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vs『腐朽の妖樹』戦績

俺は魔力の持つ限り、烈炎の剣で幹にパワースラッシュをぶち当て、勝利した。

正直なところ威力はパワースラッシュとフレイムを合わせたよりも遥かに高いが、同時に消費する魔力も両者を足したものよりも激しい。

そんなわけでコレは必殺技としての扱いになりそうだ。

ちなみにこの短期決戦用の必殺技だけど、威力自体はヤミの絶炎剣のほうが上だった、悔しいことに。

ただ、持続力は俺のほうが上なのと…

「シュウジの場合は『あーつ』と組み合わせてるから更に上位のものが使えれば俺より強い威力になるんじゃないかな?」

と、ヤミはそう結論付けている。

「ただその時には俺も更に威力高めるけどね!」とも言われたから将来的にも威力で勝てない気もする。


腐敗の妖樹のドロップは「薪」だった。

魔族の人達に言わせると「妖樹の薪は特別」なんだそうだ。

薪だから火にくべるのかと思ったら違うみたいで加工してスモークウッドにするんだとか。

確かに香りは良い。桜と竹の合わせたようなニオイがする。

ということでマルタ族は試練を越えた男が持ち帰ったこのドロップを利用して燻製を作るのが習慣になっていた。

まあ日常でも普通の燻製は作っていたんだけど、香りが良いのでやっぱり彼らにとって特別なんだそうだ。

「いやあ、数年ぶりの妖樹を使った燻製ですな。」

長老が喜んでいる。ここ数年は試練を挑んだものが居ないために特殊な燻製が食べられなかったようだ。

「マルタ・ベーコン」と名づけられた、特別なベーコンは若い子には食べたこともないようで、大人達が色めきたっているのを不思議そうに見ていた。

「サクラを使った燻製…あれテレビで見たとき美味そうだったよな。」

「うんうん、分かる。ボクも修司も涎出てたよね。覚えてるよ。」

俺と有紀はテレビでしか見たことがなかったからちょっと香りも楽しめる燻製っていうのは楽しみだったり。

とは言え、このダンジョンでは正直燻製が作れるのはウサギ肉しかないんだけどね。

トレントが時々謎の(食用の)根を落すけど、ここの食材は肉以外は燻製が微妙にマッチしない…。

そこは難点だけど、地表との交流が出来ればまた違うかもしれない。

色んな食べ物で燻製を作れるから、この妖樹のスモークウッドは高額で売れるだろう。

既に簡単な処理が済んでいる肉を燻製にかけること数時間。

見た目は通常の燻製よりも少し色が濃くなっているが香りが全然違う。

早速食べてみると、確かに味が!!・・・うーん・・・

「味はボクらの舌では判別付かないね。」

「おう・・・。」

俺達の貧乏舌では全然分からん。

ただ、香りが兎に角違う。脂くさい感じが無くて簡単にパクパク食えてしまう。

なるほど、つまみには最高じゃないか。

魔族の成人は20歳と定めているためヤミは酒が飲めないが、俺達は「こっちの世界は15歳から」というルールを理解してもらった上で飲む。

魔族の作成する酒だから、と言うわけじゃないな。単純にこのダンジョンで取れるメインの穀物が芋だからだろうか、芋焼酎のような味をしている。

ようなというかアルカ村で飲んだものと似てるから「芋焼酎」と言ってるけど、正直俺の世界の芋焼酎を知らないからなんともいえないんだよなぁ。

まあマルタ・ベーコンは普通のベーコンよりも食べやすい香りがしてるのは良く分かった。

あと彼らが作る「普通の」ベーコンと、地表の・・・この世界の人が作るベーコンだとこっちのベーコンのほうが味があって美味しいので、マルタ・ベーコンは彼らの作る美味いベーコンよりも更にグレードの高いモノということになる(なるよね?)。

食料が美味い!っていうのは凄く重要で、冒険者にとっては特にモチベーションに影響するわけで・・・。ここで作られる食べものはどれも地表とは違う味のものばかりなので、スモークウッドに拘らずとも食事だけでもひと稼ぎできると思う。

長老が「もっていくように」と、作ったマルタ・ベーコンの塊と、妖樹の薪を加工したスモークウッドをくれた。

これでしばらく食事が楽しいものになる。暇なら自分達で燻製作ってみてもいい、売っても良い。

非常に助かる話だ。


さて・・・俺達は地表に戻ってギルドに報告をする。当然魔族の話と、交流を望んでいる話も。

この辺は冒険者ギルドから商人ギルドに話が行くだろうし、直ぐに「ココア冒険者組合」を筆頭に護衛を作って商人ギルドと魔族の交渉が始まるだろう。

俺達はそこに関わる気はなく、王都に向かう。

長老達もそれは理解してくれてるのでここでとりあえずお別れだな。

「また、顔出します。ラウノさん。」

「うむ。次は更に強くなっていると思うと楽しみだよ。」

握手を交わす。当然ヤミとも、ヴィヴィさんとも。この2人は護衛で9層で活躍してくれたし昨日(そう、あれから1日ぐっすり休んでしまった!)はお世話になったしね。

「では、さようなら!行きますね!」

俺達がそう叫び7層に向かって歩こうとすると。

「あれ?キミ達どこいくんだい?」

聞きなれない女の声がした。

「へ?」

魔族の人も驚いたようで全員が声のした方向・・・俺達の真横を見ると・・・。

明らかに魔女の有紀と同じ格好した子がそこに居た。

「やあ、龍眼、久しぶり!」

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