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狼少年の話

注意!


自転車は喋らないけど気にしないで!

「狼が来たぞ─────!」

その大声でメルは目を覚ました。

体がベッドから二、三メートル浮いたと思ったぐらいには飛び起きて、窓の外を確認する。

急いで飛び出てきたであろう、寝巻きのままの村民たちがよく見える。

手にはスコップやら包丁やらチェーンソーやら10tと書かれたハンマーやらを持っている。

ムキムキの筋肉だるまみたいな人は腕をぶんぶん降っている。

しかし、肝心の狼の姿が微塵もない。

村民がキョロキョロしていると、高台の上からさっきの叫び声がと同じ声が聞こえてくる。

「あーっハッハッハッハ!君たちだまされてやーんの!」

声の持ち主はメルよりも少し少し背が小さく、意地悪な顔をしている。

ピンク色の大きなツインテールが目立っていて、なぜ今まで目に入ってこなかったのか不思議なほどだ。

「にしししし。」という笑い方でもしてそうな顔で、村民の怒りを糸を縫うように逃げ、やがて森の向こうへ消えていった。

村民たちは怒りに震えながら日常へと戻っていった。

眠りの恨みは恐ろしいのに。と、メルも二度寝へ戻っていった。


 〇


「狼が来たぞ─────!」

その大声でメルは目を覚ました。

激しいデジャブを覚えながらも律儀に飛び起きて、窓の外を確認する。

またかよ……と言いたげな顔をしている寝巻きの村人たちが、ぼやけた瞼越しによく見える。

手には弓やら銃やら石やら毒針やらチャクラムやらの投げられる武器を持っている。

ムキムキの筋肉だるまみたいな人は腕をぶんぶん降っている。

またもや、肝心の狼の姿がチョコチップクッキーの食べかすよりも無い。

村民がキョロキョロしていると、高台の上から昨日と同じ声が聞こえてくる。

「あーっハッハッハッハ!君たちまただまされてやーんの!ちょろすぎ〜!」

どこのブランドか聞きたくなるような、真っ黒に金色のラインが入ったローブが風に靡いていて、どうしてあの服装なのか不思議になる。

「にはははは。」という笑い方でもしてそうな顔で、銃弾やチャクラムや岩などを避け、やがて森の向こうへと消えていった。

村人たちは諦めたように、日常へと戻っていった。

明日も来るんだろうな。と、メルはシドを起こしにいった。


 〇


「狼が来たぞ─────!」

一昨日や昨日と違う大声で、メルは目を覚ました。

今度こそは、と飛び起きて窓の外を確認する。

完全に嘘だと思い込んだ村人たちは家から出て来ず、がらんとした村がよく見える。

そこには牙を輝かせ、よだれを垂らし、グルグルと唸っている狐と、大声を出した少年がいた。

少年が後退りをしている中、唯一外に出てきた、ムキムキの筋肉だるまみたいな人は腕をぶんぶん降っている。

「ファレコンパァーンチ!」

と、筋肉だるまの気合の一撃を喰らった狼は草原の方へと逃げていった。

しかし、肝心のピンク髪少女の姿は微塵も見当たらない。

あの筋肉だるまは誰なんだろう。と、メルは二度寝へ戻っていった。

狼少年は正直ですのに、危ない目に。

狼少女は嘘つきですのに、家でぐーたら。

筋肉だるまは筋肉ですから、今日もどこかでファレコンパンチ!

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