04:訪問者の正体とマヤ
「お嬢様・・・・あまり馬に無理をさせてはなりません・・・・」
フェリ姉ちゃんがさっそく馬に跨り、村人への報告に戻ろうとすると、執事のラルフさんに、そう言って止められた。村人達のことが心配なのはわかるが、馬が潰れてしまっては元も子もない。
「せめて一日は休ませませんと・・・・」
ラルフさんは2頭の馬を見て、そう判断する。
「そうね・・・・。この子達にはだいぶ無理をさせていたわね・・・・」
そう言ってフェリ姉ちゃんは馬を撫でた。
「それに村人の移動には護衛も必要となります。そのことも考えませんと・・・・」
20人からなる村人を森で移動させるとして、フェリ姉ちゃんとラルフさんだけで、護衛するのは難しいだろう。魔物は前方と後方のみならず、左右からも襲い掛かってくるのだ。それに前に1人、後ろに1人だけでは心もとない。最低でも10人の護衛が、必要ではないだろうか?
「まあその辺りは後で話し合って決めましょう。ワタシが力になれるかもしれませんし・・・・」
ワタシはフェリ姉ちゃんと、執事のラルフさんにそう提案する。
「ちんちくりんのあんたが? 少しは魔法が使えるようだけど魔物を甘く見ちゃだめよ?」
するとフェリ姉ちゃんに笑いながら、そんなことを言われてしまった。まあ一見したらワタシなんて幼い少女だし、フェリ姉ちゃんがそう思っても仕方がない。
「それよりもこの子達に水と餌をやりたいんだけど・・・・何かないかしら?」
「ああそれなら・・・」
そう尋ねられたワタシは、さっそく桶を馬の前に置いた。その桶は最近メルちゃんが、土魔法の練習で作っていた、不格好な桶だが、穴はあいてないし使えなくはないのだ。
「随分と不格好な桶ね?」
「ああ! それメルが作ったコップだよ!」
コップのつもりだったのか・・・・それにしては随分と大きい・・・・
「これは人には大きすぎるので、お馬さんのコップにしましょう」
「う~ん! そうする!」
メルちゃんの許可も出たことだし、さっそくその桶を使わせてもらう。
ワタシは水魔法の【操水】で水を集めて、その桶の中にじゃぶじゃぶと入れた。
「貴女・・・水魔法も使えたのね?」
馬が水を飲むのを見ていると、なぜか呆れ顔で、フェリ姉ちゃんがそう口にした。
「それにその桶・・・・陶器よね? もしかしてあの獣人の小さな娘・・・メルといったかしら? あの子がこれを?」
「ああ・・・それは・・・・」
確か獣人が魔法を使うのは、普通でないという話だった。ここは誤魔化した方がいいだろうか?
「そうだよ!! メル土魔法は得意なんだよ!」
ワタシがどう誤魔化すか考えていると、なんとメルちゃんは、フェリ姉ちゃんの目の前で、土を変化させてコップを作ってしまった。
「はい! これフェリ姉ちゃんのコップね!」
そして無邪気にも不格好なコップを作って、差し出してしまったのだ。子供は無邪気でいいね!
「聖獣カロン・・・・貴方がもしかしてこの娘に魔法を?」
するとコップを受け取ったフェリ姉ちゃんは、確認するようにカロンに尋ねた。どうやらカロンがメルちゃんに、魔法を教えたと思ったようだ。
『その魔法をメルに習得させたのはボクじゃないよ? そこにいるマヤさ・・・・』
そして正直にそう暴露しやがった。
おい・・・どうすんだよこの説明・・・・
ワタシは恨みがましい目でカロンのことを見た。するとカロンはつーんとした様子で、そっぽを向き、公箱座りをしやがった。
ほれ見たことかと言わんばかりの様子だが、この事態は君が招いたんだからね?
「ああ・・・貴女そういう・・・・・」
するとフェリ姉ちゃんは、何か納得したようにそう呟いた。どうやらそれがワタシの能力か何かだと、納得したようだ。そういう納得のされ方も腑に落ちないが、追及されないだけましだろう。
「それじゃああの子も?」
フェリ姉ちゃんはセリアちゃんを見ながら、今度はそんなことを尋ねて来た。
「えっと・・・・風魔法を少々・・・・」
ワタシは正直にそう暴露した。
そんなセリアちゃんは、先ほどからぱたぱたと、馬にやるための野菜と木の実を集めているのだ。さすがにいつものように、風魔法を使って物を運んだりはしていないが、その行動も今となっては無駄である。
「はい・・・野菜と木の実だよ・・・・」
「ちょっと貴女それ・・・・」
セリアちゃんが、馬に野菜と木の実を差し出すと、フェリ姉ちゃんは何か引っかかったのか、再びワタシに意味ありげな視線を向けた。
今度はいったいなんだ!?
「もしかしてボーロ村に野菜や果樹を溢れさせたのは貴女なのかしら?」
どうやらフェリ姉ちゃんは、馬に差し出されたその野菜や木の実を見て、そう判断したようだ。
ワタシがこの猫砦で育てた野菜や果樹は、ワタシが植物魔法の【植物改良】で創った特別な物ばかりだ。しかもボーロ村でも、同じ野菜や果樹は、育てられている。ボーロ村の現状を目にしたことがあれば、そう思っても可笑しくはないだろう。
つまり彼女はボーロ村に、立ち寄ったことがあるのだ。しかもワタシはたった今、ボーロ村で見かけたある娘と、彼女の容姿が一致してしまった。
それは徴収目的で、ボーロ村に押し掛けていた聖騎士軍の、隊長らしき赤毛の娘だったのだ。
つまり彼女・・・フェリアンヌは、セリアちゃんとメルちゃんの仇であり、今現在ワタシと敵対している、聖騎士軍の一員ということになる。しかも幹部クラスの・・・・
「貴女その気配・・・・!?」
「お嬢様!?」
それを悟ったであろう、ワタシの雰囲気を感じ取ったのか、フェリ姉ちゃんが警戒し、執事のラバスさんが剣に手を掛ける。そんなラバスさんの行動を警戒して、目を細めたカロンの周囲に、氷雪が吹き荒れ始めた。
これ・・・下手したらまた死闘になるかも・・・・
お読みくださりありがとうございます!!
マヨネーズが好きな方★
冒険が好きな方★
食べるのが大好きな方★
ぜひコメントをください!
そして面白かったらブックマークと評価をぜひお願いします!
★★★★★いただけたら作者はテンション爆上がりですよ!




