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渋谷少女A―続編・山倉タクシー  作者: 多谷昇太
第二章 デュランス河のほとりで

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A子が呼んでいる…

そうこうするうちに10年になんなんとする月日は夢のように流れ、今は古希真近の身となり、心身ともにやつれ果てた身となっていた。昨今のコロナもこれあり、八方塞がりとなっている。しかしこれではA子との邂逅往時の、あの車上暮らし時分と寸分違わぬではないか。まったく情けない!これは全体以前の夢中に現れたあの魔王アスラーの復讐、呪いだろうか…?などと思ってみたりもするが、そんな言い分けをも含めて、切迫した件の、夢中の少女への放ったらかしを眼前のA子の絵が責めるようだ。「そうだ、あの少女…」と今さらのように思いを致し悪夢の切迫感が胸中に戻る。するとその胸の底から湧き上がるような言葉と情動があった。「魂と心と現実…」と偉大な方の声が甦る。かつての夢中に現れたアークエンジェル、そう、あの大天使の御声だった。「田中さん、あなたはその〝現実〟です。このままでいいのですか?魂(A子)も心(B子)もうち忘れて、情けない身のままでいるつもりですか?あの時と同じことをあなたに告げましょう。幼女を助けてあげてください。まだ間に合います。さあ、立って!」と言明された…ような気がした。言葉とも情動ともつかぬもの。胸の奥から突き上げるもの…。私は吸わぬままにいつの間にかフィルター近くまで短くなっていたタバコの火を灰皿に揉み消すと、スクっと立ち上がっていた。『幼女が、A子が呼んでいる…』と胸中に一言を云って、そのA子に引かれるように私は部屋の外へと出て行った。

 帰宅以来何時間が過ぎたのだろうか、出た表は寝静まっているようにも見える。鍵を閉めることも忘れてアパート側壁のオンボロ階段を降りて行く。川の手通りには5分もしない内に出た。その川の手通りと住宅街を仕切る鉄柵を手を掛けて乗り越え、車道の両側の鉄柵も越えて3メートルほどの高さの土手堤を登って行く。その際車の絶えた川の手通りを上流側からゆっくりと近づく一台の車があったが気にも止めなかった。


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