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お嬢様 逃げる6

(また、やってしまった・・・)


アメリアはクロームに左からボディーブローを食らわせてしまった。

思いの外、パンチ力が強かった見たいで、相手はよろめいて、右手で腹部を抑え後ろに下がった。

その際に、右手も離れた。


「ど・・・どうして・・・。」

(それは、こっちが聞きたいぐらいです・・・。)


急に引き上げられ胸がときめいたはずなのに、何故か今度は軍師なのかと尋ねられた。

尋ねられた理由がわからない。


(仕方がないけど・・・・ここは逃げるが勝ちね)


本当は会場の端っこで大人しくするはずだったのに、アメリアはこのお茶会に出たことを後悔した。


「申し訳ありません、騎士様。わたくし、用を思い出したのでここで失礼いたします。」


アメリアは何もなかったように、にこりと笑顔を作り、ドレスの端を軽くつまんで軽く頭を下げると、そのままダッシュしてこの場から離れた。


(全く・・・無理をしてでもバックレをすればよかった。)


いまさら後悔をしてもしょうがない。

今、すべき事は一刻も早くここから離れる事。


(とりあえずは馬車まで逃げれば・・・)


「待って下さい!!」


(な・・・なんで追いかけてくるのよーーー!!)


******


(頑張れ私!!踏ん張れ私!!逃げきらないと後が面倒なのよー!)


アメリアは現在、林の中を走っている。

履いていたヒールは両手にもって、裸足の状態でだ。

ここは、王家が所有する森林だ。

手入れが良くされている為、尖った石や枯れた木などは見当たらない。

ストッキングは破れているが足に怪我はしていないと思う。


「止まって下さい!」

(止まれと言って止まる人はいません!)


騎士だからと言うべきか、流石訓練で鍛えてきた脚力。

ずっと走っているはずなのに、スピードが落ちていない。

それに走っている最中も『止まって下さい』とか『待って下さい』とか叫んでいて、息も乱れていない。

まだまだ体力があるのだろう。


(もう!諦めて~~~!!)


アメリアは心の底からそう願った。


「どうか、止まって頂けませんか!貴女に聞きたいことがあるのです!」


何度そう叫んでもクロームの前を走っている少女が止まることはなかった。

クロームが全力疾走をすれば直ぐに追い付くはずなのに、走り出す前に食らったパンチが思ったよりダメージを受けていて、早く走る事が出来ない。

でも、クロームは止まることなく追いかけた。


(なんだ、この令嬢は・・・。さっきからずっと走っているがスピードが落ちない・・・)


スピードが落ちないどころか、倒木や段差がある所をひょいっと跳んだり、左右に曲がったりしてクロームを撒こうとしている。

一度でも見失うことになれば、再度見つけることなど出来ないと感じた。


(必ず捕まえて見せます)

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