お墓詣り
「ぴゃっ」
「ご婚約おめでとうございます、お二人とも!」
ジスランも教会に出向いて、戻ってきて、きっちりと婚約が成立したのはその日の夕方。
そこで初めてルロワとルーヴルナが手を叩いて喜び、ジェイドとアンリエットを祝福した。
それまでは二人とも、空気を読んで静かに見守っていたらしい。
「ありがとう。ルロワ、ルーヴルナ」
「二人とも本当にありがとう」
ジェイドとアンリエットは幸せそうに笑う。それをルロワとルーヴルナは心から喜んだ。
「私からもどうか、祝福させてください。おめでとうございます。アンリエット様、ジェイド様」
「ありがとう、ジャンヌ」
「ありがとうな。嬉しいよ」
ジャンヌからも温かな祝福を受け、アンリエットは嬉しくなる。一番の味方であるジャンヌからの言葉がなによりも嬉しい。
ジェイドも、アンリエットを一番に考えているジャンヌから祝福を受けることで認められたようで嬉しかった。
「お母様にも早く報告したいわ」
「今からしよう」
「え?」
アンリエットは、自らの母のお墓に報告をしに行きたいと零す。するとジェイドは慌ただしいが、アンリエットを連れてまた魔道具で転移する。
着いた先はアンリエットの母のお墓。そしてジェイドは、魔法で美しい花束を生み出した。ちなみに、アンリエットにプロポーズするときにもこの魔法は使えたがそうしなかったのは単なるジェイドの美学である。
「お母様…」
「アンリエット」
報告をしようとするが、つい感極まり言葉に詰まるアンリエット。ジェイドはその涙を優しく指で拭い、アンリエットの瞼にキスをする。
そして、アンリエットの母のお墓に生み出した花束を捧げて報告を上げる。
「この度、アンリエット嬢と婚約させていただくこととなりました。大事なお嬢様を、必ず俺が幸せにします」
その言葉にさらに胸が熱くなる。
「お母様…どうか、ジェイド様とのこれからを見守ってくださいませ」
「どうか、よろしくお願いします」
そして、暗くなる前に二人はまた転移して屋敷に戻った。
「…おかえりなさいませ。アンリエット様、ジェイド様」
「もどった」
「ただいま、ジャンヌ」
「どうでしたか?」
ジャンヌの言葉に、アンリエットは微笑む。
「きっと、喜んでくれたわ」
「それは良かったです」
ジェイドはそんな仲睦まじい主従二人の様子に、優しく微笑んだ。そんな三人の様子に、ルロワとルーヴルナも嬉しそうに笑った。
一方自室にいるジスランは、今は亡き妻の肖像画にジェイドとアンリエットの婚約を報告してアンリエットのことを見守っていて欲しいと語りかけていた。




