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異世界真っ向!〜クジラ亜人、荒波転生録〜  作者: 牡丹鍋
第4章 冒険の一歩目 編
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スライム討伐完了

 数分後。


 規定数上限、20匹のスライムを討伐した2人は木陰に座り水分補給しながら木の実を齧っていた。


 モグリは手のひらで輝く水色の魔石、の欠片の数々を眺めている。


「綺麗だね」

「まぁ、最初のモンスター討伐だしな。気にすんな」

「うん」

「最後の1匹は魔石ほとんど残ってたじゃねぇか。お前やっぱり、元の力が馬鹿げてるだけで体の使い方は上手いんだよ」

「ありがとうルタイス。君のアドバイスのお陰だよ」

「あ、あ?ああ、うん。そうだ、そうか?」


 モグリは自分の人差し指を見つめ、親指で押して音を鳴らした。そのまま握り拳を結ぶと、先程までスライム討伐をしていた目の前の草場を眺める。


「また明日も同じようなクエストを受けたいな。次で必ず、最適な力加減を覚えられる気がする」

「うん。そーだなー」


 ルタイスも目の前の草場に視線を移し、遠い目をする。


 ひび割れて凹み、土煙を立てている地面。遠くまで穴の続く木々。スライムの弾けた肉体が周りの木々や地面に飛び散った箇所から、未だにシュワ~、と音を立てて薄い水色の煙が出ている。


 モグリの強さは重々承知していたつもりだが、下級モンスターが相手だとこうなるのか⋯⋯と、ルタイスが更けている隣で、モグリは魔石の欠片を太陽の光に透かしてその輝きを愛でていた。


「この粉々の魔石って捨てるしか無いの?」

「ん?いや、だいぶ値は落ちるが引き取って貰えるし、使い道もまぁまぁあるぜ」

「なら無駄にならなくて良かったよ」

「そだねー」

「次は薬草採取かぁ⋯⋯」

「そだねー」













 夕方。



 薬草採取のクエストは何事も無く済ました2人は、アバルバントギルドに帰還していた。受付でクエスト完了の報告と証拠の魔石、採取した薬草を提出する。


「2件のクエスト依頼の達成を確認致しました。モグリさん、ルタイスさん。お疲れ様でした。こちら、報酬の7500ミリアルです」

「ありがとうございます。ルタイス、後で山分けしよ」

「あそう?じゃあ有り難く貰うぜ」


 モグリは報酬が入った革袋を受け取った。受付のギルド職員は2人にギルドカードを返却しながら、モグリに微笑む。


「魔石が完璧な状態なら、もっと報酬は弾んでいたので次は頑張ってくださいね」

「はい。早速、同じような依頼ありますか?」

「あると思いますよ。今から私、探してきますけど」


 ルタイスが「あーいや、待ってください」と手を横に振りモグリの背を押し、2人はそのまま受付を後にした。




「なんで?」

「俺が選んどくから、お前は大食堂で何か食ってろ」

「ん、わかった」


 2人が大食堂に向かうと、誰かがモグリ達に席から手を振る。


「おーい、ルタイス‼︎」

「あ、ギャンストさん」

「ギャンストさん?」

「島で一緒に戦った人だよ。前に豪鉄の剣と揉めた時も助けてくれた人」

「へぇ」


 ギャンストが自分の隣の席を叩くと、モグリはルタイスの顔を伺った。ルタイスが頷くと、モグリはその席に腰掛けた。


「お疲れ2人共。クエスト終わったのか」

「ああ、モグリの初クエストだったんだよ」

「はえ~、そりゃめでたいな‼︎どんなクエストだ」

「スライム討伐と薬草採取です」

「あのモグリさんがぁ⁈だははは、冗談みたいな話だ。今更スライム倒して何になるんだか‼︎」

「結構難しかったですよ。魔石が粉々になっちゃうし」

「は?」


 すると談笑している3人の背後から、ギルド職員が声を掛けた。


「すいませんルタイスさん」

「え、俺?」

「副ギルド長がお呼びです」

「俺なんも悪い事してないですぅ‼︎」


 ギャンストがルタイスの背中を笑いながら蹴飛ばし、


「早く叱られて来いッ」


 と送り出した。


「叱られるとしたら絶対お前のせいだからなモグリ」

「ドンマイ」

「がっ、覚えてろよテメェ⋯⋯」


 ルタイスは腑に落ちない様子のまま、ギルド職員と2階に上がっていった。


「⋯⋯なんかしたのか、あんた」

「気にしないでください」

「あ、ああ。おう、そうだ」


 ギャンストは手を叩くと、店員を呼び付けた。


「初クエスト達成祝いだ。なんか奢ってやるよ」

「え、そんな悪いです」

「遠慮すんな。俺も昨日、割が良いクエストがあって気分良いんだよ。奢られとけ」

「では、お言葉に甘えて」


 モグリはメニュー表を手に取ると、店員にメニューを指差しながら注文を始める。


「エビとエリンギのアヒージョとパンのセット、カニクリームグラタンとアジのカルパッチョ。あと冷たい炭酸水下さい」

「かしこまりました~」


 店員が捌けると、ギャンストは豪快に笑い出した。


「マジで遠慮しないんだな。がははは‼︎」

「ご馳走様です」

「おうよ!そうだ、今日の初クエストの話、俺にも聞かせてくりゃ」

「良いですよ。まず、森でスライムを⋯⋯」





 続く。

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