表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新星間戦記CIVILIZATION  作者: RYUJIN
プロローグ
9/20

リソラ人の砲撃手と索敵手の少女

仕事の合間を見て投稿しておりますので、不定期更新となりますが引き続きおつきあいいただければと思います。

 目の前に浮かんでいる砲撃手座席(ガンナーズ・シート)には、目を疑うような絶世の美女が寝ていた。

 彼女の容姿は銀色の美しいストレートヘアで前髪の両側は胸元まで伸びるほど長く流しており、その肌は驚くほど白く美しい。

 そして何よりも特徴的なのはその長い耳である。


 リソラ人の特徴ともいえる耳を持つその容姿は、まるでファンタジーに登場するエルフのようであった。

 リソラ人は比較的容姿に優れており、非常にエーテルと親和性の高い人種である。

 地球由来の人類よりやや長い250年近い平均寿命を誇り、老化も緩やかで見た目の変化はほとんどない。

 20歳までは地球人とほぼ同じ成長をするが、その後200歳くらいまでは殆ど見た目の老化はない。

 しかし、200歳を超えたあたりからエーテルとの親和性が損なわれていき緩やかに老化していき、最期は眠るように亡くなる。


 リソラ人は地球に引けを取らない高度な文明を保有しながら、民族的に非常に温厚であり争いを好まない人が殆どである。


 エーテル親和性が劣り、大崩壊からの後遺症でナノマシンの補助がないと生命活動を維持できない地球人に比べて生物学的に優れたリソラ人が好戦的な民族であったとしたら、地球人類の存続が危ぶまれた可能性もあると言われている。


 だからこそ、地球人はあくまでリソラ人の意思を尊重して和平的かつ対等な関係を続けていたのだ。


 そのことからもリソラ人が戦場で戦うための戦艦に搭乗していること自体が非常に珍しいのだ。


「ん?」


 ふとジェスがその寝ている美女の腰に装着されたホルスターを見ると、一丁の銃が安全装置を外したまま収まっていた。


「グラビティーマグナムか・・・・・不用心にもほどがあるな」


 グラビティーマグナムとは対機動兵器用に開発された実弾銃である。

 高純度グラビディウムチップ弾頭と高出力コンデンサを組み合わせた銃弾を電磁加速で高速発射する武器だ。


 射出された弾丸はインパクトの瞬間にコンデンサ内の電力と高純度グラビディウムによる高重力変換により、目標を高斥力で破壊するものだ。


 その威力はすさまじく、SA(スレイブ・アーマー)のハイチタニウム装甲を破壊して一撃で戦闘不能にする程だ。


 無論、生身の人間に使えば木端微塵になるのは確実である。

 そんなものを安全装置も使わずにそのままホルスターに収めているのだ。


 不用心であり、物騒極まりない。


 ジェスは目の前の美女を起こして安全装置を作動させるように注意しようと手を伸ばした。


 その瞬間・・・・・。


 キュィイイイイイーーーーー。


 ジェスの額にその安全装置が解除されたグラビティーマグナムが突き付けられた。


「・・・・・・・。」


「ジェス!?」


 気付けば先ほどまで寝ていたはずの美女がこちらを睨みながら、額に銃を突き付けていた。


 ジェスを睨みつけていた彼女の眼は鋭くも美しい琥珀色をしていた。


(なんて速さだ・・・・オーバードライヴを使ったにしても早すぎる)


 それはかつて生身でSA(スレイブ・アーマー)を倒し、オーバードライヴを使えるジェスですら対処できないほどの速さである。


 リソラ人の特徴として、地球人のようにナノマシンの補助を使わなくても先天的に生存可能であることがある。


 それは地球人のオリジナルに似ている特徴であるが、地球人が投与するナノマシンとの親和性が低いという人が多い。


 だが、希にナノマシンとの親和性が高くて、自身の脳による処理能力に対してナノマシンによる高性能な補助を発揮できる者がいるという。


 特に先天的身体機能が不完全な地球人に対して、もともと完成している脳機能により高速思考が可能なのだ。


 ただ、それにしてもジェスよりも早くオーバードライヴを行うことができるのは驚きを隠せない事実であった。


「・・・・・・あなた」


 鈴を転がしたように銀髪の美女が呟く。

 

 すると彼女はすっと突き付けた銃を収めた。


「寝ている女性にちょっかいをかけようとするなんて、この艦の長は紳士的じゃないわね」


 その美しい容姿だと、呆れたようなポーズですら上品に見える。


「・・・その俺の頭に突きつけてる銃が安全装置もないままだったから危ないと思っただけだ」


「命をやり取りする戦場で安全装置を外すコンマ数秒が惜しいわ」


「まあたしかに尤もな話だが、それにしては物騒すぎる代物だけどな」


「私が不届き者を始末する以外にこの銃をどうこうしてヘマすることはないわ」


 彼女はそうきっぱり言い放つと、再び呆れたようなポーズを取った。


「俺はこの新造艦の試験運用を行う責任者でジェス・ディーンだ。これから同じ艦のクルーとして宜しく頼む」


「私はイリアス・J(ジェニファー)・アズクローバー、階級は少尉。知ってると思うけどこの船の砲撃手(ガンナー)よ。よろしくね」


 上官であるジェスに対しても歯に衣着せない物言いは、不思議と不快感はなかった。


「イリアスが二人のうち一人として、もう一人の民間人はまだこないのか・・・?」


「ええ・・・連絡では既に乗艦は完了しているはずなのですが・・・」


 そう言いながらセレナは首を傾げるが、何せ三キロメートルを超える艦船だ。迷う可能性は十分にある。


 パシュウ・・・。


 ジェスが周囲を見渡していると、自分たちが入ってきた入り口が開いた。


 開いた扉に目を向けると、そこにはトーテムポールのように積み上げられた折り畳みコンテナがこちらに向かって歩いていた。


 それは今にも崩れそうにゆらゆら揺れながら迫ってくる。


 これは危ないなとジェスが思っていた矢先・・・。


「はわわわ、どいてくださーーいっ!」


 ぐらりとしたコンテナがこちらに向かって倒れてきた!


 崩れてきたコンテナは10個。


 ジェスとイリアスはすかさずオーバードライヴを発動し、コンテナをキャッチしていく。


 結局コンテナは一つも取り逃さず受け止められた。


 その数はジェスが4つでイリアスは6つだった。


(・・・・・・ドヤァ)


「・・・・・・・・」


 なぜかイリアスはジェスに向かって勝ち誇ったような笑みをした。


「あ・・ありがとうございましたぁー・・・す、すごいです・・・・」


 二人が受け止めたコンテナを床に置き終わって崩れた元のほうを見ると、へたり込んで座った少女がいた。


 小柄で少女のような体格の彼女は、桃色の膝までかかるロングヘアを白いリボンでツインテールに纏めている。


 見開いた大きな瞳はエメラルドのような色で所々にレースをあしらった黒色のカットソーに白無地のプリーツミニスカート、そして黒いニーソックスとブーツというような普段着の装いであった。


 その見た目から推測すると、セレナが言っていたもう一人の民間人というのが妥当な考えであろう。


「す、すみませんでした! お怪我はありませんでしたか!?」


 汗を飛ばしながらぺこぺこと頭を下げてお詫びをするその姿は、さしずめ小動物のようである。


「私たちは大丈夫よ。あなたも今日からこの艦に搭乗するクルーかしら」


「あ、はい! 私はK.Cインダストリーより新造艦の試験運用データを調査する目的で派遣された民間人のマープルといいます!」


「私はイリアス・J(ジェニファー)・アズクローバー少尉。砲撃手(ガンナー)よ」


「私はセレナ・スターロード少佐。この艦の操舵手(ナビゲーター)です」


「おれはジェス・ディーン中将。この新造艦である機動戦艦シルフィード艦長、そしてシルフィードを旗艦とした試験量産型機動戦艦アイリス(ツヴァイ)による初の民間資本による試験艦隊の司令官だ」


 現在試験運用されている機動戦艦シルフィードを筆頭として、量産型機動戦艦アイリス(ツヴァイ)はK.Cインダストリーが連合宇宙軍から完全に独立した資本で開発している艦船である。


 もちろん艦隊戦を想定しているので、有事の際には連合宇宙軍に属する形で運用されるが、通常は首都ラビッシュ防衛を軍より委託されて行う私設軍の扱いである。


 これらは近年地球連合国家を圧迫する国防費削減の為に試験的に行われている政策である。


「K.Cインダストリーの社員としてジェスさんはよく存じていましたが、直接お目にかかれて光栄です!」


 マープルは目を輝かせながら尊敬の眼差しを向けながらジェスの手を取ってブンブン振っている。


「あ、ありがとう・・・これからは共にこの艦に乗る人間としてよろしくな」


 小柄な美少女から手に触れられて尊敬の眼差しを受けたジェスは、つい照れ笑いをしてしまう。


「・・・・・・」


 それを横で見ていたセレナの目は細く横一文字になっていた。


 メリメリィ・・・・。


「マ、マープルさんは索敵、探索、通信の技師(オペレーター)としてきたんですよねっ!!」


 セレナは手を取られているジェスの肩を掴みながらマープルに話しかけた。


(痛い痛いっ!およそ人体から鳴ってはいけない音がっ?!ってか戦闘義手で掴むなって!加減しろっ!?)


 振り返った先で顔の上半分が青くなって糸目になったセレナの顔を見たジェスは冷や汗を流しながらやんわりマープルの手を跳ね退けた。


「あ、すいませんっつい・・」


 そういうマープルは少し残念そうな顔をしていた。


「んんっ、そうですよっそれで今日から搭乗するので色々な資材を運ぶ必要があってさっきの有様というわけです」


「なるほど。まあ戦争も終わって今は訓練が主体になっているし、私設の軍としての色がつよいけどそれでも民間とは違う経験をたくさん積んでくれたらいい」


「あ、はいっ!ありがとうございます。中将・・艦長?? ・・・なんとお呼びすれば良いか・・・」


「堅苦しいのは嫌いなんだ。気軽にジェスと呼んでくれるといい。こいつみたいに」


「そうよ、マープル。同じ艦橋(ブリッジ)のクルーなんだし、階級なんか飾りみたいなものなのだから」


 ジェスに指を差されたイリアスは腕を組んで得意げな顔をしながら言い放った。


「なんでそんな偉そうなんだ・・まあ構わんが・・とにかくそういう事でこれからみんなよろしく」


「はいっよろしくお願いします!ジェスさんっ」


 こうして、新メンバーが加わっての訓練が始まった。


 しかし、束の間のひとときはすぐに終焉を迎えることとなる・・・。








~設定資料~


イリアス設定画

新星間戦記CIVILIZATIONのキャラで個人的に一番好きなキャラクターがイリアスです。

クールだけどどこか気さくな感じのキャラクターが個人的に好みです。

原作ゲームから一番デザイン変更がない予定です。

逆にマープル・クラリスに変更があるかもしれません。

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ