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お嬢様 逃げる5

(どうしよう・・・・。)


アメリアはこの状況をどう切り抜けようか、頭をフル回転している最中だ。


①逃げる→絶対追いかけてくる。

②何事もなかったように話しかける→知り合いになりたくない

③叫ぶ?→目立つ


(①は・・・体力しだいだな。③はないだろ③は。せめて②の選択でいくしかない。)


「大丈夫ですか?」

「はっ・・・はぃぃ」

「お手をどうぞ・・・。」


スッ・・・

クロームから左手を差しのべられた。


「だ・・・大丈夫ですから。一人で立てますので」

「駄目です!・・・。あなたの美しいドレスを汚す訳にはいけません。」

(ちょっっ・・・顔アップで言わないでくださ~い!!)


真面目な顔で言われるとなんでこう、ドキドキしてしまうのか。

心臓が持たない。

アメリアは、相手のセリフで顔が赤くなりそうになった。

しかも、やんわりと断ろうとしたはずなのにクロームは手をおろすこともせず、むしろズイッと手をだしている。


(マナーだから手を取るべき??でも、顔が赤いのがばれる!)

「失礼。」


フワッーーーー


差しのべられた手がアメリアの右手を掴みそっと引き上げられた。


(わっっ・・・)


引き上げられた事によって体が、前のめりになってアメリアはぶつかりそうになったが、クロームの右手がアメリアの左肩に置いた為、ぶつかることはなかった。


「あ・・・ありがとうございます。」

(あ・・・)


握られた右手からクロームの手が感じられる。

彼の手はマメが出来ていて、とてもゴツゴツしていた。

アメリアはそっと左肩に添えられたクロームの右手を見ると彼の右手は所々、傷口が見える。


(前とは違う・・・。)


前に会った時はとても綺麗な手をしていた。

綺麗だと言っても、多少の傷はあったが今ほどの傷はついていなかった。

彼はあの時から鍛練をしたのだろう。

彼の手から滲み出るような努力を感じる。


「綺麗な手ですね・・・。」

「え?」


アメリアは思わずそう呟いた。


「人々を守る手をしていますね。」


彼はきっと素晴らしい騎士になるだろう。

アメリアはそう思った。


「以前どこかで会ったことありませんか?」

「はい?」


クロームは目の前の少女の言葉に少し違和感を感じた。

違和感?違う、どこかで聞いたことがある言葉だ。

言葉だけではない、声もだ。

少し高めの声、最近聞いたことがある。

どこだろうか・・・。


『国民を守る為に戦っているのでしょう』


ふと、クロームの頭に過った。

そうだ、あの時の少年だ。

俺を考え方、いや違う生き方を変えた少年。

その子が言った言葉だ。

でも、今の格好を見れば少年ではない。

少女だったのか・・・?


「もしや、軍師様ですか?」


クロームは目の前にいる少女に尋ねた。

違うと言われたら、その軍師の手がかりでも見つけたい。

でも、もしそうだと言われたら・・・。


(貴女の側に・・・)


ゴスッッーーーー


「ぐふぅぅ・・」


突然、右側から来た衝撃に思わずよろめいてしまった。

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