お祝い
「アンリエット嬢はジェイド殿とご婚約なされたのか」
ナハトが遊びにきた時に、アンリエットはジェイドとの婚約を報告した。
アンリエットとジェイドの婚約は成立したばかりで、まだ大々的には公表されていない。
近いうちに公表されるが、その前にナハトには報告したいというアンリエットの気持ちをジェイドは尊重した。
「ええ」
「羨ましいだろう?」
にんまり笑ったジェイドに、ナハトは苦笑する。
「はは、正直ものすごく羨ましいものだな。…あまり自慢し過ぎて刺されるなよ?」
「あっはっは!気をつけよう」
「ふふ、ジェイド様ったら」
幸せそうに笑うアンリエットに、ナハトは目元を緩めた。
「…幸せそうだな、アンリエット嬢」
「はい、とっても!」
屈託無く笑うアンリエットに、ナハトは心からの言葉を贈る。
「ジェイド殿とのご婚約、本当におめでとう。どうか、幸せになって欲しい」
「ありがとうございます、ナハトさん」
「ジェイド殿も素晴らしいご婚約、本当におめでとう。…絶対に幸せにしろよ?でないと刺すのは俺かもしれん」
「おお怖い。…ありがとうな、絶対幸せにするぜ」
そう言ってアンリエットの肩を抱くジェイド。そんなジェイドに頬を染めるアンリエット。
「しかし、ジェイド殿。ひとつだけ確認しておきたいんだが」
「なんだ?」
「ジェイド殿はよもや、『俺の女に男は近付くな』…なんてヤバめの束縛男ではあるまいな?」
ナハトの言葉にぶはっと吹き出して大笑いするジェイド。
「はははははっ!さすがにそこまで狭量じゃねぇよ!」
「だよな、よかった。ならこれからもアンリエット嬢とお茶をしても良いか?」
「そりゃもちろん。いやー、まさかそんなちっちゃな男だと思われていたとは」
「いや、すまない。いくらジェイド殿のような大らかな御仁でも、アンリエット嬢のような素晴らしいお嬢さんが相手なら変わるものかと」
「はっはっは!ナハトは口が上手いな?」
終始真顔で確認するナハトにこれは面白いと笑うジェイド。アンリエットは、殿方にはそういう考え方もあるのかと妙な関心をしていた。
「まあだが、アンリエット嬢。これほどの良い男もなかなかいない。大事にな」
「ふふ、もちろんです」
「なんだなんだ、そんなに褒められると照れるぜ?」
ナハトは思う。これほどに美男美女、性格も良いお似合いの二人もなかなかいない。…この間聞いたジェイド殿の実年齢が本当なのであれば、ものすごく年の差が気になるところではあるが。
「今度、婚約祝いに姉の手作りのシュトーレンでも持参しよう」
「では、次はアッサムとミルクを用意してお待ちしていますね」
アンリエットは、シュトーレンが楽しみだと頬を緩めた。




