九口目
混乱する『しょうゆ』軍だったが、さすがに歴戦の強者ぞろい。強引な攻撃を中断して、防御に専念する。まずは混乱を収拾し、相手が攻め疲れたタイミングで、反撃に転じる作戦だ。
この時、『しょうゆ』軍の参謀本部は状況を正しく把握していた。数において、こちらが大きく上回っているので、いずれ形勢は逆転するだろう。
ゆえに、その先も考えておかなければならない。
偵察部隊の情報を元に、地図の上に印をつけていく。
東のヨウショク平原には『ソース』軍、南東のユデタマ湖周辺には『塩こしょう』軍がいる。こちらと同様、両軍ともマイノリティー大同盟軍と交戦中だ。
で、大同盟軍の一部が黄色高地に迫っているようだが、その予想現在地は・・・・・・。
「何とか追いつけそうですな」
「となると、最も警戒すべきは『塩こしょう』軍あたりか」
「いや、『ケチャップ』軍だろう」
その現在地は未だ不明だ。非常に不気味な存在。
「だが、これだけ探しても見つからないのだ。この大陸には『いない』、と考えるのが自然では」
その根拠として、一昨年、昨年の『トマト大凶作』がある。あれの影響で、『ケチャップ』軍はかなり弱っているはず。
であれば、今回の戦いには無理して参加せずに、戦力の回復を図っている可能性も。
しかし、この考えは間違っていた。