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06:海の情報収集とマヤ

「海に行くだって!? 馬鹿かお前は!?」


 冒険者のダイソンさんに、海について尋ねると、そんな答えが返って来た。

 あれから怪我もすっかり良くなり、海や岩塩の情報を集めていたワタシは、この村の近くに、海があるという情報を掴んだのだ。そこで村の外を、よく探索している、冒険者のダイソンさんに声を掛け、色々と尋ねていた。


 冒険者のダイソンさんは大柄で、その身長は村で一番背の高い、ヴィルおじさんよりさらに大きい。スキンへッドに逞しい体付きをしており、日に焼けた黒光りの筋肉を見せつけている。背中の大盾が特徴的な戦士だ。武器は腰にロングソードを帯剣している。


「海には【無敵の死神】が出るんだ! お前みたいな子供、あっという間に食われちまうぞ!」


「無敵の死神・・・・? 何ですかそれは?」


「おい! ダイソン! なにを幼子ともめている!?」


 そこへもう1人の冒険者である、モニカさんがやって来た。

 モニカさんは長身の女性で、ポニーテイルが特徴的だ。それはもうモデルのような体型をしている。武器は腰に帯剣している2本の短剣と、背中の弓矢なのだろう。笑っていてもその眼光は鋭く、まるで女豹のような女性だ。職業は斥候なのだという。


「聞いてくれよモニカ! この小さいのが海に行きたいと言い出したんだ!」


「海か・・・・それは確かに自殺行為だな・・・・」


 そんなに異世界の海は危険なのだろうか? それに【無敵の死神】とは、いったいなんなのだろうか?


 だがこの様子では、海に行くのは絶望的なようだ。

 海の場所がわかるような、ヒントでもあれば、1人でこっそりと目指せるのだが・・・・


 だがその前に、【無敵の死神】とやらについての、情報を知らねばならないだろう。海に行ったはいいが、正体不明の魔物に殺されては元も子もない。


「あいつには魔法も剣も通用しない。しかも両手には、鋭い鎌のようなハサミを持っていやがるんだ。そこでついた二つ名が【無敵の死神】だ」


「海の近くには以前村があったんだけどね・・・・。【無敵の死神】に壊滅させられちまったって話さ」


 聞けば聞くほどその【無敵の死神】が、物騒な存在に思えてくる。だがその魔物・・・なんとなくだが、姿が思い浮かんできた気もする。


「もしどうしても海に行きてえってんなら、お前の保護者のヴィルにでも相談するんだな。多分無理だろうがな・・・・」


 そんな話を聞いたワタシは、さっそくヴィルおじさんの元へ直行した。

 朝のこの時間ヴィルおじさんは、いつも訓練場にいることが多い。

 訓練場は村の森に面した、開けた場所にあるのだ。そこは窪地になっていて、坂道から降りるようになっている。早朝に見下ろすと、いつも早朝訓練が行われている場所だ。この時間なら早朝訓練も既に終わり、数人が残っているだけだろう。




「やあ! とう!」


 村の修練場に行くとヴィルおじさんを、見付けることができた。ヴィルおじさんは長棒を振り回し、自主練に励んでいる最中だった。


「ヴィルおじさ~ん!!」


「ん? 何だマヤ? 何か俺に用事でもあるのか?」


 さっそくワタシがヴィルおじさんに、声を掛けてみると、すぐにこちらに気付いて、用件を尋ねて来た。ワタシは目の前の坂を駆け下りて、ヴィルおじさんのいる場所へと向かう。

 修練場ではヴィルおじさん以外にも、まだ数人が残っており、模擬戦などを繰り返しているようだ。彼らはワタシが声を上げても、もくもくと訓練に励んでいる。


「実はワタシ・・・【無敵の死神】の倒し方について覚えがあるかもしれませんが、少し耳を貸す気はありませんか?」


 ワタシは得意げな様子で、ヴィルおじさんにそう尋ねた。

 普通に海に行きたいと言っても、ヴィルおじさんはきっと首を縦には振らないだろう。それどころか、話を聞いてもらえない可能性すらある。だからこそまず、興味のありそうな話題で、こちらに注意を引くことにしたのだ。

 勿論【無敵の死神】の倒し方については、覚えがなくもない。その【無敵の死神】がワタシの予想通りの魔物ならだがね。


「何を言っているんだお前は?」


 そんなワタシをヴィルおじさんは、怪訝な顔付きで見下ろしてくる。どうやら興味を引くことには、成功したようだ。


 続けてワタシはその辺で拾った、いい感じの木の棒を、ヴィルおじさんに向けた。それは剣でのヴィルおじさんに対する、挑戦を意味する。


 高校時代の3年間、ワタシはアニメの影響を受けて、剣道部に所属していた。剣道は実戦には、向かないと聞いていたので、少し不安はあるが、それでも戦い方や、集中力においては、活かせることもあるだろう。しかも今のワタシには、【身体強化】もある。あの時以上に戦える自信はある。


 そしてここでさらにヴィルおじさんに、ワタシの力を見せ付けておこうというわけだ。力があることを見せつけておけば、ワタシの言葉にも、少しは信憑性が出るだろう。そこでワタシを連れて、海に行くと言う話になれば、もう勝利したも同然だ。


 例え【無敵の死神】の討伐ができなくても、海の場所さえわかれば、いつでも行くことができる。そこでこっそりと海に通い、塩を造りに行けばいいのだ。


「お前どうした最近? 言葉遣いもなんだか可笑しいぞ」


 ヴィルおじさんは、そんなワタシに何か思ったのか、目を細めながら長棒を向け、まるで警戒するようにそう尋ねて来た。


「そうですか? ワタシは普通に話しているだけなんですが・・・?」


 以前のワタシはどうだっただろうか? 粗野で単調な言葉遣いだったような気もする。まあそんなことは今はいい・・・・。今は目の前のヴィルおじさんに、ワタシの実力を見せ付ける時だ。


 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

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