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リミックスⅠ  作者: E..
14/15

アース

 改めて、席に着くと、キャサリンが注文を聞く。

「んじゃ、何にします?」

「適当で、アレルギーはないだろ?」

 ジルに聞かれ、理美と冬美也は無いと言うが、まさかのゼフォウはあった。

「無いです」

「一応、無いと思うけど」

「貝類が、2年くらい前に出た」

 ジルは無かったっぽいゼフォウがアレルギーを発症していたのには驚くも、ゼフォウの発言に更に驚く。

「マジか!」

「大丈夫、出ても残さず食べるから」

 普通に命の危険性を理解していなさ過ぎる。

 注文を取るキャサリンすらドン引きするが、一応お任せと言う形を取った。

「あんたあたしを人殺しにさせる気? とりあえず、食べれそうな物と飲み物用意するわ」

 キャサリンがカウンター裏へと戻ってすぐ、蝶子が話す。

「管理者の人間だけの集会は初めてよね?」

「あっ、はいアダムに連れてこられた時以来ですね」

 かなり理美の表情が硬い。

 初めての人、だがそこまで硬くなるかと回りが思う中、蝶子は話を続ける。

「そっかぁ……何処まで知ってるかな?」

 どう話せば良いかと悩む理美に対し、ジルが代わりに言った。

「イビトとまがい物だけだぞ」

「ジルは知ってたっけ?」

 蝶子からすれば意外な人物から言われ、少し驚かれ、ジルは坂本もいた事を言う。

「俺も居ました。坂本も」

「そうそう、アダムに頼まれて戸籍を作って」

 一はその裏話を今ここで理美達に言った。

「戸籍等のほとんどぶん投げてきたんよコイツ」

「そうだっけ? 理美ちゃんもこっちでやったはずだよ?」

 はぐらかす坂本に日向が言い返す。

「家裁が面倒なのは分かるが、詳細書類を司法関係ない一に渡すのは如何なものかと」

「そうだそうだ!」

「一、お前も気を付けろ、そうやって甘やかして自分自身で首絞めるんだ、よく覚えておけ」

 なんか凄い形相へと変わり、殺意が入った眼差しには皆少し引いてしまった。

 ゼフォウがジルに聞く。

「ひゅ、日向さんだっけ? 何があったの?」

 日向に一体何をそうさせたのか、知っていても話したくはない。

「昔なぁ」

「俺らは話さんぞ」

 一ですら顔を青ざめてしまう程だ。

 蝶子はそれに関して知っているが、これだけで察しさせた。

「どの時代もパワハラはあるの、気を付けなさい」

「うっす」

 知っていそうな坂本なんて棒読みだ。

「本当に何があったんだろなー」

「あんたが1番気を付けなさい」

 その直後、理美は急に何かが来る気配を感じテーブルから離れた。

「理美どうし――」

 冬美也が理美に話しかけようと振り向いた時、ゼフォウが驚く。

「うぉぉ!! どっかの魔法学校みたいに出てきた!!」

 今度はどうしたと思ってテーブルを見ればなんと色とりどりの料理にジュースまでが並び、あの一瞬で何が起きたのか唖然となった。

「えっ……えぇぇ!?」

 見ていない冬美也には何が起きたか分からない。

 だがいきなり、ジュースが現れ驚き何が起こったとつい立ちあがってしまう。

 それを見ていた一が言った。

「久々に立った人間見たわ」

 坂本も笑いながら他にも誰か立っていた気がし、なんなら1番最初は誰だったと皆に聞くと、皆考えている最中、キャサリンが顔を出してまさかのアダムの失態を教えてくれるではないか。

「最初誰立ったっけ?」

「アダムは驚き過ぎて椅子から落ちたわよ。ついでにユダも仲良く」

 なんか想像が付く……。

 だが、理美はそれよりも別の人物が気になった。

「……ユダ?」

 ユダとは誰なのかとつい言葉が出る。

 蝶子はそれに対して教えてくれた。

「気にしなくて良いわ、管理者の1人だから」

 しかしあの衝撃の真実を知ってしまった回りは心が騒つく。

 最初にジルが、次に坂本、その2人に関してどうせ碌な事を考えていないのが読めてしまう日向だ。

『アダムとユダが椅子から落ちたのか』

『面白い話を聞いたわ』

『コイツら多分ネタにして騒ぐんやろうなぁ』

 ただそれよりもなんか急に顔色が悪くなる一につい冬美也が心配して聞く。

「大丈夫です? 顔色悪いですが?」

「あっ、気にせんで良いよ。昔碌な目に遭わなかったから正直会いたくない人と同じだったから」

「分かります、オレも会いたくない人と同じ名前なんで」

「おっ? 一緒だたりしてなぁ」

 なんか少しだけ打ち解けた気がするも、ゼフォウから見れば、余計な物を建てたようにしか見えない。

「なんかフラグ建ててない?」

「フラグ?」

「気にしなくて良いよー」

「と言うか、和んじゃっているけど、なんか転落事件だったかで呼んだよな?」

「そうそう、ここに来たのも皆と情報交換、お前らにも注意喚起と言う名の飲みの誘い」

「おい」

「冗談冗談、本当に管理者って言うのはまがい物やイビト関係以外でも不可思議って言うの、お前さんらの保護もそれに該当するから皆でやっていたんだよ。実際、表に出たら出たで収集つかなくならないよう、こっちで手分けして収めているんだ」

「今回はジルが新人ちゃんでもある理美を誘おうと思って聖十の中等部行ったら居らんし、不審者扱いされかかったってで、アヌビスに頼んで見つけてもらったのが経緯だよ」

「もろ偶然じゃねぇし」

「追尾出来るんだ恐っ」

 理美がアースに聞くと、理美の後ろから姿を現す。

「アースは出来るの?」

「んーどうだろう? 理美と仲良くなった動物達にお願いすれば尾行や案内は出来るだろうけど?」

 アヌビスだからこそ出来たのではと憶測が立つと、一が理美のアースを見て言った。

「ホンマにべっぴんさんなんや」

 何も見えないゼフォウからは何の話かさっぱりだ。

「俺ら見えないから何の話しか分かんないや」

「そりゃそうだろう」

 冬美也はそれとなく、ゼフォウに賛同するが、実際には理美のアースが見えており、目が合ってしまうもあっちから内緒よと合図を送る。

 それで目を離し、料理を取ろうとすると5本の尻尾を持つリスがいた。

 どうすれば良いか悩んでいると、いつの間にかメリュウも出てきて、そのリスを追い出し食べ始める。

 なんとなく感謝しつつも自分の前で食べて欲しくない。

「おい、メリュウ、この辺に座るな、取りづらい」

 冬美也がメリュウを抱き上げ、誰もいないが料理に近い場所へと移動させた。

「俺様は食べたい場所で食べたい!」

「いやいやなんでメリュウが出てくるのよ」

「なんでって、美味そうなの独り占めなんてずるいぞ!」

 どうやら、匂いに釣られて出て来たようだ。

「誰もズルいも何も、好きに取って良いんだから、ここで食べて下さい」

 更に文句を言いたげなメリュウに一が言う。

「好きに食べてええから、大人の奢りや、勿論大人は」

「割り勘だが、飲みに飲んだら自分持ちだ」

 ただし、大人で飲み過ぎた分は自分持ち。

「おうふ……」

「まぁ、前座はコレくらいにして」

『前座だったのか』

 ジルはやっと本題へと入る。

「アメリカ、お前らなら分かるよな、連続婦女暴行殺害事件」

「……ニュースになってた奴か?」

「連続って確かに連続だけど、模倣犯説が有力って話じゃ」

「確かに表向きではな、まだ公表されていないメッセージが同一犯しか知りえない情報がある」

 ゼフォウが何故裏社会で知っているのかも話してくれたが、やっぱり聞くべきでは無い話だ。

「‘不潔な人間に天罰を’、裏社会ではそのメッセージを知っている連中もいる。ただし、被害者がたまたま娼婦で裏社会に居たのと、金の回収に行ったら、額に生々しく彫られていたそうだ」

 食欲が落ちる内容に反し、メリュウはガツガツ食べる。

 理美は羨ましいとさえ思っていると、メリュウから無理矢理料理を口に放り込まれ、しかもよりにもよって熱い食べ物に、口から出しそうになった。

「はっふぃ!!」

「理美大丈夫か? 取り皿、取り――びっくりした!」

 いきなり取り皿出現。

 流石に驚くも、理美に渡す。

「だ、ふぃ、ふ……んっ! もう突っ込まないでメリュウ」

 いつの間にかフォークを持っているメリュウは、また食べさせようと喜々狙う。

「食べたそうにしてたんだから食べろ!」

「分かったよ、食べるよ……」

 また熱々の料理を口に入れたら堪らない。

 渋々食べるがどれも美味しく、頬が落ちそうになる。

 美味しさに夢中になる理美を見て、冬美也も1つ食べると驚く程美味だ。

 それを見て、皆が笑う。

 笑いが止んだのを見計らい、ジルは話を再開した。

「食べながらで良いから、その内慣れるし」

「慣れちゃ行けないけども」

 理美が言うも、これ以上話が進まなくなるので、話し続ける。

「だだっ広いアメリカを州をまたいでの殺害は、表として見れば不可能、だが異能或いは人外、そして理美みたいな元龍族の龍を使った殺害を視野に入れれば不可能じゃない」

 ゼフォウはそれに関して昔に起きた事件を呼び起こす様な行為は模倣と言ってもいい。

「それはそうだけど、そこまでする? 確かに婦女とは表向きだが全員娼婦だ。昔、その関連の連続殺人事件あったが、それこそ模倣犯だよ」

「確かに、でも今回何故俺が先の話の可能性を言ったか、距離だけじゃない。殺され方にも人では出来ない傷の付け方が鋭利な刃物と言うより、どデカイ獣が何度も何度も傷付けた跡だ」

「獣? どう言う事?」

「どうもこうも、熊なのか何なのか引っ掻いた跡が一度ぶん殴ってから刺したり引っ掻いたり、とにかく執拗に」

 ゼフォウもそれに関して息を呑む。

 日向は例のメッセージに関し、どうしても安直過ぎて気掛かりなようだ。

「後は‘不潔な人間に天罰を’だ。娼婦だから穢れているってイメージは付きやすいが、安易過ぎでは?」

「加害者は多分最初の犯行が忘れられずに殺害を繰り返しているのはもう見て分かる」

 ジルもその辺分かってはいるが、どうしたものかと悩んでいる様子。

 冬美也はその最初はどうだったのかと考え、話を振った。

「最初、最初は誰が殺されたんだ? 同じ手口とか?」

 どうやら最初の事件はあの獣のような傷口では無かった様だ。

「それに関しても調べは付いているんだが、数年前に同じ州で娼婦殺人が2、3件起きていて、最初はただの鋭利なナイフによる斬殺、それが一度ぱったり止んだように見えて」

「範囲が一気に広がり、例の殺害方法と‘不潔な人間に天罰を’の文字が刻まれたと」

  その間に何かがあり、力を手に入れ、調子に乗った犯人がわざわざ煽りの為に書いたと断言出来る。

「それが日本でも起きた、英語で‘不潔な人間に天罰を’」

「そういう事、転落事件として処理されたが、今回は大胆だったよ。殺してメッセージを書いた後に落とした訳だから」

 ずっと話を聞いていた理美がそういえば筆記とかでも犯人特定が可能とドラマとかで言っていた気がして、それとなく聞けば、やはり分かっているが普通ではあり得ない超常現象により犯人が特定を困難にされていた。

「でも筆記だけでも犯人分からないの?」

「分かっているからこそ、同一犯だと俺らは思っているが」

「あんな遠距離、普通は不可能、だから捜査は難航FBIも駆り出されたのに未だ解決にいたらず、結果日本に逃げられたんやろー」

 一の揶揄いはもう図星を突くレベルでジルからすれば、もう帰って家で寝ていたい程で、ジルは顔をテーブルに置き、全てを忘れるまで飲み明かしたい。

「ごもっともでーす。もう辛気臭い話は終了、もう食べて飲んで一時を忘れたい」

「よっしゃー! 飲むわよ! 自分の金で!」

 坂本もビールジョッキを持っていきなりがぶ飲みし始め、もう宴会を始められると意気揚々だ。

 一はどうせ自分が面倒を見るんだから金は本当に自分持ちでと遠い目をして言う。

「そうしてくれー」

 ただ1つの疑問と面倒をみなくては行けないのかと理美が非常に真理を突き、冬美也もゼフォウも嫌な顔をした。

「でも私達が出た直後に酔っ払ったジルが出現して面倒みるんだよね?」

「あっ……」

「酔っ払い面倒だから相手したくねぇー」

 その様子を見ていたキャサリンがまさかのサービスを教えてくれる。

「有料で坂本と同じ時間帯に出すのは可能よ?」

「マジで⁉︎」

「有料サービスです」

「お幾ら?」

「1人3,000円です」

 意外と安いわねと坂本は軽く言い、それなら一も日向も納得した。

 ただ1番気にはなっていた話を理美が口にする。

「円で払えるんだ」

「異世界も異世界でのお金で払ってもらうわ、でも全部平等の価格での支払いよ」

 どうやら全て同じ円等ではなく、それぞれの異世界のお金で払える様だ。

「キャサリンしか出来ない経営だな」

「そうよー、たまに異世界の旅人がやって来るんだけど、めちゃくちゃバラバラなお金でも支払いする困ったちゃんもいるのよ。まあ額が合ってるから貰うけど」

「基本支払い可能なのか」

「でもお勧めしてないから、本当になかった時用だから」

 緊急のみ対応です。

 

 漸く、皆が食べ始め、盛り上がる中、理美がある事を聞く。

「あ、あの、皆さんはどんな能力と言うか」

 少しモジモジした感じだったが、蝶子の方で気付く。

「そっか、そうよね、どんな愛されし者か知りたいわよねぇ」

「確かジルはゾンビだもんよ」

「だから、なんでゾンビになる! 死体に愛されし者だって、アースの名前はアヌビスだ」

「一ちゃんは?」

「一ちゃんとは?」

「金田○から」

「孫ちゃんかいな! 自分は遺伝子に愛されし者、ほれ今出したのがなんか鱗が色々くるくる回って色んな景色写している鯉っぽいのが錦さん」

「私は雷に愛されし者、そこで動き回っているリスみたいな子が雷神だ」

「わったしは爬虫類に愛されし者、この子は白蛇っぽい子が(びゃく)よろしく!」

『酔いが早い!』

「で、私は鳥類に愛されし者、鳥系ならなんでも話せるし指示も出せる、でこの子、シマエナガみたいな蝶々みたいな子がピクシーよ」

 本当に冬に見るシマエナガみたいな小さくふわふわな姿に何故か鳥の羽ではなく蝶の羽、不思議なアースだ。

 一通りアースの自己紹介聞き、蝶子に放課後の教室で出会ったカラスの事聞くべきか悩んだが、1人で悶々と考えても答えは辿り着く事はない。

「あの聞きたいことがあるんですが」

「何?」

「カラスは頭が良いから人真似する子もいるって聞くけど、流暢に話す子って居ますか?」

「どういう意味?」

「私は全ての生き物に愛されし者で、今までは動物達の発する言葉を理解出来ていたんですが、明らかに動物の言葉ではなく人語を流暢に話すカラスが居て」

「カラスとか鳥って真似てるだけで声帯は無いから組み合わせて話すって事はまず無いわ。指示して話すにしても鳥達の言葉で話す筈だし」

 やはりあれはカラスでは無い何かだ。

 でもあの何かの話と周りが何処までと聞く辺りでなんとなく察してしまう。

 それでも聞くしかない。

「一度しか聴いていないけど、皆はどうして隠すの?管理者は皆、手を汚す、死んでも戻る、永遠の繰り返し、恋愛だって意味が無いひとりぼっちになるのに? って……蝶子さん?」

 この瞬間全員固まった。

 無視しても良かった話だ。

 カラスと言う何かが話していたのを嘘として片付けたら今後に支障が絶対に来る。

 納得の行く話をしなくては。

 しかし、何が起こっているのか分からない冬美也を差し置いて、ゼフォウが話を切り出した。

「もしかして、例の話は本当って事?」

「ゼフォウ知っているのか?」

「裏社会でも良く出ているし、管理者とは仲良くするよう言われている。敵に回したとあるボスが得しないって理由である管理者を殺したんだけど、数年後若い姿の管理者が居て、ビビって殺し屋に依頼して殺した。だけどまたもや若い姿の管理者が再び、今度は仲間を引き連れ殺しに来たって話だ」

 その時、何故か全員ジルを見る。

『あれ? これどっかで聞いた様な』

『アダムから聞いたなジルが一時裏社会築き上げたのに気に食わないって理由で理不尽に殺されたって』

『懐かしいわぁ、とりあえず様子見で放ったらかしたら殺されて、ブッチして死体を掻き集め序でに他の管理者と悪ふざけで一緒に乗り込んだのを』

『俺を見るな、俺を!』

 全員、知っている話のようで、口には出さないが言えない様な事だった。

 蝶子は他の管理者達が何を考えているのか手に取るように分かり、とりあえず同調するしかない。

「……理美ちゃん、あなたはその話を聞いて悩んでいるのね」

「はい、でもそれって、今、ゼフォウが」

 この辺で理美が確信してしまう。

 あの時アースが止めに入ったのも、きっとこの話を聞かせたくなかったのではと考えてしまう。

 ここに来て、日向はあえてきつめにきっぱりと言った。

「その話は本当だ」

「日向君」

 瞬時に冬美也とゼフォウも気付いていたのを見抜いており、話を振る。

「あの時薄っすら分かってたんじゃ無いのか? 特にお前ら男衆は?」

 冬美也は戸惑うもゼフォウはなんとなくそれに関して勘付いていた。

「……そ、それは」

「まぁ明智光秀と斎藤一って聞いたら、同姓同名にしては出来過ぎてるなって、特に確か日向ってどっかの藩士していたのが明智の末裔だったんでしょ?」

 ゼフォウの話に漸く冬美也はどの辺りで理解出来たのかを言う。

「回りが妙に理美が何処まで話たとか言っていたから、どう言う事なのかって思っていたから」

「とりあえず、納得がいかない時は、今の人生をとことん満喫或いは納得行くまでこちらとはあまり関わらない方が良い」

「ちょ! そうは言うけど、今後も考え――」

「嫌われ役なら買ってやる、でも、理解出来ない内にうろついて支障が起きた時、誰が責任を持つんだ? それだったら先ほどの事件に関しては気を付けてもらいながらゆっくり考えて貰いたいって話になる」

 傍から見れば、きつそうだが、言っている事はまだ優しさが見える。

 納得していない以上下手に動き回ればどうなるか、回りにも迷惑だろうし、1番傷付くのは本人だ。

「……分かりました。私、帰ります」

「理美ちゃん」

「な、んですか?」

「恋愛しなきゃダメよー、好きな人がいるならちゃんとして、尚且つ人生を謳歌しなきゃ。アースはね決めた相手の年齢なんて考えない、待っていたらまた土に潜るかあなたがお婆さんがになるかになっちゃうから」

「分かりま、した」

「理美! オレも出る」

「冬美也」

「なんです?」

「好きならさっさと付き合え、子が出来るのは最初でこのゼロ回目だけなんだから」

 何を言っているのかと思えば、本当に何言っているのか分からない。

 それでも冬美也は理美を放っておけず、なんか腹立つので日向に睨みつけて走り出す。

 ゼフォウはあららと言いながら、席を立つ。

「んじゃ俺も行こう、少し理解出来たけど、思春期に何するのよー」

 ただ日向からしても、こちらの不手際では無いとし、既にあちら側が耳に入れた事として、素っ気なさがある。

「こっちが話した訳じゃないぞ、そのカラスっぽい何かだろ?」

「そうだけど」

「どう納得するかは本人次第で、こちらではない」

 ゼフォウから逆に心配された。

「嫌われ役して大丈夫なの?」

「慣れている」

「逆に火をつけられないよう気を付けてね」

 さり気ない忠告に、最初あの子供がやる訳と思っていたが、なんとなくしなくても何かが起こりかねない。

「……分かっている」

 それとなく無難と言うか、構えに入った。


 先に出た理美はすぐさま歩く。

 少しでも距離をあけ、改めて1人で考えたい。

 アースも何か言おうとするも、理美は言う。

「理――」

「大丈夫、大丈夫だから、ただちょっと混乱してて……それに……なんで隠したの?」

「それは、あなたがまだ幼かったから」

 なんて言えば良いか分からず、アースを見た時だ。

「理美! 良かったすぐに会えると思ってたのに、誤差が激しくないか? ともかく! オレと話さないか?」

「ごめん、少しだけ1人で」

「アイツが言った事は納得いくまでだけじゃなく、今の人生をとことん満喫しろって言っていたし、坂本さんも言っていただろ謳歌しろって」

「そうだけど、でも、そもそも私は」

「知っている、だから、その理美、オレは――!」

 本当はもっとちゃんとしたところで告白したかった。

 でも、この状況で今のうちに言っておかないと後悔してしまう。

 どこかへ行ってしまうのではと言う恐怖すらある。

 だが、無情にもそれは打ち砕かれた。

「けしからーんアンドなっとらーん!!」

 まさかのメリュウが出現と共に冬美也を吹っ飛ばす。

「冬美也!! しっかりして! なんで、吹っ飛ばすの!?」

「ふん! これしきの事で吹っ飛ばされる奴が理美と一緒になれると?」

「何言ってるのか分からないけど、謝ってよ! 冬美也、しっかりして起きれ」

 理美が近付き、冬美也を起き上がらせようとしたが、冬美也はすくっと立ち上がり、腕を金属系に変形させる。

「このくそトカゲ、こっちが油断したからって調子に乗りやがって」

「おう、やってみろや、返り討ちだ!!」

 殺意増し増しの冬美也と強気満々のメリュウが今まさに飛び掛かろうとした。

 理美は慌てて落ち着かせようとする。

「お、落ち着いて!」

 しかしもう止まらない、理美をよそに冬美也とメリュウが戦おうと手が出た時、両方の顔面が爆発。

 お陰で2人は驚きと爆破の衝撃に顔が軽く火傷したのか、暴れまわる。

「全く、人が回りに居ないからって暴れんなよ1人と1匹」

 どうやらゼフォウがやったようで、確かに顔をやったのは良くないが、そのまま放置すれば今頃どうなっていたか。

 理美は申し訳なさいっぱいで謝罪するも、ゼフォウはあまり気にしていなかった。

「ごめん、でも、その私のせいで」

「良いよー日向って人も理美ちゃん追い詰める為に言った訳じゃないし、俺には見えないアースさんだって理美ちゃんの今の状態では話したく無かっただけだし、多分精神がもっとも安定して皆の話聞いても暴れない騒がない、そしてある程度理解してくれる年齢を考えてただけなんだから、それを無碍にしたのはカラス的な何かでしょ?」

「……ごめん、ありがとう」

「ん、とりあえずこの1人と1匹がこっちに牙向いているうちに早く帰りなさい」

 ゼフォウの後ろには、何美味しいとこを取って行ってるんだと言わんばかりの殺意が溢れた冬美也とメリュウの姿があり、この後どうなったか言うまでもなく、理美がゼフォウの名を言う前に大変な事となる。

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