新たな遺産、新たな道
明朝、探索班は研究班から受けた衝撃の余韻を胸に抱えながら、
再び最初のゲームを発掘した場所を訪れた。
爽太が周囲を見渡しながら言う。
「最近発掘したあの先代文明の遺産、まだ分からないことも多いからな。
あれを見つけた場所をもう一度調べよう。関係する遺産が残ってるかもしれない」
慎介は少し肩をすくめる。
「……研究班の人たち、あれだけやっても満足してなかったしな」
好機は地面にしゃがみ込み、前回の発掘跡を丁寧に掘り返し始めた。
孝二は、研究班の言葉を思い返しながら静かに周囲を見つめていた。
「……研究班のやり方、少し工夫すれば用途を知るためにも使えるかもしれない……」
胸の奥に残った衝撃は、まだ消えていなかった。
好機が突然、息を呑むような声を漏らした。
「……これ、前に挿さってたやつに似てないか?」
爽太が駆け寄る。
「本当だ……形がほとんど同じだ」
慎介は慎重に土を払う。
「関係ある遺産……なのか?」
孝二はそのカセットを見つめ、静かに言った。
「用途を知る手掛かりになるかもしれない。持ち帰ろう」
探索班は慎重にカセットを回収し、拠点へ戻った。
本体は一台しか見つかっていないため、探索班は研究班の部屋を訪れ、本体の返却を頼んだ。
豪翔は胸筋を揺らして言った。
「ハハハッ!!まだ調べたいことはたくさんあるが、お前らが使うってんなら返す!!終わったら、また貸してくれよな!!」
探索班は本体を受け取り、部屋へ戻った。
好機が深呼吸してカセットを挿し込んだ。
画面が暗転し、独特の電子音が響く。
そして──
「トテリス」
という文字が浮かび上がった。
爽太が目を丸くする。
「……なんだこれ。形が落ちてくる?」
慎介は眉をひそめる。
「前みたいにキャラは居なさそうだな……」
好機は画面を凝視しながら言った。
「訓練装置……なのか?」
孝二は落ちてくるブロックをじっと見つめた。
「まずは動作を確認しませんか?」
爽太が十字キーの左や右を押すと、ブロックも左右に動く。
「左右には動かせるみたいだな」
慎介は画面を覗き込みながら言う。
「上下はどうなんだ?」
爽太は上を押すが、何も起きない。
「上には動かせないみたいだ」
好機はそれを聞いて言った。
「上には動かないのか……“上昇”はできない仕組みなんだな」
次に爽太は下を押してみると、ブロックが速く落下した。
「下には速く動かせるみたいだ」
孝二はそれを聞いて言った。
「落下速度を変えられるということですね」
次に爽太はAボタンやBボタンを押してみると、ブロックが左右に回転した。
「回転できるぞ」
好機はブロックの回転をじっと見つめる。
「左にも右にも回転できるようになってるんだな」
次に爽太はSTARTボタンを押すと動きが止まり、もう一度押すと再び動き出した。
「動きが止められるみたいだぞ」
慎介はそれを聞いて言った。
「動きを止められるのか……一時停止の機能があるんだな」
爽太は試せることを試し終わると、ふと疑問を口にした。
「結局何をすればいいんだ?」
何をしていいのか分からず、しばらく眺めていると、ブロックが上まで積み上がり──ゲームオーバーになった。
爽太はそれを見て言った。
「おっ、何か起きたぞ」
好機は画面を見つめながら疑問を口にする。
「……上まで積んだらいいのか?」
孝二はそれに答える。
「不快感のある音が鳴っていましたし、失敗ということではないでしょうか?」
画面に変化がないので、爽太はボタンを適当に押していると、また最初から始まった。
慎介はそれを見て言った。
「また始まったな……」
孝二は推測を述べる。
「前回調べたやつみたいに失敗すると先に進めないということなのでしょうか?」
爽太は少し考えて言った。
「今度はなるべく多く並べてみよう」
一列をブロックが埋め尽くしたその時、ブロックが消えた。
好機はその様子を見て言った。
「消えたぞ。揃えると消える仕組みなのか?」
孝二はしばらく考えて言った。
「まだ、いまいち目的がよくわからないですね……」
爽太は興奮気味に言った。
「これ、研究班を真似て細かく調査してみる?」
慎介も乗り気だ。
「位置とか、落ちる速度とか、回転とか……全部調べれば何か分かるかも」
好機は画面を見つめながら言う。
「研究班の真似をすれば、用途に近づけるかもしれない……?」
孝二は静かに首を振った。
「……研究班のやり方はすごかった。でも、僕らは“用途を知る”ために調査している。
全部を調べるんじゃなくて、用途につながりそうなところを選んで調べよう」
爽太が孝二を見る。
「用途につながりそうなところ……?」
慎介が考え込む。
「じゃあ、まずは“何のために形を消すのか”とか?」
好機が頷く。
「“消すと何が起きるか”とか?」
孝二は静かに言った。
「うん。研究班の真似をするんじゃなくて、僕らの目的に合わせて調べるんだ」
探索班は頷いた。
研究班とは違う──探索班の“用途を知るための調査”が始まった。
次話、
新たな遺産を前に、 探索班は研究班から学んだ観察の力を
自分たちなりの形で使い始める。
消える形。
残される数字。
画面の中で繰り返される変化を見つめながら、 彼らは少しずつ用途への道を探っていく。
そして次に目を向けたのは、 静かに増え続ける数字だった。
次回、探索班は“消える現象”の意味を追う。
来週金曜日、22:00頃更新予定。




