03:バルタザールの屋敷とマヤ
「よくぞ参ったヴィル! それにボーロ村の者達よ!」
屋敷に入ると、さっそくバルタザール子爵と見られる豪快なおじさんが、使用人を伴って挨拶に出て来た。それはもうバシバシと、ヴィルおじさんの肩を叩いている。
バルタザール子爵は領の騎士団長で、元冒険者とあって、大柄で逞しい体つきをしている。ピンとはねた口ひげが特徴的なおじさんだ。
「ペトラも元気であったか? 少し背が伸びたのではないか?」
「は、はい・・・・。今回もお世話になります」
「そうかしこまるな! 吾輩はお前の義父であるのだぞ!」
そんな豪快なバルタザール子爵に、ペトラちゃんは若干引き気味だ。
「叔父様・・・元気そうでなによりです」
次にフェリ姉ちゃんがバルタザール子爵に挨拶をする。どうやらバルタザール子爵は、フェリ姉ちゃんの親類にあたるようだ。ということはバルタザール家は、オルブラント公爵家の親類ということになる。オルブラント公爵家と、モンタルバン伯爵家は違う派閥のはずだが、バルタザール子爵はよくそんな領地の騎士団長になれたものだ。何かそこに貴族の事情でもあるのだろうか?
「おや? 姪のフェリアンヌではないか? ラルフもおるのか・・・・聖騎士軍はどうしたのだ? 確か聖騎士軍は1ヶ月も前にこのシムザスの街から発ったはずだがな・・・・」
「王子と少しありまして・・・聖騎士軍を辞すことになり・・・・その過程でこのマヤと聖獣カロンと出会いました」
「マヤです・・・・」
『聖獣カロンだよ。よろしくね』
「ほう? 其方が例のマヤか・・・聖獣カロンがおられるということは、そういうことなのだな?」
そういうこととはいったい、どういうことだろうか?
ワタシが聖人であると、暗に判断したということだろうか?
「それで・・・・そちらの獣人の2人は?」
「マヤが保護した村人の娘です・・・・」
「マヤ様の使用人のセリアよ!」
「メルだよ! メルもマヤちゃんの使用人だよ!」
2人をワタシの使用人にした覚えはないのだけど、どうやら2人はそのつもりのようだ。
「2人はもしやラザ村の・・・・?」
2人を見てラザ村のことに思考がいきつくということは、バルタザール子爵もラザ村のことを、知っているのかもしれない。
「ええ・・・そうです叔父様・・・・今はその生き残りの村人20名が、マヤの砦のお世話になっているのよ」
「そちらのマヤ殿の砦とは?」
「マヤが魔法で建てた砦よ。マヤはこう見えて色々と規格外なの叔父様。マヤはその砦の主人と言っても過言でないわ。2人の獣人の娘が、マヤの使用人だと口にしているのはそういうことよ」
「なるほど・・・・。吾輩もラザ村のことについては気になっておったのだよ・・・・。こちらからも内密に救助隊を送ったのだが、既に村人が見当たらなくてな。そんな事情があったとは・・・・」
バルタザール子爵から救助隊が差し向けられていたという話は初耳だ。ラザ村の村人は村を離れて、洞窟で暮らしていたし、大方その救助隊を警戒して隠れていたのかもしれない。もしくは救助隊が到着した時には、すでに猫砦に向かっていた可能性もある。まあどちらにせよその救助隊は、無駄足になったようだが・・・・
「よく来たわねペトラ! さあドレスにお着替えしましょう!?」
そんな時屋敷の奥から、貴族のご婦人が急ぎ足で出て来た。どうやら彼女はバルタザール子爵の奥さんのようだ。
「あらエリザベート叔母様・・・・元気でなによりですわ」
「まあファリアンヌ? なぜ貴女がこちらへ?」
「ヴィルやボーロ村の人達は知っているかもしれないけど、こちらはエリザベート・バルタザール夫人よ」
ご婦人のフェリ姉ちゃんに対する質問は、スルーされてしまったようだ。まあ挨拶は貴族にとって重要らしいからね。ここはフェリ姉ちゃんの行動が正しいのだろう。
「まあ! 挨拶が遅れて申し訳ないわね! わたくしはエリザベート・バルタザールよ! バルタザール家の第一婦人なの!」
「マヤです」「セリアよ」「メルだよ!」『聖獣カロンだよ・・・・』
「まあ可愛らしい3人ね!? 3人もドレスにお着替えしましょう!? 聖獣カロンもお初にお目にかかります!」
え? ワタシ達もドレスを着るの?
「えっと・・・私はマヤ様の使用人なのでドレスはちょっと・・・・」
「メルも使用人だよ!」
「それじゃあ2人には可愛いメイド服にしましょう!」
そんなわけでワタシ達子供組は、有無を言わせずドレスを着る羽目となった。着せ替え人形にされたと言ってもいいかもしれない。
「マヤ! 俺達はステッドと納税に行ってくるから、馬車の荷台に麦を頼む!」
ステッド? ああ村長代理でアビーおばさんの旦那さんのステッドおじさんね?
あまりに影が薄くて気付かなかったが、どうやら今回の旅には、最初から同行していたようだ。
「黒渦!!」
「「「おおおおお!!」」」
ワタシが【黒渦】を使って、馬車の荷台の上に、麦の入ったズタ袋を大量に出すと、バルタザール家の面々から驚きの声が上がった。どうやらバルタザール家の面々は、ワタシの【黒渦】に驚いたようだ。もしかしたら【黒渦】は、珍しい魔法なのだろうか?
そんなわけでヴィルおじさんと村人連中は、納税のために城へ向かい、残りの面々は使用人に案内されながら、屋敷の奥へと足を進めた。
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