きっとまた会える
それからしばらくの間ラモーナ様とアーロンは我が家に滞在した。
アーロンは、お兄様やエステバンと、たまに私と一緒に学んだり、4人で遊んだりして過ごし、その間大人達はラモーナ様とアーロンの旅路の安全のために準備をしているみたいだった。
そのためにアルトゥロ達も協力しているようで、数日アルトゥロが私のところへ現れなかったことがあった。
「明日からしばらく私は御前にお仕えいたしませんが、十分守りは固めておりますので」
アーロン達が滞在中のある夕方アルトゥロに言われて、・・・御前?私の守り?誰が?と若干内心で引きながらも、
「アーロンたちのことをよろしくね」
笑顔でお願いしておいた。
「隣国からの不届きものを狩っておくのは、アレクサンドラ様にとっても有益ですからね」
え?「かって」?それはどんな「かって」かな?と思ったものの、いい笑顔のアルトゥロに問いただすことは控えて、
「よろしくね」
もう1度お願いしておくに留めておいた。
そんなやり取りがあって数日後、アルトゥロは戻ってくるといい笑顔で、
「だいぶ狩ることができました」
と報告してくれた。
だからそれはどんな「かる」?とは思ったけれども、私はやっぱり問いただすことは控えて、
「ありがとう」
お礼をしておくに留めておいた。
「辺境伯様も護衛の段取りを整えられたようです」
「そう。よかった」
これで大丈夫、かな。
アルトゥロが説明してくれた日のお昼のお食事のときに、
「確かにラモーナ様とアーロンを安全に送り届けるわ」
お母様も断言してくれた。
だから、
「もうだいじょうぶ」
私は安心してラモーナ様とアーロンを見送ることができる。
大々的なお見送りはできないから、2人に滞在してもらったお部屋にお邪魔して最後のお別れだけど。
「密かに手紙のやり取りができるように準備してもらうから」
すっかり仲良くなったらしいお兄様が、名残惜し気にアーロンに言っている。
「ああ、待ってる」
アーロンも名残惜しそうに頷いた。
そこでちょっとソワソワしているエステバンに気が付いて、私が横から、
「こっそりおてがみがだせるようになったら、私とエステバンも出していい?」
口をはさむと、
「もちろん」
アーロンは力強く頷いてくれて、エステバンも私も笑顔になった。
「すっかり仲良くなったこと」
私達のやり取りを耳にしてお母様も微笑む。
「こちらに滞在させていただいて良かった」
ラモーナ様も嬉しそうだ。
「名残惜しいけれど、そろそろ失礼しましょう。お2人の明日のご出発はとても早いから」
2人はまだ夜も明けないうちに出発するらしい。
「必ず手紙を出すし、またいつか会おう」
「やくそく」
私達きょうだいの言葉に、
「ああ、絶対に」
アーロンは答えてくれたし、エステバンもしっかりと頷いた。
そんな私達子供の様子を嬉しそうに見ていたお母様に促されて、私達はラモーナ様とアーロンの客室を後にした。
・・・寂しくなるな。
「大丈夫、絶対に手紙のやり取りを実現させるし、また会える」
私の寂しさを見透かしたみたいにお兄様が言ってくれて、手を握ってくれた。
「うん」
お兄様の手を握り返し、エステバンの手を取って3人手を取り合いながら。
私は、アーロンの旅路の無事を心から祈った。




