11:滅びのラザ村とマヤ
「誰かいないのかしら!?」
そうフェリ姉ちゃんがそう呼びかけると、森の木々の間から、獣人の老人が数人出て来た。
「ご無事でなによりでございます・・・・」
どうやら彼らが、ラザ村の避難民のようだ。
あれからワタシは森を駆け抜け、2時間程でラザ村にたどり着くことができた。ところがラザ村は、あちこち破壊され、建物が焼け落ちていて、見る影もなかった。
「村長のシュナルね?」
「ん? もしやそちらの白虎と聖人様色の御子は・・・・」
聖人様色? 聞きなれない言葉だが、ワタシのことだろうか? ワタシも一応、聖人であるようだし・・・・・
「こっちの白虎は聖獣カロンよ!」
「「「おおおお!!」」」
フェリ姉ちゃんがカロンの紹介をすると、獣人達から歓喜と驚きの声が上がる。どうやらカロンは、この獣人達に崇められているようだ。
「こっちの黒目黒髪の子はマヤ・・・・彼女がどういう娘かは、貴方達の想像にお任せするわ!」
どうやらフェリ姉ちゃんは、ワタシが聖人らしいことは、大っぴらには口にしないスタンスを、貫くつもりのようだ。
「そ、そうでございますか・・・・では一応・・・・マヤ様とよばせていただきます」
そしてワタシが聖人らしいことを察したシュナル長老は、ワタシに恭しい態度で接してきた。
「えっと・・・・ワタシは普通の平民ですし・・・マヤと呼び捨てでけっこうですよ?」
平民で幼子のワタシを、村長程の立場の人間が、様付けで呼ぶのは可笑しい気がする。
「そう言うわけには参りません! 例え事情がおありで正体を隠されているとしても、我々にとっての貴女は希望そのものなのです!」
するとシュナル長老は真摯な態度で、ワタシにそう反論してきた。
まあ正体を隠しているつもりはないが、フェリ姉ちゃんがなんとなく雰囲気で、正体をばらすなという感じなので、それ以上の反論は控えておく。
こんな人がワタシが単なる|美食{・・}の聖人であることを知れば、どんな反応をすることだろうか? ワタシに希望があるとすれば、それは平和とか平穏ではなく、ご飯が美味しくなる希望だ。残念ながらそれ一択しかない。
「まさかお嬢様がこのような方々を連れてこられるとは驚きです」
「偶然こうなったのよ? 私の方こそ驚いているわ」
「それでその・・・・海辺にある洞窟の方はどうでしたでしょうか?」
もともとフェリ姉ちゃんとラルフさんは、その海辺の洞窟が避難先に使えるかどうか、確認するために海にやって来たのだ。そしてワタシ達のいる、猫砦にたどり着いたというわけだ。
「残念ながらその洞窟は使い物にはならなかったわ・・・・」
海辺の洞窟は子供が数人入れるだけの小さな洞窟だ。デスキャンサーが入ってこないので、安全かもしれないが、食料や水についてなど、心配なことだらけな場所だ。とても避難民全員が生活していけるような場所ではない。
「そうですか・・・・」
それを聞いた獣人の村人達は、がっかりして俯く。
「でも朗報があるわ!」
「朗報でございますか?」
「なんとその海辺の方に安全な砦があったのよ!」
「砦でございますか? そのような噂は聞いたことがございませんが・・・・」
まああの猫砦が出来て、まだ1ヶ月経たないくらいだし、ラザ村がこんな状態であったなら、なおさらそんな情報は入らないだろう。
「その砦も城壁は高くて丈夫だし、このマヤが多くの農作物を育てているのよ! 食料の心配もないわ!」
まあ、あの猫砦で心配事があるとすると、井戸がないことだろう。水はワタシが水魔法を使えるし、今まで造る必要もなかったからね。だが多くの村人が来るとなれば、造る必要が出てくるかもしれない。
「う~ん・・・・。本当にそのような都合の良い場所があるのでしょうか?」
するとそのフェリ姉ちゃんの言葉に、村人達は懐疑的な様子だ。その話はまるでおとぎ話のような内容で、信じられないのだろう。
「マヤ! あの砦で獲れた作物を見せてあげてちょうだい!」
「了解!」
こんなこともあろうと、フェリ姉ちゃんからはいくつか作物を、持ち出すように言われていたのだ。
「黒渦!!」
ワタシは【黒渦】を使い、持ち出した野菜や木の実を、村人達の目の前にズズズと出現させた。
「おおおお!」「まさかこのような幼さで魔法を使われるのか!?」
「流石せいじ・・・・けふんけふん! マヤ様だ!」
村人達はワタシの魔法に驚愕する。1人ワタシのことを、聖人と言いかけて、言い直しているがね。
「これはペーダかの?」「これは本当に野菜なのですかな?」
「ふむ・・・どれも見慣れないものばかりですな」
その見慣れない作物の数々に、村人達は困惑しているようだ。まあワタシのつくる野菜や木の実は、どれもワタシが【植物改良】で創り出した、奇異なものばかりだ。困惑しても可笑しくはない。
「シャリ! どれも美味しいのよマヤの作物は! 貴方達も食べてみなさい!」
すると困惑する村人を前に、フェリ姉ちゃんがリンゴを一口齧って見せる。ワタシの作物が安全なことを、自ら食べて示してくれているのだろう。
「どれ・・・?」
するとシュナル長老が代表して、フェリ姉ちゃんと同じリンゴを手に取った。そして徐に口にする。
「シャリ・・・・美味い!! 凄く甘いぞ!!」
「おお! 本当か!?」「私もいただくぞ!」
その村長の言葉を皮切りに、次々と村人が、作物に手を出し始める。
「野菜も水水しくてとても美味いぞ!」「この赤いのなぞ食べたこともない味だがとても美味だ!」
ワタシのつくった作物で喜んでくれるなら、つくった甲斐があったというものだ。
「本当にこれ程の作物がその砦にはあるのですか!?」
「勿論よ! 貴方達の避難場所には打って付けの場所だと言っておくわ!」
フェリ姉ちゃんは村人達に対して、得意顔でそう宣言した。
「他の村人にも知らさねば!」「これで我々は救われるぞ!」
安全な避難先が見付かったことで、村人達は次々と喜びの声を上げる。
これで彼らの避難先は、あの猫砦に決まった。
「それで・・・生き残りの村人は・・・・今どちらに?」
村人が数人しかいないのが、気になったのか、ラルフさんがそう尋ねる。
「森を少し進んだ場所に洞窟がありまして・・・・そちらが村の避難所となっております。皆そちらでお2人の帰りを待ちわびておりました」
そう言うとシュナル長老は、ワタシ達を森の中にあるという、その洞窟へと案内した。
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