夜の集会
アダムに連れられて、来たのはどこかの廃工場だ。
「なんで出そうな場所でやるのぉ、いっそ狭間のバーとかさぁ」
「あそこはなぁ、気まぐれで開くし、キャサリンから開店の際、仲のいい管理者にだけloinを送るが海外だけとかままあるせいで、基本本当に開店する時しか使わん」
そう、日本ですら下手すると場所が分かりにくい、遠すぎると言う理由でも使われないのだ。
同時に下手に目立つところでやる訳にも行かない。
「だからって、こんな出そうな場所を指定しなくても」
「店でやるとて、誰に聞かれてるか分からん、そして、分からん中から良くない者もいる。ここなら聞かれたとて対処も出来るしな」
「えぇぇぇ、やっぱり来るんじゃなかった」
「臨時もある、集まれそうな近場の管理者に頼むのが大体筋だ」
御神木の時とはまた違い、今近くにいる管理者達で解決しなくてはいけない場合、こうして集まる事もままあると言う事だ。
もう半分泣きそうな理美の前に立ったのは日向だ。
「すまん、家でやるとジュリアも居ないのに君が家に入るところを深夜見られても困るので」
本当に申し訳ないと理解出来る分、理美も住宅街誰かが居てもおかしくないし、下手すれば近所から下手な噂も起きるだろう。
「……確かに深夜に帰る人間なんて意外といますもんね、それに近所の人の目もありますし」
理解してくれて感謝すると日向が軽く口にしていると、後ろから坂本が言った。
「知ってる理美ちゃん、日向君が本気の謝罪すると鳳凰出るわよ」
「どこの漫画だ! お前がここでやるって言った本人が何言ってんだ!」
まさかの集合場所の言い出しっぺが坂本だった。
こうも喧嘩っ早いと話が進まない。
すぐさま、アダムが割って入る。
「お前も一々反応するからだ。坂本、お前が日本での古参の1人なのに余計な事を言うべきではないぞ」
「古参……?」
「坂本はあぁ見えて平安時代の生まれだ」
「鶴野もよ、で、今回理美ちゃん迎え入れた理由は日向君」
「その前に、一はどこだ?」
「後から来るわよ、確か鶴野と一緒に」
「分かった、始めてくれ」
「あいあい、んじゃジル」
「おう、俺か、殺人事件の?」
「そう、アダムの学院は行方不明者の捜索は進んでないし、そっちの殺人事件もまがい物が関わっているなら早々に見つけた方が早いし」
「確かに死亡者が多くなっている分、早く逮捕しなくちゃいけないからな」
「あれから続いているの?」
「ニュースになったが、基本詳細は省いている分、陰謀論やいつものマスゴミ扱いでとりあえず事なかれ状態だ。理美は前に話した内容覚えてるだろ?」
「あーゼフォウだっけか言っていたよね、死んだ人の体に‘不潔な人間に天罰を’だったよね?」
ジルは理美が言っている言葉に反応と共に現状潜伏先を日本と位置付けした。
「合ってるぞ、で、進展は無く、現状潜伏先はこの日本ってだけだ」
「その理由は?」
「アメリカでそれっきりぴたっと止まった連続殺人事件が、で、今回日本で合計2件同じ手口が起きた」
ジルが話した後、話の続きを坂本がする。
「しかも最初に殺されたのは歌舞伎町で働いてたキャバ嬢で、次に殺されたのは立ちんぼって言うもう娼婦よ娼婦」
「娼婦?」
理美はその言葉を知らないようで、日向がそれとなく時代を考えて教えた。
「あれ? 知らないか、売春なら分かるか?」
「それか」
納得する理美を見たジルと坂本がやっぱりその辺生きていた時代が物を言うなと感じてしまう。
「時代感じるなコレ」
「確かに」
日向は話を戻させる。
「で、目撃情報は?」
ジルが話すかと思いきや、なんと坂本がスラスラと情報を話してくれた。
「あるわけ無いでしょ、2度目の殺人場所、九州よ。しかも交通機関も線路や航空機関無い場所で、人気の無い場所に全裸でズタズタにされた、東京都内に住む女性が殺害前直接某公園前で目撃を最後に行方不明、で後日見つかったって言う、車や空港、あらゆる交通機関のカメラや情報も入らないんだからほぼどう行ったかも分からず仕舞いよ」
それを聞いた理美が坂本を警察なのかと尋ねる。
「凄い、警察の人なの?」
「小説家です」
「ミステリー作家?」
「売れない小説家です」
「なら、何を?」
「恋愛小説家です」
「じゃあなんで知ってるの?」
小説家がしかもミステリーに詳しいとかでもない人間がどうして警察しか知らなそうな情報を知っているのかと、それとなくジルを見るが、教えてすらいない。
「ヒント、俺は教えとらん」
「えっ? ジルじゃなきゃ誰が?」
凄く頭を捻る問題に、誰かが入ってきた。
「おまたせー。ごめんごめん、会議長引いちゃって」
蝶子と一だ。
ジルは悪態を付く。
「日本人、そこ悪い癖だよな。時間決まって始めてるんだから時間決めて終われよ」
「会議は既に決まっているんだし書類で目を通すだけで良いんじゃないの?」
坂本も言うが、詳細を詰めていくのだから会議は必要だ。
「それが出来れば会議なんてしてませーん」
「話はどこまで行ったんだそれで?」
「そうだ、私もお前に話したい事があるんだ。貴様、お布施するなら詳細やルール位言えないのか? あ゙ぁ゙?」
「どどどのゲームだ?」
「全部だ! お前はいつもいつも重要な部分をすっ飛ばして――‼︎」
「はい、一ちゃんと日向君は放置で話進めましょう」
「了解、結局犯人は異能者の可能性があるから視野に入れないと行けねぇな」
「異能?」
ひょいと琴もやって来て異能にイメージについて話す。
「理美様、異能を超能力と一緒にしても構いませんし、漫画とか出て来る力を持ったヒーロー等想像してもらって良いです」
「あっ、去年暇つぶしに見た○メンみたいな?」
たまたま映画専用チャンネルで見つけた時のアメリカ映画を思い出して納得した。
「それです」
納得した所でジルはやはりまがい物の可能性を視野に入れて置かなくては行けないと言う。
「でも、もしかしたらまがい物って言う線もあるからなんともだぞ?」
「アダムの学院で行方不明者になった子達も、まがい物によるものなら、良く気付かずに使えたわね」
坂本が言う話に今度は疑問を持つ。
「どういう事?」
理美のアースが現れる。
「そのままの意味、管理者のいる力で使った場合、普通に気配あるから」
「でもアース気付いてないよね?」
「微妙なのはあるけど、具体的な感じで使ったら分かるわよ」
アダムもそれに関しては気付いていた。
「あの微妙なのからは行方不明者を出す方でも無ければ、放置で良いだろうとなってな」
「でもこんな風に規模の大きさもあるから、そうとう質の良いまがい物って事を考えれば危険かも」
「確かに、アースの言う通りだ。この状況ではこちらは先に自分達の居場所からだな」
「そうだね……ただ犯人はなんとなく分かってるから見張らせておいてるし」
「犯人が分かったのか?」
理美からすればあの忌まわしき過去を思い出させた沢村達を操ったであろう犯人は既に把握はしている。
「物的証拠や目撃がまだだけど、こちらはもうあの人しかいないから」
だがやはり証拠が無い。
見張りは頼んでいるので、後々尻尾を出すのを待つばかりだ。
多分、冬美也が1人の時に狙う筈、そこを狙う。
ジルは一旦ここで閉めるかと考え、現状発展してないのだから、とりあえずまがい物件はアダムと理美がやる事となった。
「なら、アダムと理美にそのまがい物に関してお願いするとして、俺らはまた何か進展あったら連絡するわ」
話が終わったと同時に一と日向を引き剥がしに皆が掛かる中で、琴はアダムに理美を頼みますと言って、殺気を立たせ2人の間に入る。
本当にあの2人は何がしたかったんだと言わんばかりに理美とアダムは帰った。
しっかり2人を絞めた琴は理美とアダムが帰ったのを確認する。
「……帰りましたね、理美様達」
絞められるだけなら未だしもゲンコツまで頂いた一が言う。
「だからってホンマにぶたんでも」
「あ゙っ?」
琴の殺意ある目に他もビビりるほど、流石に一は謝罪した。
「すんませんでした」
「すまん、色々小さい積み重ねで少し暴動を」
「お前がやると、本能寺の変レベルだから止めれ」
ストレスが塵も積もれば山となるタイプだったので、ジルが突っ込んだ。
改めて坂本が言う。
「で、イビトだったらどうするの?」
半分じゃれ合いのような雰囲気から一変、皆静まり返る。
琴が手を挙げた。
「気付かれる前にこっちでやっておきます。時代から平和だと気を付けなければ行けないのだから……面倒ですよね」
お互いイビトに関して対処を決めた所で、来たての鶴野と一に話す。
「そーね、一と鶴野はまだ最近の話して無いよな」
「理美様、ちょっとイジメ受けてしまいまして、アダムが表沙汰になっても大丈夫なようにしっかり罰しましたが、まがい物を使っていた痕跡がかなり綺麗に隠滅していました。これではアダムも気付きづらいのも分かります」
琴の話で鶴野も気付くが、琴にはアダムに疑問を感じていた。
「……なーんか、まがい物にしては質が良くない?」
「それは思いましたが、アダム神父なんか隠してそうなんですよね」
「あのジジイはいつもだろ?」
昔からの付き合い、何を隠しているかは分からないがそれとなく勘付くもので、ジルからすれば日常茶飯事だ。
「いつもって、なら今回も?」
「多分なぁ、まだ誰にも話してないか、これから話すかは別だけど」
「今回、理美様を呼んだから話せなかったとか?」
「ありえそう」
皆、ここで納得した辺りで、何かの気配を感じる。
先程まで無かった気配だ。
琴が坂本を見る。
「やっぱり出る所だったんですか? 坂本さん?」
「出ませんよ! ここは健全な形による倒産し捨てられた廃工場です」
「健全な倒産ってなんだ?」
深夜の中、暗闇から誰かを見て皆それぞれ驚き、納得した。
「なるほど、それでか、そりゃアダムは言いたくはないだろうなぁ」
「あの、確かあなたは――」
「ごめんなさいね、私の一存でお願いしたから」
金髪をアップに束ね、眼鏡を掛けた女性だ。
「誰?」
ジルは知らない。
日向はかろうじて分かるが、彼女があの聖十字架学院の校長という事ぐらいだ。
「自分は校長だと説明を受けただけだから」
勿論一もだ。
「俺らが知らないけど、坂本と蝶子は知ってるって感じだな、その様子だと」
鶴野が女性を紹介した。
「そうね、彼女は番人、名はコピーよ」
番人と言われ、知らない管理者としてはどういう意味でと聞こうとしたが、聞けない雰囲気。
しかもあの時見た50から60代の女性から20代前半へと変わったのが分かり、普通の人間では無いと分かる。
ジルがふと気付く。
「だったら普通に理美の前でも出てよかったんじゃね?」
まぁ子供を深夜に連れ回すのは流石にいけないが、今回なら紹介もして終われば良かったのにと思っていたが、コピーから深い溜息がした。
「もう1人連れて来たから余計な事にならない為よ」
「もう1人?」
奥からもう1人来て、皆がゾワッと鳥肌が立つ。
「俺、苦手な分類なんですが?」
「琴ちゃんは仕方ないよね?」
鶴野が言うように臨場体制に入っていた。
一も何かポケットから何かを出そうとする仕草をしながら聞く。
「アイツ、誰なんです!?」
コピーは頭を抱え深い溜息を吐いてから言った。
「……兄さん、私の兄であり、1番目の番人、デリートよ」
丸いメガネを掛け、鋭い目つき、金色の瞳、長い金髪を腰辺りには髪留めとして丸い水晶が付けられた男性が皆の前に現われる。




