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大河ドラマと梅里様  作者: 今西薫
44/50

43 三条帝目が見えず耳が聞こえず、実資を味方に、敦康妻を得る。隆家は大宰府へ、双寿丸も大宰府へ

ドラマのネタバレをしてますので、お嫌なかたは回れ右を。

私見がかなり入ってますので、それも嫌な方は回れ右を。

第四十三回 輝きののちに


「うん? 栗か?」

「はい、渋皮煮を使ったんです」

 切り口に栗があるから栗のパウンドと分かるけれど、実は生地にも練りこんである。風味では分からないけど。

「ふうん」

 パクリと美味しそうに食べてくれるけど、きっと栗を感じてはいないと思う」

「これは、ラム酒か? 香りがいいな」

 だが、褒めるのが上手な梅里ばいり様は、香り付けに入れたお酒が分るのだった…

「この元レシピはサツマイモなんですけど、そっちでもラム酒を入れるんですよ。ブランデーにしようか迷ったんですけど」

 ブランデーだと、渋皮煮というよりマロングラッセという感じになるだろうか。今度試してみよう。



「さて今回は、いろいろ盛沢山というか、ある意味繋ぎの回のような内容だ。一番のメインは帝の目と耳が遠くなったことか」

「ご病気なんですか?」

「病気というか、薬のせいだな。不老長寿の薬というものがあって、それが実は毒だった、というのが理由だ」

「ああ…」

「これが悲しいのが、それを治すためにわざわざ宋から取り寄せた薬というのがあって、これもまた毒だったらしい」

「わぁ……」

 当時は珍しいものイコール薬という考えがあったのかそういうこと多かった印象がある。

「最初は、道長が奏上する言葉が聞こえないと言うことから始まるのだが、ちょっとした嫌がらせ的なものと感じるんだ。だが、持っている文が読めないから御簾を上げろと言い、それも読めないから良いようにしてくれと言うんだが、その文が、逆さなんだ。本人はそのことに気づいてもいない。道長は早々に気づいて、譲位を迫る」

「そりゃ、迫りますよねえ…」

 理由が出来たんだもん。

「困った帝は実資(さねすけ)に、実資の息子を蔵人の頭へするから自分を守って欲しいと訴える。実資はまあ嬉しい。だが、その後に帝の息子、敦明(あつあきら)と媙子(すけこ)から別の人を蔵人の頭にしてくれと頼まれて、息子から言われた時には渋っていたのだが、媙子から言われてその通りにしてしまう。実資は裏切られたのだな」

「あらら」

「この頃の道長はいかにして帝から主導権を取り返すかということに奔走していたように思う。おそらくそれに巻き込まれて辛い思いをしていたのが行成(ゆきなり)だ。行成は、大宰府に空きがあるから行きたいと言う。道長は考えておくと言うんだが、その後、隆家(たかいえ)が選ばれる。狩りをした時に目を傷つけてそれ以来痛むらしい。それを聞いた実資が、大宰府に宋から良い目の医師が来ているから大宰府に行くことを進めるんだ。道長は直接頼まれて、了承する。行成は道長に問う。その返答が『行成は俺のそばにいろ。そういうことだ』だ」

「なにそれ! 行成、道長を蹴っていい!」

 梅里様も同意見らしい。うんうんと頷いていた。



「次は倫子(ともこ)か」

「え、恐いんですけど」

 倫子と聞いただけで恐い。

「うん、恐い系の話だな。彰子にまた子が産まれて、道長が、息子の頼通(よりみち)の妻にも早く子をと言うんだ」

「え」

 声が低くなる。

「そういう時代だからな…。どうも、頼通と嫡妻の間には子ができなかったらしい。今なら授かりものだからと思ってもらえるが、子は政治の道具になるからな、いないと困るといった感じか」

「それはつまり、」

「子が産まれないのなら、もう一人妻を迎えろという話だな。頼通は時を変えて子を早く埋めなどということを妻の前で言うなと言うのだが、ストレートに、もう一人妻を迎えろと言う。頼通が怒って去ったあと、倫子が言う。自分は殿に愛されてはいない。自分でも明子でもない女がいることを知って悩んでいたが、今はどうでもいい。娘の子が帝になろうとしていることに比べたら大したことではない、と」

 ひえええええ…

「さらに、たまには自分のほうを見ろ、と笑うんだ」

「相変わらず、なかなか恐いお方です…」

「……うん」



「それから、為時が戻ってきた。任期が終わったのだな。そこで双寿丸と出会う」

「え、微妙に修羅場ですか?」

 孫と孫の彼氏の遭遇とは。

「うーん、まひろもいてな、実におだやかに認めるような発言をする。身分差のことをそれとなく言うのだが、それも良いと言うんだ。だが、双寿丸が大宰府に行くことになってな」

「ええと、隆家の家来の家来?」

「うん、そんなもんだな。自分も行くという賢子(かたこ)に、おまえは都で婿をとって暮らせと言う。うまい飯がゆっくり食べられて、妹みたいな賢子がいて楽しかった、と」

「えーとそれは、諦めさせるための…?」

「分からぬ。なにせあっけらかんとしていてな。でも、賢子は振られた気分でいっぱいだ。夜、琵琶を弾くまひろのもとへきて、振られたことがあるかと訊いてくる」

 まひろ、ないよねえ。

「少しの間を置いて、あるわよ、と答えて、ばっと両手を広げ、泣きたければ私の胸で泣きなさい、と言う」

「コントですねえ」

「うん。賢子は少し笑って断っていたがな。結局、宴を開いて送り出す。賢子の表情を見るまひろのまなざしが印象的だった」



「そういえば、ききょうが戻っていた。隆家が大宰府へ行くことになって、側で支えるつもりだったのだがそれが出来なくなったことを謝っていた。それに対するききょうの態度がおだやかでな。隆家が不思議がると、恨みを持つことで命を支えて来たがやめようと思ったと言っていた」

 戻っていた、というのはそっちの意味か。

「なんか、急ですね」

 そこに至るなにがしかの出来事があったのだろうか。

「うん。だが、もう出てこないと思っていたから、こういう出方をしたことでまひろとまた以前のように語り合うのではという希望が産まれた」

「確かに!」

 ききょうとまひろには仲良しでいてほしい。何故だか本当にそう思う。

「あと五回で終わるんだ」

「えっと、ああ、もう十一月ですもんね」

 多分、十二月の半ば頃に終わるのだろう。

「なんか、もう終わるなんて思えませんね」

「紫式部の話とはいえ、どこまでするのか分からないしなあ」

「それは、そうですよねえ」

 それでも、なんだか毎週楽しめたようだったのでなによりです。



 お代わりは普通に二切れ。紅茶ではなく煎茶に変えてみた。渋皮煮は和菓子なのでそれもアリかなーと。

「この、真ん中に栗が入っているのが、栗の菓子っぽくていいよな!」

 まあ確かに。

 入っていることで、微妙にしっとりしている気もするし。

「えっと、精進します」

 栗のような風味があいまいなものは、いろいろ混ぜて火を通すことで風味が消えてしまうことが多い。無花果もそう。普通にケーキ屋さんで買ったものでもそうなのだから、本当に難しい。

「うん? 美味いぞ?」

 梅里様の味音痴疑惑が私の中で大きく膨れ上がっています……


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