肥満体で、腎臓が悪く、週三回の人工透析が欠かせなかった。

林は療養のため富豪温泉を訪れ、毎日ネットで宝くじを買い続けていた。

そしてある日、彼は飛び上がった。

一億円の大当たり。

旅館中が祝福ムードに包まれた。

しかし東京に戻ると、林の体は急速に衰弱し、二つの腎臓を移植しなければならないほど悪化した。

日本ではドナーが見つからず、中国での移植を勧められた。

「一億あれば中国では二十億の価値がある」と医師は言った。

迷っていた林は、ある朝、冷たくなっていた。

死の直前、彼は意味不明な言動を繰り返し、怪奇現象を訴えていたという。

だがSNSでは、

「富豪温泉で金持ちになった男」

という部分だけが独り歩きした。

*

次の男は、長岡隆行。

世界中を旅するサーファーで、株の成功で裕福な生活を送っていた。

富豪温泉に滞在している間に、彼は株で何十億も儲けた。

旅館の客も従業員も、彼の成功を祝った。

だが冬の福島の海でサーフィン中、突如心臓発作を起こし死亡。

発作の直前に撮った写真には、長岡の背中に醜い老婆がしがみついていた。

その写真は、拡散しようとした瞬間、老婆だけが消えていた。

*

三人目は、介護師の立花花男。

年寄りが嫌いなのに、生活のために介護の仕事をしていた。

身寄りのない老婆・塚田とめを温泉に入れるついでに、自分も毎日浸かっていた。

ある日、とめが老衰で亡くなると、立花に莫大な遺産が転がり込んだ。

立花は介護を辞め、東京のタワーマンションに移り住んだ。

SNSでは“時の人”として持て囃された。

だが、彼の行動は徐々に奇妙になった。

夜中に廊下を裸足で徘徊し、誰もいない部屋に向かって話しかけ、

「背中が重い」と怯えながら肩を叩き続けた。

そしてある夜、

彼は自室のベランダから飛び降り、砕け散った。

*

富豪温泉に入ると金運が良くなる。

しかし、その代償として急速に老い、最後は悲惨な死を迎える。

だがSNSでは、誰も“最後”までは知らない。

成功だけが切り取られ、拡散されていく。

そして――

旅館の女将、池田裕子は、

今日もまた、少しだけ若返っていた。


第二章:福島県芦名市市長選挙

福島県芦名市――人口減少が進む地方都市に、珍しく熱気が満ちていた。

市長選挙、山田泰々(やまだ たいたい)対 芦名一豊。

与党と野党の一騎打ちである。

与党候補・山田泰々は、

「古いものは壊す」「宗教法人にも課税を」

と、刺激的な改革案を掲げていた。

対する芦名一豊は、地元の名家の末裔。

天正十七年、摺上原の戦いで伊達政宗に敗れ没落した芦名家――

その血筋は今も地元で強い影響力を持っていた。

選挙戦は、静かな町に似つかわしくないほど騒がしくなっていた。

*

山田陣営の応援に現れたのは、

“日本一お馬鹿な国会議員”の異名を持つ杉浦鯛蔵だった。

四十代。

真ん中分けの髪に柳屋のポマードをべったり塗り、

身長一八〇センチの大柄な体を、首だけぐにゃぐにゃと揺らしながら歩く。

顔は常に油ぎっており、地元の有権者からは

「なんかヌルヌルしててキモい」

と陰口を叩かれていた。

その鯛蔵が、マイクを握る。

「みなさん……こんにちは、日本一お馬鹿な国会議員、杉浦鯛蔵で~す」

聴衆は三人。

市長候補も関係者も、苦笑いを隠せない。

「みなさんは、僕の著書

『英語は肛門で話せ』

『肛門呼吸のすすめ』

読んでいただいてますか?

英語なんて簡単なんですよ。肛門で話せるんですよ。

僕は一日の半分は肛門で呼吸しています」

選挙スタッフは、もはや顔を覆っていた。

「ここは過疎化が進んでいて、有権者いないですかね?

でも大丈夫ですよ、僕ちゃん人気者だから、僕ちゃんが応援演説に入ったってだけで、地上波で引っ張りだこです」

「過疎化のせいじゃありません、鯛蔵さん!」

スタッフが慌てて訂正する。

「他県から大勢の人が、この辺の人は時間があれば、富豪温泉旅館に行ってるんですよ」

「なんですか?それは?」

「富豪温泉に入ると、一夜で大富豪になれるって評判なんです」

「えっ? 一夜で……?

そんなのがあるんですか?

先に言ってよ!

そんならこんなところで応援演説なんかしてられませんよ!」

鯛蔵はマイクを放り出し、山道へ歩き出した。

だが、ふと立ち止まり、戻ってくる。

「それはどこにありますか?」

*

一方、芦名陣営にも応援が入った。

「チーム朝◯人」の代表、宮城ずぼほ。七十歳。

くたびれた顔に、ヨボヨボの体。

しかし声だけは妙に張りがある。

「皆さん、差別はいけません。

弱者支援を拡充し、特定教育機関の無償化を進めます。

外国人支援制度もさらに充実させます」

すると、聴衆の一人が叫んだ。

「中国人留学生から所得税をとならい、おかしくないのか?」

「いいんです。

その分、日本人からしっかり税金をいただきます」

「それこそ差別だ!」

「……」

宮城ずぼほは、自分に都合の悪い質問には一切答えない。

地元の人々は、すっかり辟易していた。

日本一お馬鹿な国会議員・杉浦鯛蔵。

そして、理屈の通らない理想論を掲げる宮城ずぼほ。

どちらも、芦名市の空気にはまるで馴染んでいなかった。

演説を終えると、宮城ずぼほは疲れた足取りで車に乗り込んだ。

「富豪温泉……一夜で大富豪……」

彼女はつぶやき、

そのまま車を走らせ、まっすぐ温泉へ向かった。


第三章:佐藤さわり登場

福島県芦名市の駅前は、市長選挙ののぼりで埋め尽くされていた。

その雑踏の中を、ひときわ異彩を放つ女性が歩いていた。

佐藤さわり――政治ジャーナリスト。

チューリップのように丸く広がる黒髪。

黒縁の眼鏡の中央には、誰にも気づかれない小型カメラが仕込まれている。

身長は一六〇センチと小柄だが、黒のパンツルックに映える引き締まったヒップは、街を歩けば誰もが二度見するほどだった。

彼女は、山田泰々と芦名一豊の一騎打ちとなった市長選を取材するため、芦名市に滞在していた。

その最中、スマホが震えた。

編集長・田野倉伝兵衛からのメッセージだ。

***

さわりは眉をひそめた。

こういう話には、妙に勘が働く。

画面を閉じた瞬間、背筋に冷たいものが走った。

「……邪霊の匂いがする」

彼女は小さくつぶやいた。

***

その頃、杉浦鯛蔵は富豪温泉へ向かっていた。

革靴で山道を登るという無謀な行為の末、

息を切らしながら旅館の前にたどり着く。

小さな旅館だが、客で溢れ返っていた。

「予約はないけど、国会議員だから入れてよ」

と胸を張った瞬間、従業員たちに取り囲まれ、

身動きができないほど叩かれた。

「やめなさい、みなさん」

その声に、従業員たちが一斉に手を止めた。

池田裕子――富豪温泉の女将が立っていた。

白い肌、艶やかな黒髪、若々しい顔立ち。

その美しさに、鯛蔵は一瞬で恋に落ちた。

「お、女将さん……独身ですか?」

「ええ」

「僕みたいな番頭は必要ありませんか?」

「今のところは」

女将は首を振り、微笑んだ。

「ここで金運をつけて帰ってくださいね」

鯛蔵は肩を落とした。

そこへ、浴衣姿の宮城ずぼほが通りかかる。

「えっ、あなたも来たんですか」

「そうですよ」

「選挙なんて関係なく、お金持ちになりましょう!」

ずぼほは大浴場へ向かっていった。

*

夕暮れ時、佐藤さわりも旅館に到着した。

「予約している佐藤さわりです」

広間に足を踏み入れた瞬間、

巨大な女将の肖像画が目に飛び込んできた。

まるで、訪れる者すべてを見下ろしているかのような迫力。

そこへ、池田女将が現れた。

「ようこそ、平安あらんことを。

あたしの家は、あなたの家です」

妙に愛想がよく、不自然なほど柔らかい笑み。

しかしそれ以上に、女将の若さが異様だった。

肖像画と同じ顔立ち――いや、むしろそれより若い。

地元の人の話では、

「女将は年々若返っている」

という噂まである。

さわりは、浴場に入る気にはなれなかった。

SNSの噂が頭から離れない。

その夜、早めに布団に入ったが――

眠りは浅かった。

夢の中に、老婆が現れた。

白髪が乱れ、真っ赤な目。

口は耳まで裂け、かぎ鼻が影を落とす。

「ひひひ……お風呂は体にいいよ……

明日は入りなさい……」

その声で目が覚めた。

寝汗で全身がぐっしょり濡れていた。

「……早速、挨拶に来たわね」

さわりは、冷たい汗を拭いながらつぶやいた。


第四章:対決

富豪温泉に到着したその日、宮城ずぼほは元気だった。

しかし翌日には、肌の張りが失われ、さらに翌日には髪が白くなり、

三日目には車椅子なしでは動けなくなっていた。

その車椅子を押しているのは――杉浦鯛蔵だった。

「鯛蔵さん、すみませんね。政敵のあたしに、こんなにしてもらって」

「いいえ、僕はもうこの旅館の番頭ですよ。

日本一お馬鹿な旅館番頭です。今ね、本を書いてるんです」

「また“肛門で……”ですか?」

「いいえ、『本当のおバカにしかできない温泉投資術』です」

ずぼほは苦笑し、鯛蔵は胸を張った。

しかし、ずぼほの顔色は日に日に土気色になっていく。

*

昼下がり。

佐藤さわりは、なぜか宴会場の巨大な肖像画の前に立っていた。

客はほとんど帰り、今は従業員もいない。

静けさが、かえって不気味だった。

「しかし……若くて綺麗。あたしもこんなふうだったらいいわ」

思わず漏れた独り言に、背後から声が返ってきた。

「そうかい」

低く、男のような太い声。

さわりが振り返ると――

白髪に覆われ、目は真っ赤、口は耳まで裂けた醜い老婆が立っていた。

「お風呂に入ると、このように綺麗になれるよ」

「あなたは……誰?」

「わしは、この福島に住み着いている山姥《やまんば》ににんがさ。

人の魂を喰らって生きているのさ。

さあ、お前の魂よこせ」

「冗談じゃないわ!」

さわりは身を翻し、山姥と揉み合いになる。

山姥は異様な力で押し込んでくる。

もつれ合ううち、山姥は肖像画の真下に立った。

さわりは近くの灰皿を掴み、投げつけた。

だが手元が狂い、灰皿は肖像画の額に命中した。

べしっ。

次の瞬間――

肖像画の額から、赤黒い血がたらりと流れ落ちた。

「うぉ……」

さわりが息を呑んだ瞬間、

山姥の姿は煙のように消えた。

*

翌朝。

女将・池田裕子が廊下を歩いていた。

額には絆創膏と包帯。

「どうしたんですか?」

さわりが尋ねる。

「鳥目でね。夜はよく見えないのよ。転んでしまったの」

その言葉を聞いた瞬間、

さわりは確信した。

――女将こそ、山姥ににんが。

富豪温泉で金運を餌に人を集め、魂を喰らって若返っている。

*

さわりは鯛蔵とずぼほに警告した。

「この温泉は呪われている。すぐ逃げて」

しかし、車椅子のずぼほは弱々しく首を振った。

「駄目です……山姥にも……人権はあります……差別はいけません……」

そう言った直後、彼女は静かに目を閉じた。

「ずぼほさん……?」

返事はなかった。

宮城ずぼほは、そのまま息を引き取った。

鯛蔵は震えた。

「鯛蔵さん、あなたも逃げるのよ!」

「だ、だって……僕、まだ宝くじも当たってないし……株も儲かってないし……」

「命とどっちが大事なの!」

そのとき――

廊下の奥から、女将が歩いてきた。

「どうやら、からくりを掴んだようだね」

声が低く、冷たい。

「生かして帰さないよ」

女将の顔がみるみる老け込み、

皮膚は垂れ下がり、目は赤く光り、

醜い山姥へと変貌した。

山姥の両手が伸び、さわりの首を締め上げる。

「う……っ……!」

鯛蔵は恐怖で体が硬直し、動けない。

「鯛蔵さん! 女将の肖像画を刺して!」

山姥の背中が、ちょうど肖像画の前にある。

「さ、佐藤さん……刺すんだよね……? あれ……?」

しかし、温泉の呪いが鯛蔵の体を重くし、

腕が震え、刃先がさわりの方へ向かってしまう。

「この馬鹿ッ! あたしじゃないわよ、絵よ絵ッ!」

「ご、ごめん……手が……勝手に……!」

「そんなことさせるものか!」

山姥はさわりを放し、今度は鯛蔵の首を締め上げた。

「ぐ、ぐえぇ……さ、佐藤さ……」

「いまだ!」

さわりは床に転がっていた鉈を掴み、

肖像画の前へ飛び込んだ。

「アンタの正体は……こっちでしょ!」

鉈が肖像画の顔に突き立つ。

べちゃっ。

絵の具が溶けるように、肖像画の顔が崩れ落ちていく。

「やめ……やめておくれ……!

それは……あたしの……!」

肖像画から大量の血が滴り、中央からドロドロと溶け落ちる。

生臭い香りが広間に満ちた。

山姥の身体は黒い煙となり、苦しみながら消えていく。

やがて――完全に消滅した。

鯛蔵はその場にへたり込み、肩で息をした。

「でも……僕、なんで絵じゃなくて佐藤さんを刺そうと……」

さわりはため息をついた。

「仕方ないよ。あなた、日本一お馬鹿な国会議員なんだから」


エピローグ

東京。

ドトールコーヒーは、いつも通りのざわめきに満ちていた。

佐藤さわりは、窓際の席でカフェラテをすすりながら、

スマホのニュースをスクロールしていた。

***

【速報】福島県芦名市長選、芦名一豊が圧勝

応援に入ったチーム朝◯人代表・宮城ずぼほ氏の急逝が追い風か

***

画面を見つめながら、さわりは小さく息を吐いた。

富豪温泉で急速に老い、最後は静かに息を引き取った宮城ずぼほ。

その死は公表されず、ただ“選挙の追い風”として処理されていた。

「政治の世界って、本当に残酷」

ラテの泡が静かに弾ける。

ふと、別の記事が目に入った。

***

【話題】“日本一お馬鹿な国会議員”杉浦鯛蔵氏、「温泉投資術」の出版準備か

***

さわりは思わず吹き出しそうになった。

「……あの馬鹿、本当に本を出す気なのね」

富豪温泉で死にかけたくせに、

懲りずに“温泉で金運アップ”をテーマに本を書くというのだから、

ある意味、彼は本物の強者だ。

「でも……世の中には、利口も馬鹿も必要なのよね」

さわりはスマホを伏せ、

窓の外の人波をぼんやりと眺めた。

富豪温泉は、あの夜を境に営業を停止した。

女将・池田裕子の行方は分からない。

旅館は無人のまま、山の中で静かに朽ちていくのだろう。

――あの肖像画は、もう存在しない。

だが、さわりの胸の奥には、

あの老婆の赤い目と、

生臭い血の匂いが、まだ微かに残っていた。

「次の取材は……もう少し平和な話題がいいわね」

そうつぶやき、

さわりはラテを飲み干した。

しかし、彼女の背中には、まだどこか、都会の冷気がまとわりついているようだった。

(完)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

富豪温泉の物語は、

「人はどこまで欲に弱いのか」

「政治の滑稽さはどこまで続くのか」

そんな問いを、少しだけ笑いながら、少しだけ怖がりながら楽しんでもらえるように書いた。

登場人物たちは皆、どこか憎めない。

日本一お馬鹿な国会議員・杉浦鯛蔵。

理屈が通らないのに妙に強い宮城ずぼほ。

そして、冷静で鋭い佐藤さわり。

彼らの滑稽さは、

現実の社会のどこかにある“歪み”の写し鏡でもある。

富豪温泉は消えた。

しかし、欲望に取り憑かれた人間の心は、

どこにでも湧き出す温泉のように、今日もどこかで湯気を上げている。

また次の物語でお会いできれば嬉しい。

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