表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/79

11:滅びのラザ村とマヤ

「誰かいないのかしら!?」


 そうフェリ姉ちゃんがそう呼びかけると、森の木々の間から、獣人の老人が数人出て来た。


「ご無事でなによりでございます・・・・」


 どうやら彼らが、ラザ村の避難民のようだ。

 あれからワタシは森を駆け抜け、2時間程でラザ村にたどり着くことができた。ところがラザ村は、あちこち破壊され、建物が焼け落ちていて、見る影もなかった。


「村長のシュナルね?」


「ん? もしやそちらの白虎と聖人様色の御子は・・・・」


 聖人様色? 聞きなれない言葉だが、ワタシのことだろうか? ワタシも一応、聖人であるようだし・・・・・


「こっちの白虎は聖獣カロンよ!」


「「「おおおお!!」」」


 フェリ姉ちゃんがカロンの紹介をすると、獣人達から歓喜と驚きの声が上がる。どうやらカロンは、この獣人達に崇められているようだ。


「こっちの黒目黒髪の子はマヤ・・・・彼女がどういう娘かは、貴方達の想像にお任せするわ!」


 どうやらフェリ姉ちゃんは、ワタシが聖人らしいことは、大っぴらには口にしないスタンスを、貫くつもりのようだ。


「そ、そうでございますか・・・・では一応・・・・マヤ様とよばせていただきます」


 そしてワタシが聖人らしいことを察したシュナル長老は、ワタシに恭しい態度で接してきた。


「えっと・・・・ワタシは普通の平民ですし・・・マヤと呼び捨てでけっこうですよ?」


 平民で幼子のワタシを、村長程の立場の人間が、様付けで呼ぶのは可笑しい気がする。


「そう言うわけには参りません! 例え事情がおありで正体を隠されているとしても、我々にとっての貴女は希望そのものなのです!」


 するとシュナル長老は真摯な態度で、ワタシにそう反論してきた。

 まあ正体を隠しているつもりはないが、フェリ姉ちゃんがなんとなく雰囲気で、正体をばらすなという感じなので、それ以上の反論は控えておく。

 こんな人がワタシが単なる|美食{・・}の聖人であることを知れば、どんな反応をすることだろうか? ワタシに希望があるとすれば、それは平和とか平穏ではなく、ご飯が美味しくなる希望だ。残念ながらそれ一択しかない。


「まさかお嬢様がこのような方々を連れてこられるとは驚きです」


「偶然こうなったのよ? 私の方こそ驚いているわ」


「それでその・・・・海辺にある洞窟の方はどうでしたでしょうか?」


 もともとフェリ姉ちゃんとラルフさんは、その海辺の洞窟が避難先に使えるかどうか、確認するために海にやって来たのだ。そしてワタシ達のいる、猫砦にたどり着いたというわけだ。


「残念ながらその洞窟は使い物にはならなかったわ・・・・」


 海辺の洞窟は子供が数人入れるだけの小さな洞窟だ。デスキャンサーが入ってこないので、安全かもしれないが、食料や水についてなど、心配なことだらけな場所だ。とても避難民全員が生活していけるような場所ではない。


「そうですか・・・・」


 それを聞いた獣人の村人達は、がっかりして俯く。


「でも朗報があるわ!」


「朗報でございますか?」


「なんとその海辺の方に安全な砦があったのよ!」


「砦でございますか? そのような噂は聞いたことがございませんが・・・・」


 まああの猫砦が出来て、まだ1ヶ月経たないくらいだし、ラザ村がこんな状態であったなら、なおさらそんな情報は入らないだろう。


「その砦も城壁は高くて丈夫だし、このマヤが多くの農作物を育てているのよ! 食料の心配もないわ!」


 まあ、あの猫砦で心配事があるとすると、井戸がないことだろう。水はワタシが水魔法を使えるし、今まで造る必要もなかったからね。だが多くの村人が来るとなれば、造る必要が出てくるかもしれない。


「う~ん・・・・。本当にそのような都合の良い場所があるのでしょうか?」


 するとそのフェリ姉ちゃんの言葉に、村人達は懐疑的な様子だ。その話はまるでおとぎ話のような内容で、信じられないのだろう。


「マヤ! あの砦で獲れた作物を見せてあげてちょうだい!」


「了解!」


 こんなこともあろうと、フェリ姉ちゃんからはいくつか作物を、持ち出すように言われていたのだ。


「黒渦!!」


 ワタシは【黒渦】を使い、持ち出した野菜や木の実を、村人達の目の前にズズズと出現させた。


「おおおお!」「まさかこのような幼さで魔法を使われるのか!?」


「流石せいじ・・・・けふんけふん! マヤ様だ!」


 村人達はワタシの魔法に驚愕する。1人ワタシのことを、聖人と言いかけて、言い直しているがね。


「これはペーダかの?」「これは本当に野菜なのですかな?」


「ふむ・・・どれも見慣れないものばかりですな」


 その見慣れない作物の数々に、村人達は困惑しているようだ。まあワタシのつくる野菜や木の実は、どれもワタシが【植物改良】で創り出した、奇異なものばかりだ。困惑しても可笑しくはない。


「シャリ! どれも美味しいのよマヤの作物は! 貴方達も食べてみなさい!」


 すると困惑する村人を前に、フェリ姉ちゃんがリンゴを一口齧って見せる。ワタシの作物が安全なことを、自ら食べて示してくれているのだろう。


「どれ・・・?」


 するとシュナル長老が代表して、フェリ姉ちゃんと同じリンゴを手に取った。そして徐に口にする。


「シャリ・・・・美味い!! 凄く甘いぞ!!」


「おお! 本当か!?」「私もいただくぞ!」


 その村長の言葉を皮切りに、次々と村人が、作物に手を出し始める。


「野菜も水水しくてとても美味いぞ!」「この赤いのなぞ食べたこともない味だがとても美味だ!」


 ワタシのつくった作物で喜んでくれるなら、つくった甲斐があったというものだ。


「本当にこれ程の作物がその砦にはあるのですか!?」


「勿論よ! 貴方達の避難場所には打って付けの場所だと言っておくわ!」


 フェリ姉ちゃんは村人達に対して、得意顔でそう宣言した。


「他の村人にも知らさねば!」「これで我々は救われるぞ!」


 安全な避難先が見付かったことで、村人達は次々と喜びの声を上げる。

 これで彼らの避難先は、あの猫砦に決まった。


「それで・・・生き残りの村人は・・・・今どちらに?」


 村人が数人しかいないのが、気になったのか、ラルフさんがそう尋ねる。


「森を少し進んだ場所に洞窟がありまして・・・・そちらが村の避難所となっております。皆そちらでお2人の帰りを待ちわびておりました」 


 そう言うとシュナル長老は、ワタシ達を森の中にあるという、その洞窟へと案内した。

 お読みくださりありがとうございます!!


 マヨネーズが好きな方★

 冒険が好きな方★

 食べるのが大好きな方★


 ぜひコメントをください!

 そして面白かったらブックマークと評価をぜひお願いします!

 ★★★★★いただけたら作者はテンション爆上がりですよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ