夏休みの終わり
アリシアのおうちの別荘での夏休みはとても楽しかった。
結局毎日朝は、魔力操作とかの朝練だったけど、思えば魔力操作の訓練は嫌いじゃないのだ。礼儀作法のお勉強でなければ夏休みにやることになっても別にいやじゃないと思うようになった。
しかも、朝練の後は、みんなでピクニックやアリシアと2人でのお茶会だ。楽しくないはずがないのだ。
だけど、楽しい日々はあっという間にすぎるもので、ついに帰る日がやってくる。
「寂しくなるわ」
たぶんあからさまにしょんぼりしている私に、アリシアが言ってくれる。
「私もでしゅ」
・・・悲しさのあまり噛んでしまった。
そこへ、王子も近寄ってきて、
「次に会うときには、アレックスに勝つぞ!」
と宣言しや・・・してくださった。
感傷的な気分を台無しにしないでいただきだい。思わず内心で不満をもった私を許してほしい。
しかし、
「まあ、いいライバルができて良かったこと」
王子の背後では、陛下が喜ばしそうに微笑んでいる。
どうやら私は、王子の公式ライバルとなったらしい。・・・ありがたき幸せ。・・・本当だとも。ああ、本当だ。私が内心で葛藤していると、王子が、
「それに競い合えて楽しかった!」
笑顔で言ってくれた。
・・・そっか、楽しかったのか。うん、確かに。
「わたしもたのしかったです」
そうだ、なんだかんだと私も楽しかった。
「うむ」
王子はまた嬉し気に笑うと、エステバンと向き合った。
「次に会うときにはエステバンとも打ち合えるようになっているつもりだ」
「はい、殿下」
にこにこと話している王子とエステバンの雰囲気は、何だか先ほどの王子の私へのライバル宣言のときの我々の雰囲気とは全く違う気がする。・・・なぜだ。
王子は続けて、お兄様に、
「また一緒に魔力操作を学んでほしい」
と言った。
「喜んで」
お兄様も何だかお兄様ぶって微笑んでいる。・・・むう。
それから王子はアリシアのところへ行くと何やら長めにお話した後、
「また王都で会おう」
とアリシアに言った後に、私達みんなにさよならと言って、陛下と共に先に帰っていった。
見送ったお兄様、エステバンと私もアリシアにご挨拶をしていよいよ帰ることになる。名残惜しかったけど、またお手紙をやりとりすることをお約束して、私は馬車に乗り込んだ。
馬車の窓からのぞくと、まだアリシアはいてくれたから、私はまたねと想いをこめて手を振った。アリシアも手を振り返してくれたところで、馬車が動き出す。
またね。楽しい夏休みだったよ。




