序章
双月が生み出す光の中、木々達が怯える様にザワザワと葉と葉を擦り合わせている。
「今日の狩りは、どんなものが獲物なんでしょうねぇ? 」
そう言いやる者に対し
「はぁ、面倒くさいけど、全てはあのかたの願いの為に、っていうんでしょ? それに……さっきからずっと頭が痛くって、とりあえずあたし体調悪いから、ちょっとあなたが頑張って頂戴」
と、1人の銀髪の女性が微笑とともに言う
「まぁーたそんな事おっしゃって、はぁ、まったく。こんなだらけた指揮官を補佐するなんて、私以外には務まりませんぜ。まぁ、今回もあなた様が出ていらっしゃる様な事にもならないと思いますので結構ですが、もう少し『使命』という事を意識して貰いたい物ですよっ」
と、背は低く長い耳と長い鼻をもつ者が、座り込んでいた切株から腰を上げ、手を叩く。
すると回りの木々は枯れ始め、地面の所々が盛り上がり、その中から骨の指が見え、次々とその姿を現して行き、骨の身体をもつ物はギギギと吃音を放ちながら、次々と、地面から現れる、その数は50体ほどである。
姿を現した物達に先の者が一言。
「では、行くとしますよ、この私、魔族7将軍が1人、アルバーグ・トリアスタのスケルトン軍団で、姫の為にひと仕事してきますよっと」
「えっ、ちょっとなにそれ、どうやったの? 教えて欲しいけど面倒くさそうだなぁ。駒を増やすなんてとても便利だし、これなら私が働かなくても済みそうだわね。ともかく、私の為にしっかりと仕事して頂戴ね」
アルバーグ・トリアスタと名乗った者に姫と呼ばれる者が、現象に対して興味深々の顔を浮かべながら気だるそうに言う。
「それじゃ私は少し休むから、後は任せたわよ」
「ほんっとうに、姫のその、怠け者ぶりは本当に困らされてばかりですよ、まったくもう。姫としての知識など身につけさせるために、あの方がわざわざ私という存在をお側に置いてるというのに、もっと学ぶ態度を改めて欲しい物ですよ。まあ、そのマイペースな所は姫の良いところでもあり悪いところでもあるのですが」
アルバーグは、苦笑を浮かべながらも、姫と呼ぶ存在の在り方を認めながらも文句は言わずにいられない様だ。
「・・・・」
「ふぅ、本当に姫のマイペースには思いやられますよ、はぁ。
ため息ばかりではだめですな、ともかく、そろそろ行動するとしましょうか、丁度良い頃合いですし」
アルバーグの説教のなか、眠りこけた姫を見ながら、呼び出した手下達に命令を下す
「では、スケルトン軍団よ、行きましょうぞ! 目的は破壊、殲滅あるのみ! そしてその全てはあの方の為に!」
<<<<ギギッギギーー>>>>
スケルトン達から発生された吃音は、双月が照らす森の木々たちの闇の中へと霧散していった。
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