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暗い部屋の中

「よっし!!!」


部屋の中で一人叫んだ。

ジャキジャキジャキーン!!という効果音と共に、「ダイアモンドに昇格しました」という文言が画面に表示される。

たった今俺は昇格戦に勝利し、人生で初めてダイアになった。


ぼーっと余韻を味わいながら、対戦終了後の画面を見る。ここ最近は自分の上達をメキメキと感じてそろそろ昇格出来そうだなという予感は何となくあったものの、いざ実際に昇格すると本当に嬉しい。


(ここまで大変だったな...)


今終わった昇格戦も文句なしで俺のキャリーだった。

俺が使っているのはアカリやイレリアみたいな華やかなチャンピオンではないので、キャリーしたと言ってもダメージ量などのデータでは読み取りにくい。しかし俺の中にははっきり自分がキャリーしてダイアになったという実感がある。


そんな俺が使っているチャンピオンというのはツイステッド・フェイトだ。

攻撃力や素早さがない代わりに敵をマップに映したり長い距離をテレポートできるスキルを使って戦うちょっとキザなキャラクター。

殆どTFしか使わないからゲームIDも「トランプマン」にしたりしている。TFはカードを投げて戦うキャラだから面白いかな?と思ってかなり昔につけた。


「ふぅ~...」


ふと敵のチームのプレイヤーの面子を見ていくと、その中によく見覚えのある名前があった。


「じゅっしょく...いるじゃん」


【十色】 (じゅっしょく)だ。

この「十色」という名前のグウェンOTPのプレイヤーは俺はゴールドの頃から同じペースでランクを上がってきている。

ランクを回す時間も俺と似通っているのか腐れ縁かって程こいつとはいつもマッチングする。

もう30回以上は敵や味方で当たっているんじゃないだろうか。

軽いライバル関係...


気になって十色の対戦履歴をのぞいてみる。

ランクはエメラルドⅢ 75LP...

どうやら今の試合でエメⅡからエメⅢに降格したらしい。


「ふふふ、奴はまだエメラルドでスタック中か...」


多分こいつはまだ一度もダイアに上がったことは無い。

俺が知る限りこいつが一番ダイアに近かったのはもう4ヶ月ほど前、シーズンの最終日、こいつはエメラルドⅠの87LPだった。

そしてその時こいつのダイアへの昇格を阻止したのは俺だ。

今でも忘れない、俺は魔導書でスマイトを出し、ウルトでドラゴンピットに飛び、エルダーをスティールして勝ったのだ!


あの時は余りにも気分が良くて俺も「ダイア昇格失敗ドンマイw」などと煽ってしまった。あれから4ヶ月経ってもエメラルドにスタックしているのを考えると少しかわいそうだったかもしれない。


でも仕方ない。

この十色って奴は、めちゃくちゃトキシックだ。

こいつの味方になると、レーンに勝っても負けてもいつもいつもジャングルに文句を言っている。

試合中ずっと何かのピンをスパムしているし、俺の対面のミッドレーナーがトップにロームしているのをどれだけ教えてやってもコイツは前に出て死ぬ。そして俺は暴言を吐かれる。


ふふふ、しかし今、俺はこいつが敵にいる試合であっけなく勝利しダイアに昇格した。

片やこいつはエメラルド3に降格。俺の完全勝利だ!!


「フハハハハ!!!」


部屋の中で一人、変な笑い声をあげた。


少し落ち着いてきたところで、LoLのクライアントを閉じ、PCをシャットダウンした。

イヤホンを外すと、PCのファンの音がヴーっとなっている事だけが聞こえてくる。しかしやがてその音もなくなった。


「......はぁ...」


こうしてモニターの向こうに広がる楽しいゲームの世界から、現実世界に戻ってくる。

現実世界では…今は深夜の3時半だ。


そして実は... 明日は高校の入学式。


噂に聞く青春とやらが始まるらしい高校生活の、その1ページ目を目前に俺は朝の4時まで起きている。

青春がどうとかはどうでもいい事だが、それでもちゃんと学校には行かなければ人に怒られてしまう。


「さすがに寝ないと...」


遅くまでゲームをし過ぎた事を何となく後悔しながら布団の上で横になった。

横になって初めて数時間ゲームを休まず続けていた疲れを実感したが、それでもすぐには寝付けない。


始めてダイアになれた余韻をまだ感じている。

ふふふ...十色は今でも日本の何処かでイライラして居るんだろうか...

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