第58話 結ばれてから
私は、いつも通り聖女として働いていた。
「セレンティナ様、お疲れ様です」
「あ、うん。お疲れ様」
さらにいつも通り、ラカニアが話しかけてきた。
今日のラカニアは、少し笑っている。その理由はわかっている。私がロクス様と結ばれたと、知っているからだ。
「いやあ、セレンティナ様、ロクス様と無事に結ばれてよかったですね」
「う、うん……」
ラカニアの言葉に、私はゆっくりと頷く。
なんというか、少し恥ずかしい。
照れている私を、ラカニアは楽しんでいるようだ。いつにも増して、にやにやしている。
「元々婚約者だった訳ですけど、告白してから関係は変わりましたか? やっぱり、心が通じ合ったから、前より仲良しなのですか?」
「え? いや、そういう訳でもないかな? なんというか、まだそこまで変わっていないというか、そもそもあまり会えていないし……」
あの日から、私とロクス様の関係はそれ程変わっていなかった。
お互いに思いを打ち明けた後も、普通に話をして終わってしまった。恐らく、お互いにどうすればいいかわからなくなっていたのだろう。
という訳で、次に会う時に期待しているのだが、それはまだ叶っていない。忙しい身であるため、それは仕方ないことだ。
ただ、少し変わったことはある。それは、会えない時間が長く感じるようになっていることだ。
これを言ったら、ラカニアに笑われるので言わないが、そう思っている。だから、本当は変わったことがあるのだ。
「変わっていない? そうですか? 最近、なんだか元気がないのは、ロクス様と会えないからではないですか?」
「え? いや、その……」
しかし、私の心はラカニアに見抜かれていた。
私という人間は、思っていたよりわかりやすい人間だったようである。
焦る私に対して、ラカニアは楽しそうだ。今日のラカニアは、とてもいきいきしている。それは、私にとってはあまりいいことではないかもしれない。
「それにしても、いよいよ、セレンティナ様も結婚間近ですかね?」
「結婚間近? 別に、そういう話は出てないけど……」
「でも、セレンティナ様を守るための婚約だったのが、お互いに思いが通じたのですよね? だったら、もう結婚を考えるべきなのではないのですか?」
「……それは、どうなのかな?」
ラカニアの言葉に、私は少し考える。
確かに、お互いに思いが通じたため、この婚約は私を守るためのものではなくなった。
そうなれば、結婚しても悪くないのだろうか。これは、色々と考えた方がいいのかもしれない。




