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リミックスⅠ  作者: E..
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29/29

ギクシャク

 休み明け、朝、理美が食堂へ入ると、冬美也とゼフォウがいた。

 でも、一緒に居たくない。

 昨日の休みなんて、会いたくないあまりで早朝から夜遅くまで用意されていたマンションで1人で過ごしていた。

 冬美也が行こうとした時、美空がやって来て座る。

「良いですか一緒に」

 流石に言おうとしたが、やっぱりバートンがいた。

 バートンが理美の様子に気付く。

「今度は何したんです?」

「いえ、大丈夫です」

「大丈夫じゃないですよ、それは」

 心配をしつこいと感じてしまい、声を荒げてしまった。

「大丈夫ですから、ほっといてください!」

 流石に幻滅か叱られると思っていたが、意外とバートンは冷静だ。

「……成る程、イライラする理由も分かりました。でも、八つ当たりはよくありませんよ」

「すいません、自分でもよく分からなくて」

「そういうものです、感情と言うのは、自分に非がなくても泥沼にハマってしまい、完璧に嫌われかねない」

「……はい」

 もう現状分かっていての話しにちょっとキツく感じる。

「特に女性が陥りやすい部分です、距離を置きたい、でも掠め取られたくない、難しいです」

 そこでそんなに言うなら先生はと思って聞いたら割と重い話になりそうだ。

「先生は、あるんですか?」

「妻が居ましたよ、亡くなってしまいましたが、こっちは激務でしたが見れただけで嬉しかったので、それだけで良いと思ってましたが、気付くのが遅れ亡くなってしまいました」

 病気か何かでと聞くのはダメだと感じ、何か声を掛けなければと考えてた時、寝坊常習犯の桜夜がやってきた。

「遅れたー」

「間に合わないので遅刻確定です」

「なんで⁉︎」

 結局話がそれ、バートンは桜夜に毎夜遅くまで何をしているのか問いただし注意の流れまで行ってしまう。

 また冬美也と目が合う、冬美也は今度こそと立とうとするも、再度美空に止められる。

 ここで冬美也も藤浦同様に扱い、距離を置き理美と共にと行きたいが、万が一まがい物騒動みたいなことの荒立てはしたくはない。

 ゼフォウは呑気に見守るだけ。

 甘えたツケとして見ておく方がいい。

 ゼフォウは理美を見て冬美也に言う。

「行かないの? 一昨日のは不幸な事故なんだしさ」

「行く、喧嘩してでも……」

「いやいや、そうだ、美空ちゃんはどこに冬美也に惚れたの?」

「最初です、嘉村家のご実家遊びに行って、理美ちゃんの遊び相手として」

 成る程、あの時に惚れたのか。

「俺が貰われた後だよね?」

「そうだな、泊まりに一緒に行った時だな」

「泊まりって?」

「確か晴菜さんの気遣いで、オレの家族も含めて交流して」

 なんか、理美の話になって行く。

「マジか、回り囲いが早いなおい、で俺気になってたんだけど、どこで惚れたの理美ちゃんに?」

「覚えがないんだ、ただ側に居て欲しくって、一緒に居られないって分かった時キレちゃって、アレが起きて」

「アレか、今消えたんかな傷」

 急に2人だけしか分からない話になっている。

「殆ど見えなくなったって言ってたけどloinで」

「なら良いけど、あんまこん詰めさせんなよ」

「分かってる」

 理美から避けられる原因は自分にある。

 それでも美空は分かっていた。

 好きな人には好きな人が居て、好きな人もまたその人がいる。


 昨日の日中、理美が何処かへ出かけて行った時、桜夜が美空達の部屋へやって来た。

「あんたさぁ、駄目だろ、人から掠め取ろうとするの?」

 かなり冷静に言われた。

 いきなりの言われ方に美空も息を呑む。

「……桜夜ちゃん」

 慌ててジュリアが輪に入る。

「まずは、美空ちゃんの言い分聞いてからでも」

 かなり言い争いになる覚悟があった。

 だからこそ美空は今の自分を素直に言う。

「私だって我慢してたの、運命だって浮かれてたけど、神崎先輩が来た理由を知るまでは」

「だからってギクシャクしてる時に間に入るのは良くないって」

「分かってる、でも、諦めてたのになんか藤浦先輩が倒れてからなんだよ。このままじゃ何も出来ずに終わるのは嫌だって、今しか無いの、それに色々藤浦先輩のやらかしは他の人から聞いてるから大丈夫」

 自分は馬鹿な事をしないと段取りを踏む事で、周りを囲って困らせないと考えていたが、桜夜は昨日自分らだけで無く理美達までやって来て、結局解散後は何も買わずに手ぶらになった事を知っていた。

「……あんた、父親のプレゼントどうする気だったの? 結局買ってないんでしょ」

「改めて」

 まだ懲りてないようだ。

 桜夜は呆れながら言う。

「うちらは行かんぞ、多分神崎先輩、懲りて付き合うの止めるぞ、あんたが性懲りも無く誘ったら今後付き合い考える」

 警告なのがハッキリと分かる。

「桜夜ちゃん」

「あんたはどうなのジュリア」

「わたしは……気持ちを素直に伝えるべきです。ただ荒らすのは良くないです」

 ジュリアとしては恋の応援はしたい。

 だがこの状態では美空が間を引っ掻き回して悪化させる悪性だ。

 それでも美空は諦める気はない。

「だけど、ただ当たって砕けたくない。私を知って欲しいの」

「知って欲しいって、勝ち目ないのに?」

「だからお願い、私は運命に逆らいたい」

「勝手にしな、あたしは同じ部屋の子と仲違いしたくないから」

 桜夜はあえて距離を置くと宣言して自室へと戻る。

「美空ちゃん、あまり言いたくは無いですが」

「大丈夫だよ、ちゃんと地道に」

「それやって信じていた友人だからとか信頼出来る上司も助けてくれないまま火刑にあった人の話知ってます?」

 いつもの織田と明智ではない話に戸惑う。

「待って明智光秀と織田信長関連じゃなくなってる」

「ジャンヌダルクです、お姉ちゃんも同じジャンヌで、前に面白おかしく言ってました」

「それ、絶対面白おかしくしちゃダメな話じゃね?」

 どうやらジュリアの姉が話していた内容を教えてくれたようだ。


 下手したら友達を無くす可能性があるにも関わらず、素直な気持ちで向き合う事にした美空は言う。

「あの先輩、私も下の名前で呼んでいいですか」

 冬美也は別にそれ位ならと言いそうになった時、ゼフォウに攻撃を受け、訂正した。

「別に――痛った!! なし、今の無しで!」

「フィン先輩はどうして、神崎先輩の事そうやって一々補正するんですか? あまり感心しません」

「そう? でも、コイツいっつも優柔不断なんだ、気をつけろって口酸っぱく言っても、藤浦もやらかしてるからね」

 仲直りはしていても、万が一理美を振ってこっちにでも行ったらただじゃおかないと言う強い怨念に等しい何かがあった。

「フィン先輩はどうして理美ちゃんに?」

「んっ? 一目惚れって見た瞬間で分からないんだよ。やっぱり信念の強さを見てたら、ね?」

「信念の?」

「今はこのドアホのせいだから、こっちで絞めねぇと」

「そんなの冬美也先輩の心情を無視しているだけじゃないですか? おかしいです」

「……はっ?」

 訂正させたのに結局、下の名前言い出す始末に、ゼフォウもそれ以上言わなかった。

 

 お昼休み、ゼフォウと冬美也は自分らの教室ではなく、現在勉強同好会で使っている部屋で会話をする。

「いつものパターンなのに、なんできつめに言わない?」

 本音はやりたいが、冬美也なりの理由もあった。

「理美の」

「理美の?」

「姪っ子」

「はっ?」

「お前知らないから無理か」

「それぐらい分かる。二十数年前に周りが忘却とかで同じ姿のまま保護って話だろ? 前に聞いたぜ」

「どこから仕入れたんだそれ?」

 教えたか教えてもらったか何故か知っているのに疑った。

「教えてもらったというか、情報がね。でも身内居たのか初めて知ったわ」

「理美の兄、才斗の娘であり理美の姪が美空、きつめに言っても良いけど、なんかまがい物の事件が解決した直後になんでこうも今まで寄ってすら来なかったのに今?」

「お前に言わなくてはいけない事があるんだ」

「何?」

「まがい物のせいで好意を真逆にされてたってことだろ?」

「まぁ理美がそう言ってたから多分そう」

「で、俺もボスに聞いたら、反動と言うべきものもあってだな」


「反動によって隠れていた感情がぶわっと出たって事?」

 同時刻に理事長室、理美はアダムに相談をしたのだ。

 アダムは藤浦の件が解決してこうなったのはある副産物のせいとして話してくれた。

「そう言う事だ、多分今回の件で仲直りしていれば、普通に告白、振られて終わりって形にはなっただろが、ほらお前ら仲違いしはじめて隙があると思いあがってしまったんだろう」

「でも、私ちょっと今自信が無い、ゼフォウを振っちゃってるから相談出来ないし、冬美也は謝ってくれたけど、正直ちょっと今も許せなくって」

「……仕方がない、時間を描ける、それしかない」

 話している間に冬美也からのloinが入る。

 理美は目を通す。


 冬美也

[今日一緒にご飯食べよ]


 まだ自分が怒って、怒り任せに断るべきだろうか……。

「まだ許してない、だから無視したい。でも無視したら美空が座ってる。良いって言っても先に座ってる、ヤダ自分が」

 アダムは前に1度、ディダから聞いていた。

 冬美也を突き飛ばした直後、理美が撃たれてしまったと言う話だが、たまたまにしてはあまりにも運が良すぎる。

 今回必ず邪魔が入ると分かるが、何故か妙な詳しさに疑問が湧いた。

「理美……君は何か見えるのか?」

 初めてここでアダムに話す。

「これはたまたまと言うかなんかそう感じるから……でも最近、美空が殺される夢を見る、昔、忘れ去られる夢を見た時と一緒、絆にはこれは予知夢だって言われた」

 感じる時は勘と思うが、稀に混ざる画像、冬美也が撃たれる時と一緒。

 これは話して良いか迷い敢えて濁していた。

 アダムは勘付く。

「予知夢か、しかし君は……他に見えているんじゃないか? 例えば予知夢ではなく、未来見の類で」

 それでも理美には今の現状が辛過ぎて冬美也だけでなく美空の顔も見たくない。

「分からない、でも、気持ちの処理が追いついてなくって、とにかく四六時中顔合わせるのがツラい」

 逆に冬美也を引き離せば、いや話せる大人を用意する事で、誤解や蟠りを解く事が出来るだろう。

「なら、冬美也君を引き離せば少しは楽になるんじゃないか? 大人に少し任せなさい」

「でも、そもそも原因は私にあるから」

「なら尚のことだ。後は私に任せなさい」

「分かりました、ごめんなさい、迷惑かけて」

 そうして理美は理事長室から出た。

「ふむ、知人が殺される夢か……聞いたか」

 いつの間にか、バートンが背を壁に寄りかかっており、ゆっくり立ち上がって言う。

「えぇ、とりあえず見張っておきます、美空嘉村を」

「それとなく……いや、半分お前のやらかしだったな」

「何を、結局逃げて楽になりたかったのあっちですよ」

 まるでずっと見ていた言い草だ。

「多分謝罪を探しに行ったんだろう」

「なら、余計悪手です」

 そう言ってバートンも理事長室を出た。


 夕方、冬美也は待っていた。

 ようやく連絡が入る。

 

 理美

[今日は無理]


 凄い殺伐としたあっさり内容に度肝を抜かれた。

「……マジか」

 本当にゼフォウに甘えてたツケが今まさに来てしまい、どうしようもない。

 多分、いや恐らく美空が先に陣取って余計嫌われるのが見える位だ。

 仕方がなく寮へ戻るかととぼとぼ1人歩いて帰る。

「オレがあの時連絡して話しておけば」

 バートンなんか気にしないで、ゼフォウの言う通りちゃんと連絡していれば、ゼフォウも付いてくるからって甘えずちゃんと断っておけば、後悔の堂々巡りだ。

 そんな時誰かが声を掛けてきた。

「よっ! そこの少年お久なぁ」

 見覚えあるのだが、本当に度忘れしいた為分からない。

「誰?」

「がくっ! あの時あっただろ? 狭間のバーで」

「……あっ! じっちゃんになりかけて!」

「お前は彼女と同等だなおい! 斎藤一や!」

 狭間のバーでは他がキャラ濃すぎて、一が薄すぎた。

「他より影薄いから分からなかった」

「そこ、漫画とかの一がキャラ濃すぎるだけだから、どうせ、彼女に振られたんだろその顔は?」

 一の最初の言い分はともかく、1番言い当てられたくない事を言われ、胸が苦しくなる。

「んぐ!」

「更に、友達にも半分愛想つかされて先帰っちゃったんだろ?」

 それなら良かった、でも違うのだ。

「あいつは、理美と同様仕事あるから」

「まだ真っ当な学生がおったな」

 普通の中学生は仕事なんてしないのである。

「で、なんですか、オレもう帰る気で」

「帰ったって、お前だって嫌な気持ちなるだけだぞ?」

 冬美也は唸るしかない。

「……」

 誰だ、自分が今の状況を知っているのを教えたのは?

「こういう時こそ大人に愚痴ってしまえ、頼りになるどうこうじゃなく、胸のつっかえ位取りたいやろ?」

「だって、あんたら、絶対面白おかしく言うだろ!」

 警戒心のある少年には何を言っても分からない。

 だが一には秘策があった。

「奢ろうと思っておったんだがやめて帰るか」

 深いため息を吐きながら、去っていこうとしたら、服を掴まれる。

「……奢って」

「よし、素直が1番」

 やはり老若男女問わず、奢られる飯は美味いのだ。

 結局、冬美也は一に連れられ、どこかの店へと行く。

 

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