表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『夜明けのゾンビ』 ―無職の俺とポメラニアンにも、世界の終わりがやってきた―改稿版  作者: 天本一三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/14

8月31日

 八月の最後の台風が去った日、夕空は濃い紫色に染まっていた。世界が終わりを告げにきたような景色を窓辺で見ながら、俺はパソコンの画面に踊るSNSの見出しを見ていた。

『白昼の狂気?人が人に噛みつく!』

 人が人にって…ゾンビじゃあるまいし、狂犬病か何かか?と、その時の俺は思っていた。

 少し記事を読むと、横浜のどこかの裏道で、倒れている男を見かけた女性が様子を見に近寄ったとたん、突然飛びかかられて腕に噛みつかれたというのである。女性は悲鳴を聞きつけた他の人に助けられて病院に行ったようだが、その噛みついた男はそのまま走ってどこかへ行ってしまったらしい。警察も一応行方を追っているようだが、酔っ払いの犯行だろうとどうやら本気で動く気はなさそうだ。まあ、いつものことだ。

 記事の下のコメント欄も、予想通りの反応だった。

『ついに人が人を噛む時代になったか』 『待って、まだ犯人捕まってないの? 怖すぎるんだけど』

  そのニュースは一日中、トレンドページの上位に留まっていた。

 この家は昼間は俺とポメラニアンのプウしかいないので、気兼ねなくリビングのテレビがつけられる。しかしこの事件は特にニュースにはなっていなかった。チャンネルを変えても、どこも取り上げている局は無かった。相変わらずの芸人の食べ歩き番組やうるさいCMにうんざりした俺はすぐにスイッチを切ってしまった。

 降りてきたついでに冷蔵庫からアイスバーを取り出す。半年ほど前に仕事をクビになってから、俺はやる気を出せなくなっていた。両親からは今のところ何も言われていないが、働かずにいると、家族としてただ一緒にいることにさえ罪悪感を感じる。

 このまま来年になるまでこうしている自分を想像する。背中に感じた悪寒は、手に持っているアイスのせいではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ